奇跡を運ぶペガサス。
は〜だるい・・・塾だるい・・・塾代払ってもらってるのは感謝してるけど行かせられるのが嫌だ・・・。
私の名前は、神鳥 朱音12歳。1つ下の妹がいる。
今日は火曜日。塾の日だ。塾に行く前に、こっそり古本屋さんに行っている。走って10分くらいかな?
店員 :「いらっしゃいませ〜。」
あ〜やっと着いた。体力作りで家から走ってきてるけど、さすがにキツい。
さっ癒やしのコーナーに行こ!
_数分後_
えっなにこの表紙絵!めっっちゃ好み!
パラララ
内容も最高やんけ。買お。
店員 :「330円です。ちょうど330円いただきます。レシート、本に挟ませていただきます。ありがとうございました〜。」
朱音 :「ふへっ。」
お迎えの空き時間に読むのが楽しみ〜!
上機嫌で店から出ると、めちゃくちゃフラフラしながら歩いてくる男性がいた。
大丈夫かな・・・?でも・・・私、警戒心強いから助けられないんだよね・・・。
通り過ぎようとした・・・時。
ガシッ
朱音 :「ふぇ?」
?? :「血をっ・・・くれ・・・。」
朱音 :「ん???」
[太字][大文字][中央寄せ][明朝体]この時、この出会いが世界を変えるなんて思いもしなかった。[/明朝体][/中央寄せ][/大文字][/太字]
・・・ん?何を言ってんの?この人は・・・って、初対面で手を掴まないでよ!
この人力強い。怖い。鳥肌がヤバい。ヤダ。助けて。
怖くて声が出ない・・・助けて・・・十亜さんっ咲姫ちゃんっ!
女性A :「ねねっあの人、[漢字]悪鷹 翠無[/漢字][ふりがな]あくたか すいむ[/ふりがな]様じゃない!?」
女性B :「マジやん。えっなんでここにいるんだろっ。」
アクタカ スイム?誰やぁ!
ってマジで離して離して離して離して怖い怖い怖い怖い!!
女性B :「なにあいつ・・・ガキのくせに血をあげるつもり?」
女性A :「さいって・・・翠無様に触んなよ・・・。」
いやめっちゃ聞こえてるし。しかも、私が触ったわけじゃないし!
翠無 :「頼む・・・血をくれ!」
あ〜もう!血あげればいいんでしょ!
朱音 :「首は嫌なので腕でいいですか?」
翠無 :「っ・・・どこでもいい。ありがとう。」
腕を差し出したら、スイム?さんっていう人が口を開けて、私の腕を噛んだ。
朱音 :「っ![小文字][小文字]いって・・・。[/小文字][/小文字]」
血がちょっとだけ垂れた。
少ししたら、スイムさんが私の腕から口を離して、口の外に出た血を手で取って口に入れていた。
翠無 :「ごめんな。貧血で倒れそうだったんだ。」
貧血??え?
翠無 :「俺は[太字][大文字]吸血鬼[/大文字][/太字]なんだ。」
[漢字]・・・[/漢字][ふりがな]1秒2秒3秒[/ふりがな]はい?
きゅっ吸血鬼?え???ますます意味分かんない!
翠無 :「君、何歳?」
デリカシーないんか。って言ったらなんかされそうだから言っとこ・・・。
朱音 :「11歳、小5です。」
翠無 :「小5・・・じゃあまだ知らないか。」
『小5・・・じゃあまだ知らないか。』?どういうこと?
翠無 :「小6になったら教えられると思うけど、今混乱してるだろうから言っておく。」
えっなになに?この緊張感は・・・・・・。
翠無 :「_この世界には、吸血鬼と[太字]希少種[/太字]と[太字]一般人[/太字]という人種が共存している。」
・・・・・・うん。なんかまた新しい単語が出てきた。キショウシュ?[漢字]希少[/漢字][ふりがな]きしょう[/ふりがな]と[漢字]種[/漢字][ふりがな]たね[/ふりがな]って書いて希少種?
翠無 :「吸血鬼とは、君でも聞いたことがあるように、人の血を吸う人種だ。吸血鬼は特に希少種の血を好むが、身体の好みによっては一般人の血を好む人もいる。」
吸血鬼は知ってるから先に希少種の説明をしてほしいな。
朱音 :「希少種ってなんですか?」
・・・あああああ馴れ馴れしく聞いてしまった!おわた!!
