クレア「どうせ、[大文字]誰もいないんだし[/大文字]・・・。」

モナ「『[大文字]誰もいないんだし[/大文字]』・・・・？？」

私の中で、何かが切れた。
その音を合図に私は思わん限りの言葉を口にした。
そして、クレアの襟元を掴んで言う。

モナ「あなたは、眼の前で人が殺されたところを見たことはある？遠近で爆発音が絶え間なく響いて怯え隠れたことは？慣れ親しんだ建物も植物も、一夜にして黒い灰と化した光景を目の当たりにしたことはある？？顔も見知りが次々と殺されて・・・友人の断末魔を聞いても、何もできなかった自分を悔やんだことはあるの！！？」

クレア「・・・・・・」

モナ「そんな経験もしてないくせに、！！私の[太字]すべて[/太字]を語らないでよ！！！！」

クレア「・・・・・あるよ」

モナ「？」

クレアは、私が襟元を掴んでいた手の手首を掴んだ。

クレア「私だって、・・・あるよ・・・。ある友達は、爆発で焼け死に、ある知人は、惨殺される。家なんて、少しの燃えカスも残らない・・・。大切なものも・・・失いたくないものも・・・積み重ねてきたものも・・・・。全部。」

モナ「・・・・・・・・」

クレア、モナ「全て、一夜にして滅んでしまうものだから。」

クレア、モナ「！？」

クレア「・・・合ったね。」

モナ「それが目的？」

クレア「・・・かもね。」

クレアは、微笑んだ。
そして、そっと私を抱きしめる。
クレアも、私と同じ経験をした人間だった。
そういえば初めて会った日、クレアの服は少し焼け焦げていた箇所があった。
それはきっと、敵襲のときに受けた爆弾の熱で焦げたものなのだったのだろう。
なら、最初に言っていた「薬学の勉強中に大爆発」は、嘘だったのだろうか？
最初、クレアは私にその経験のことを話したくなかったのかな？
なのだとしたら、最初から彼女は私が抗争に巻き込まれたことを知っていたのだろうか・・・・？