好きなゲームで遊んでただけなのになんか閉じ込められました!?1
第一章 不可能ゲーの始まり。
しかし無常にも画面が変わって、いつもの広場が出てくる。普段と変わらない、自然で豊かな、木の温もりのする、温かな広場。いかにもVR的な、青空が広がり、上を見上げれば、止まったままずっと動かない太陽が見える。
普段なら、ここの雰囲気に和む翔子だが、そんなものに気を取られている暇はない。
──ログアウトができない。それは、長期的に見て、『死』につながるからだ。
ログアウトできないということは、食事ができないということ。さらに、ここは電脳世界のため、常に脳に情報が行く。この世界は常に太陽が登った状態のため、寝ること自体は可能でも、実質的な睡眠とは程遠い。つまり、食事も睡眠も取れないのだ。水分も取れないので、このままログアウトできなければ、3日も持たないだろう。
「そ、そうだ、ミカは!?」
はっ、と思い出し、瞬時に友の名前を叫ぶ翔子に、即座に声が返ってくる。
「私はここよ、なんだかおかしなことになったわね」
「ミカ! 良かった来てくれてたんだ! っていうかこれどうなってんの!? 私のゲーム史上こんなのなかったんだけど!?」
「落ち着きなさいよ、混乱してるのはわかったけど」
ミカは、冷静に翔子をなだめる。だが、その表情も困惑していた。運営の都合上とあったのだから、ミカだって自分と同じ境遇だろう。
「でも……! ……わかった……」
翔子は完全に混乱してしまって、何も出来そうにない。ここは情報を整理するのが得意なミカに任せるのが得策だろう。
「やぁ、お困りのようだね」
すると、突然、いつの間にいたのか、男の子が話しかけてきた。
「あ、あなたは……?」
ミカは用心深く尋ねる。年は、これから中学二年生になる自分たちよりも、二、三歳年下だろうか?
「翔子、君はどうして閉じ込められてしまったか知りたいんじゃないかい?」
「ちょっと、私のことはシカト? どういうつもりなのか知らないけどッ、翔子に手出しなんかさせないから!」
(シカト:無視という意味)
ミカは強気で問いかける。しかし、少年は聞こえていないかのように何も答えなかった。
そんなNPCに対し、翔子も用心深く尋ねる。
「あなたは一体? なんでミカの話に反応しないの?」
すると少年は、こんな事を言いだした。
「僕は、君のことしか見えない。君の声しか聞こえない。そういうふうに作られたんだ。僕はアルト。NPCだけど、HPの概念はないよ。きみにヒントをあげる。でも、答えは教えてあげられない。そういうふうに作られているから」
どうやらこの少年は色々訳アリらしい。翔子はすぐに信じたが、ミカはまだ警戒を解いていない。ミカは険しい表情で、キッと睨みつけながら鋭く問いかける。
「ヒントって何よ、なんのこと?」
──無反応。
翔子が話しかける。
「ヒントって、何のこと?」
──反応。
「ヒントって言うのは、この異常を解決してもらうためのヒントだよ」
どうやら、先程のログアウト不可については運営の仕業、というだけではないようだ。しかし、ミカはまだ信じない。
「だったら、なんかヒントを出しなさいよ」
再び鋭く問いかける──無反応。
翔子は優しく問いかける──反応。
「そうだね、まずは、なにか魔物を倒してもらおうかな?」
「え、魔物?? このゲームパズルゲームだよ??」
「そうだね、パズルゲームだ。魔物が出るようになっちゃったんだよ」
〜Topix〜
「アルト」
突然翔子たちの眼の前に現れた謎のNPC、らしき存在。翔子にしか反応できず、他のプレイヤーには話しかけられないとのこと。
しかし無常にも画面が変わって、いつもの広場が出てくる。普段と変わらない、自然で豊かな、木の温もりのする、温かな広場。いかにもVR的な、青空が広がり、上を見上げれば、止まったままずっと動かない太陽が見える。
普段なら、ここの雰囲気に和む翔子だが、そんなものに気を取られている暇はない。
──ログアウトができない。それは、長期的に見て、『死』につながるからだ。
ログアウトできないということは、食事ができないということ。さらに、ここは電脳世界のため、常に脳に情報が行く。この世界は常に太陽が登った状態のため、寝ること自体は可能でも、実質的な睡眠とは程遠い。つまり、食事も睡眠も取れないのだ。水分も取れないので、このままログアウトできなければ、3日も持たないだろう。
「そ、そうだ、ミカは!?」
はっ、と思い出し、瞬時に友の名前を叫ぶ翔子に、即座に声が返ってくる。
「私はここよ、なんだかおかしなことになったわね」
「ミカ! 良かった来てくれてたんだ! っていうかこれどうなってんの!? 私のゲーム史上こんなのなかったんだけど!?」
「落ち着きなさいよ、混乱してるのはわかったけど」
ミカは、冷静に翔子をなだめる。だが、その表情も困惑していた。運営の都合上とあったのだから、ミカだって自分と同じ境遇だろう。
「でも……! ……わかった……」
翔子は完全に混乱してしまって、何も出来そうにない。ここは情報を整理するのが得意なミカに任せるのが得策だろう。
「やぁ、お困りのようだね」
すると、突然、いつの間にいたのか、男の子が話しかけてきた。
「あ、あなたは……?」
ミカは用心深く尋ねる。年は、これから中学二年生になる自分たちよりも、二、三歳年下だろうか?
「翔子、君はどうして閉じ込められてしまったか知りたいんじゃないかい?」
「ちょっと、私のことはシカト? どういうつもりなのか知らないけどッ、翔子に手出しなんかさせないから!」
(シカト:無視という意味)
ミカは強気で問いかける。しかし、少年は聞こえていないかのように何も答えなかった。
そんなNPCに対し、翔子も用心深く尋ねる。
「あなたは一体? なんでミカの話に反応しないの?」
すると少年は、こんな事を言いだした。
「僕は、君のことしか見えない。君の声しか聞こえない。そういうふうに作られたんだ。僕はアルト。NPCだけど、HPの概念はないよ。きみにヒントをあげる。でも、答えは教えてあげられない。そういうふうに作られているから」
どうやらこの少年は色々訳アリらしい。翔子はすぐに信じたが、ミカはまだ警戒を解いていない。ミカは険しい表情で、キッと睨みつけながら鋭く問いかける。
「ヒントって何よ、なんのこと?」
──無反応。
翔子が話しかける。
「ヒントって、何のこと?」
──反応。
「ヒントって言うのは、この異常を解決してもらうためのヒントだよ」
どうやら、先程のログアウト不可については運営の仕業、というだけではないようだ。しかし、ミカはまだ信じない。
「だったら、なんかヒントを出しなさいよ」
再び鋭く問いかける──無反応。
翔子は優しく問いかける──反応。
「そうだね、まずは、なにか魔物を倒してもらおうかな?」
「え、魔物?? このゲームパズルゲームだよ??」
「そうだね、パズルゲームだ。魔物が出るようになっちゃったんだよ」
〜Topix〜
「アルト」
突然翔子たちの眼の前に現れた謎のNPC、らしき存在。翔子にしか反応できず、他のプレイヤーには話しかけられないとのこと。