宮廷台所の隠し味
「公主さまにもいつか来て頂きたいわ。[漢字]旅券[/漢字][ふりがな]パスポート[/ふりがな]は渡しておくわね」
「私は、公主ではないです」
私はまたも否定する。
私はタダの町娘なのだ。琳美の娘なのだ。
「あら、そうなの? 左の耳飾りは、豪産だわよ」
(なんで分かるの!?)
「私が実家に無理言って取ってもらった琥珀。花の紋を入れているから、何を隠そうが分かるわ。右の耳飾りは麗花妃の翡翠の玉じゃないの?」
そう言われ、ブンブンと首を横に振った。
「でしょ? あなたは、私たちの大事な一人娘なの。否定するのはやめて頂戴」
「…はい」
「んふふ、雪雲妃、どうだった? 豪華絢爛と言うより、ふわふわした子でしょう?」
例の侍女、風鈴に訊かれる。
「確かに、豪華に着飾っておりましたが、雪のような方でした」
外見も内面も。
こんな人がこの世にいていいのかすら、疑問に思ったくらいだった。
「明日は、淑妃、[漢字]白雷妃[/漢字][ふりがな]パイレイヒ[/ふりがな]の方に行くのよね。楽しみにしてて頂戴。あの子は私がしっかり鍛えた子だもの」
「はあ。分かりました」
(鍛えるとはなんぞや?)
風鈴は不敵な笑みを浮かべていた。
「私は、公主ではないです」
私はまたも否定する。
私はタダの町娘なのだ。琳美の娘なのだ。
「あら、そうなの? 左の耳飾りは、豪産だわよ」
(なんで分かるの!?)
「私が実家に無理言って取ってもらった琥珀。花の紋を入れているから、何を隠そうが分かるわ。右の耳飾りは麗花妃の翡翠の玉じゃないの?」
そう言われ、ブンブンと首を横に振った。
「でしょ? あなたは、私たちの大事な一人娘なの。否定するのはやめて頂戴」
「…はい」
「んふふ、雪雲妃、どうだった? 豪華絢爛と言うより、ふわふわした子でしょう?」
例の侍女、風鈴に訊かれる。
「確かに、豪華に着飾っておりましたが、雪のような方でした」
外見も内面も。
こんな人がこの世にいていいのかすら、疑問に思ったくらいだった。
「明日は、淑妃、[漢字]白雷妃[/漢字][ふりがな]パイレイヒ[/ふりがな]の方に行くのよね。楽しみにしてて頂戴。あの子は私がしっかり鍛えた子だもの」
「はあ。分かりました」
(鍛えるとはなんぞや?)
風鈴は不敵な笑みを浮かべていた。