翠無 :「希少種とは、太古の昔は一般人ほどの人数がいたが、戦争により激減した、希少な人種なんだ。もっと詳しく言うと、希少種は3ランクあり、最高ランクは能力を使える。第2ランクの能力者は、超能力者より力は9割劣るものの、ほんのちょっとだけ能力が使える。第3ランク、つまり最低ランクは単希少種といって、能力もなんも使えない。まぁ、希少種は全般、頭が良くなったり運動神経が良くなる、一般人や吸血鬼にとって憧れの人種だよ。有名な人達は、7割くらいが希少種と言われているんだ。」
希少種ってそんなに凄いんだ・・・って、だからなんで吸血鬼と私はなんの関係があるねん。(←関西弁好きだからたまに関西弁になる。)
翠無 :「んで・・・大体、吸血鬼や希少種は5年生の最後の方になる。だから、6年生になったら吸血鬼か希少種か一般人かの検査が、全世界の学校で行われるんだ。」
ふーん全世界・・・全世界!?っていうことは、吸血鬼とか希少種って、全世界にいるの!?最初に言ってくださいよぉ〜。
翠無 :「ここからが本題なんだが・・・さっき言った通り、吸血鬼や希少種は5年生の最後の方になるんだ。だが・・・君は違うらしい。」
ん?ポンコツで可愛くなくて優しくなくてゴリラのこの私が?
翠無 :「ず〜〜っと昔にあった事例なんだが・・・ものすごく稀に、5年生の最後の方になる前に吸血鬼や希少種になる人もいるんだ。本当に稀にな。そして、ごく最近5年生の最後の方の前に吸血鬼や希少種になった人は_[太字][大文字]君[/大文字][/太字]だ。」
朱音 :「・・・・・・へ?」
翠無 :「吸血鬼は、希少種に近づくと甘い匂いがするんだ。つまり、甘い希少種特有の匂いがすると、希少種が近くにいる、ということになる。超能力者などの、[漢字]力[/漢字][ふりがな]能力[/ふりがな]が強い者ほど匂いが強いんだが・・・初めて君に会ったときに、強烈な甘い匂いがしたんだ。」
なんかすみませんねぇ。
翠無 :「しかし、普通小学5年生真っ只中の人に甘い匂いがするのはまずありえない。しかも、強烈な。つまり_君は、小学5年生真っ只中にして超能力者になった者、[太字][大文字]神並様[/大文字][/太字]なんだ。」
うんだ〜〜れ???カミナミサマ?????またまた新しい単語が出てきたよ〜。
翠無 :「神並様とは、神と同じ存在の者なんだ。しかし、神並様がいたとされる事例は、記録がある中でたったの1件。超超超超貴重な人なんだ。[小文字]まさか俺が生きてる時代に存在しているなんて・・・。[/小文字]」
神と同じ存在・・・ん?え?ゑ?は?ひ?ふ?へ?ほ?つまり・・・・[太字][漢字]私[/漢字][ふりがな]朱音[/ふりがな]は神と同じ存在[/太字]っていうこと・・・?
えぇええええぇぇえぇぇえぇえええぇぇぇええぇえええぇえ!?!?!?!?!?
朱音 :「えぇええええぇぇえぇぇえぇえええぇぇぇええぇえええぇえ!?!?!?!?!?」
心と口で同じ声を出したけど、私が神並様なのはマジでヤバい。
翠無 :「いいか。ここからが重要だ。希少種は狙われやすい。特に超能力者。しかも、神並様となるとなおさら命が狙われる。君は、神であり、悪人の標的なんだ。」
言い換えると、神だから悪人の標的・・・。
考えるだけで鳥肌が立つ。
翠無 :「・・・あぁ、自己紹介をしてなかったな。俺は、悪鷹 翠無。15歳だ。高1だけどな。
俺の父が、中央警察署の捜査一課に努めてて、母が大人気小説家。祖父が現内閣総理大臣。双子の姉がいる。」
中央警察署の捜査一課ってエリートやん。しかも母が大人気小説家。んで祖父が_祖父があぁああぁああぁああ!?!?えっえっえっえっ現内閣総理大臣!?この人、何者?えっぐ。
朱音 :「私は、神鳥 朱音、11歳です。」
自分は簡潔に自己紹介をした。
「すっくね。」とか言われたけど笑顔で無視。
翠無 :「・・・あの、さ・・・。」
朱音 :「はい?」
翠無 :「俺と[太字][漢字]番[/漢字][ふりがな]つがい[/ふりがな][/太字]になってくれる?」
朱音 :「ツガイ?」
あーもーなんで続々と知らない新しい単語が出てくんだよ。
翠無 :「番は・・・ざっくり言ったら・・・[漢字]ペア[/漢字][ふりがな]カップル[/ふりがな]になるということ。」
朱音 :「いやいや私達まだ出会って10分も経ってませんよ?」
考える暇もなくツッコんでしまったが、事実だ。本当に出会って1時間も経ってない。間もないのにペアになれと?[太字]イケメンにも程があるぜ?[/太字]ずっと思ってんだけど、キラキラ〜〜ってしてて眩しいんよ。目に遮光カーテンが欲しいんよ。
イケメンと自覚してんなら帽子被って外出ろや。
翠無 :「そうだよな・・・ごめん。でも、いつかは朱音ちゃんの両親に、朱音ちゃんが神並様ということを話したいんだ。」
いやいつちゃん付けOK言った?しかも自分で話せるし。ナメんなよ・・・小5ながら身長142cmのチビだけど、一応ゴリラとかターボババアって言われてるし。(←一部のデリカシー無い男子から)
朱音 :「もう行ってもいいですか?塾がありますし・・・。」
翠無 :「えっそうなの?ごめん。」
ササッと走り出し、急いで塾へ向かった。
朱音 :「ありがとうございました。」
やっぱり今日も2時間超えたな・・・疲れた〜早くかーえろ。
・・・・・・・は?
翠無 :「やっと終わったか。」
なんでここにいんだよおおおおおおおお!!
翠無 :「朱音ちゃんの家ってこっちなんだね。」
朱音 :「そうです。んで、なんでモデル級イケメン[打消し][打消し]ナンパ[/打消し][/打消し]男が着いてくるんですか?私が神並ということを説明するからですか?」
翠無 :「うん。」
・・・なんやこいつ。
朱音 :「ただいま〜。」
綾音 :「おかえり・・・って、お姉ちゃんなんで悪鷹様といんの!?!?えっ!?」
なんで「様」?そんなに有名なの?
綾音 :「ママ〜〜!!悪鷹[小文字]様っ[/小文字]悪鷹さんが来た!!」
清子 :「あら、こんばんは。すみませんこんな格好で。」
あ〜やっぱりそう言うか。
清子 :「上がって下さい。」
朱音 :「え?家汚いよ?」
清子 :「たしかに・・・。」
綾音 :「一瞬でキレイにしてくる!」
ダダダッと走り去った綾音を、私と翠無さんとママがポカーンと見送った。
朱音 :「とっとりあえず玄関に。」
翠無 :「うっうん。」
綾音はマジで一瞬で家全体をキレイにして、家に招き入れた。
翠無 :「お話がありまして。」
清子&綾音:「?」
清子&綾音:「えっ!?」
綾音 :「つまり、お姉ちゃんは・・・」
清子 :「神並様っていうこと?」
翠無 :「はい。だから、命を狙われる可能性が高いので、番になりたいと。」
清子 :「なるほど・・・。」
そこはなるほどじゃねぇだろ。もうなんなのこの人達・・・泣いちゃう。
清子 :「・・・あなたのことはテレビでよく見るけど、本当はどうか分かりません。なので、あなたの本当の功績を認めたら、番になっても良いです。」
さすが我が母。(←さっきなんて言った?)
翠無 :「分かりました。今日は突然押しかけてすみませんでした。」
綾音 :「いえいえっ!私はなんとも思ってないですし、逆に嬉し_」
ブーブーブーブー
バイブ音だ。音は・・・翠無さんのバッグからだ。
すんごい綾音ションボリしてるなー。ま、たしか、綾音は翠無さんの熱狂的ファンだったような気がするから・・・お気の毒に。
翠無 :「あっもしもし父さん。あっごめんごめん。今・・・知り合いの家に行ってて。ちょうど家から出ようとしたところ。うん・・・うん・・・1人で帰れるよ。うん。じゃ、は〜い。」
翠無さんのあの返し方からすると、お父さん、心配してるのかな?
いいな・・・私のパパは、いつも仕事で会話をする時があんまりない。塾のお迎えにたまに来たり、週末に短い会話をするくらい。
朱音 :「じゃあ気を付けて。」
翠無 :「・・・あぁ。」
気まず過ぎてあっさりさよならしてしまったが・・・問題はこの後で_
綾音 :「お姉ちゃんヤバ!!!悪鷹 翠無様と知り合いになるなんてヤバ!!うらやま!」
朱音 :「あはは〜そんなに有名なんだね〜。(棒)」
綾音 :「わああぁあぁああぁぁぁああすっげぇえっぇえええぇええ!」
うるせっ
【翠無|視点】
結局伝えられなかったな。俺が、吸血鬼の中でも、ほんちょっと貴重な存在なこと。
私の名前は、神鳥 朱音12歳。1つ下の妹がいる。
今日は火曜日。塾の日だ。塾に行く前に、こっそり古本屋さんに行っている。走って10分くらいかな?
店員 :「いらっしゃいませ〜。」
あ〜やっと着いた。体力作りで家から走ってきてるけど、さすがにキツい。
さっ癒やしのコーナーに行こ!
_数分後_
えっなにこの表紙絵!めっっちゃ好み!
パラララ
内容も最高やんけ。買お。
店員 :「330円です。ちょうど330円いただきます。レシート、本に挟ませていただきます。ありがとうございました〜。」
朱音 :「ふへっ。」
お迎えの空き時間に読むのが楽しみ〜!
上機嫌で店から出ると、めちゃくちゃフラフラしながら歩いてくる男性がいた。
大丈夫かな・・・?でも・・・私、警戒心強いから助けられないんだよね・・・。
通り過ぎようとした・・・時。
ガシッ
朱音 :「ふぇ?」
?? :「血をっ・・・くれ・・・。」
朱音 :「ん???」
[太字][大文字][中央寄せ][明朝体]この時、この出会いが世界を変えるなんて思いもしなかった。[/明朝体][/中央寄せ][/大文字][/太字]
・・・ん?何を言ってんの?この人は・・・って、初対面で手を掴まないでよ!
この人力強い。怖い。鳥肌がヤバい。ヤダ。助けて。
怖くて声が出ない・・・助けて・・・十亜さんっ咲姫ちゃんっ!
女性A :「ねねっあの人、[漢字]悪鷹 翠無[/漢字][ふりがな]あくたか すいむ[/ふりがな]様じゃない!?」
女性B :「マジやん。えっなんでここにいるんだろっ。」
アクタカ スイム?誰やぁ!
ってマジで離して離して離して離して怖い怖い怖い怖い!!
女性B :「なにあいつ・・・ガキのくせに血をあげるつもり?」
女性A :「さいって・・・翠無様に触んなよ・・・。」
いやめっちゃ聞こえてるし。しかも、私が触ったわけじゃないし!
翠無 :「頼む・・・血をくれ!」
あ〜もう!血あげればいいんでしょ!
朱音 :「首は嫌なので腕でいいですか?」
翠無 :「っ・・・どこでもいい。ありがとう。」
腕を差し出したら、スイム?さんっていう人が口を開けて、私の腕を噛んだ。
朱音 :「っ![小文字][小文字]いって・・・。[/小文字][/小文字]」
血がちょっとだけ垂れた。
少ししたら、スイムさんが私の腕から口を離して、口の外に出た血を手で取って口に入れていた。
翠無 :「ごめんな。貧血で倒れそうだったんだ。」
貧血??え?
翠無 :「俺は[太字][大文字]吸血鬼[/大文字][/太字]なんだ。」
[漢字]・・・[/漢字][ふりがな]1秒2秒3秒[/ふりがな]はい?
きゅっ吸血鬼?え???ますます意味分かんない!
翠無 :「君、何歳?」
デリカシーないんか。って言ったらなんかされそうだから言っとこ・・・。
朱音 :「11歳、小5です。」
翠無 :「小5・・・じゃあまだ知らないか。」
『小5・・・じゃあまだ知らないか。』?どういうこと?
翠無 :「小6になったら教えられると思うけど、今混乱してるだろうから言っておく。」
えっなになに?この緊張感は・・・・・・。
翠無 :「_この世界には、吸血鬼と[太字]希少種[/太字]と[太字]一般人[/太字]という人種が共存している。」
・・・・・・うん。なんかまた新しい単語が出てきた。キショウシュ?[漢字]希少[/漢字][ふりがな]きしょう[/ふりがな]と[漢字]種[/漢字][ふりがな]たね[/ふりがな]って書いて希少種?
翠無 :「吸血鬼とは、君でも聞いたことがあるように、人の血を吸う人種だ。吸血鬼は特に希少種の血を好むが、身体の好みによっては一般人の血を好む人もいる。」
吸血鬼は知ってるから先に希少種の説明をしてほしいな。
朱音 :「希少種ってなんですか?」
・・・あああああ馴れ馴れしく聞いてしまった!おわた!!
翠無 :「希少種とは、太古の昔は一般人ほどの人数がいたが、戦争により激減した、希少な人種なんだ。もっと詳しく言うと、希少種は3ランクあり、最高ランクは能力を使える。第2ランクの能力者は、超能力者より力は9割劣るものの、ほんのちょっとだけ能力が使える。第3ランク、つまり最低ランクは単希少種といって、能力もなんも使えない。まぁ、希少種は全般、頭が良くなったり運動神経が良くなる、一般人や吸血鬼にとって憧れの人種だよ。有名な人達は、7割くらいが希少種と言われているんだ。」
希少種ってそんなに凄いんだ・・・って、だからなんで吸血鬼と私はなんの関係があるねん。(←関西弁好きだからたまに関西弁になる。)
翠無 :「んで・・・大体、吸血鬼や希少種は5年生の最後の方になる。だから、6年生になったら吸血鬼か希少種か一般人かの検査が、全世界の学校で行われるんだ。」
ふーん全世界・・・全世界!?っていうことは、吸血鬼とか希少種って、全世界にいるの!?最初に言ってくださいよぉ〜。
翠無 :「ここからが本題なんだが・・・さっき言った通り、吸血鬼や希少種は5年生の最後の方になるんだ。だが・・・君は違うらしい。」
ん?ポンコツで可愛くなくて優しくなくてゴリラのこの私が?
翠無 :「ず〜〜っと昔にあった事例なんだが・・・ものすごく稀に、5年生の最後の方になる前に吸血鬼や希少種になる人もいるんだ。本当に稀にな。そして、ごく最近5年生の最後の方の前に吸血鬼や希少種になった人は_[太字][大文字]君[/大文字][/太字]だ。」
朱音 :「・・・・・・へ?」
翠無 :「吸血鬼は、希少種に近づくと甘い匂いがするんだ。つまり、甘い希少種特有の匂いがすると、希少種が近くにいる、ということになる。超能力者などの、[漢字]力[/漢字][ふりがな]能力[/ふりがな]が強い者ほど匂いが強いんだが・・・初めて君に会ったときに、強烈な甘い匂いがしたんだ。」
なんかすみませんねぇ。
翠無 :「しかし、普通小学5年生真っ只中の人に甘い匂いがするのはまずありえない。しかも、強烈な。つまり_君は、小学5年生真っ只中にして超能力者になった者、[太字][大文字]神並様[/大文字][/太字]なんだ。」
うんだ〜〜れ???カミナミサマ?????またまた新しい単語が出てきたよ〜。
翠無 :「神並様とは、神と同じ存在の者なんだ。しかし、神並様がいたとされる事例は、記録がある中でたったの1件。超超超超貴重な人なんだ。[小文字]まさか俺が生きてる時代に存在しているなんて・・・。[/小文字]」
神と同じ存在・・・ん?え?ゑ?は?ひ?ふ?へ?ほ?つまり・・・・[太字][漢字]私[/漢字][ふりがな]朱音[/ふりがな]は神と同じ存在[/太字]っていうこと・・・?
えぇええええぇぇえぇぇえぇえええぇぇぇええぇえええぇえ!?!?!?!?!?
朱音 :「えぇええええぇぇえぇぇえぇえええぇぇぇええぇえええぇえ!?!?!?!?!?」
心と口で同じ声を出したけど、私が神並様なのはマジでヤバい。
翠無 :「いいか。ここからが重要だ。希少種は狙われやすい。特に超能力者。しかも、神並様となるとなおさら命が狙われる。君は、神であり、悪人の標的なんだ。」
言い換えると、神だから悪人の標的・・・。
考えるだけで鳥肌が立つ。
翠無 :「・・・あぁ、自己紹介をしてなかったな。俺は、悪鷹 翠無。15歳だ。高1だけどな。
俺の父が、中央警察署の捜査一課に努めてて、母が大人気小説家。祖父が現内閣総理大臣。双子の姉がいる。」
中央警察署の捜査一課ってエリートやん。しかも母が大人気小説家。んで祖父が_祖父があぁああぁああぁああ!?!?えっえっえっえっ現内閣総理大臣!?この人、何者?えっぐ。
朱音 :「私は、神鳥 朱音、11歳です。」
自分は簡潔に自己紹介をした。
「すっくね。」とか言われたけど笑顔で無視。
翠無 :「・・・あの、さ・・・。」
朱音 :「はい?」
翠無 :「俺と[太字][漢字]番[/漢字][ふりがな]つがい[/ふりがな][/太字]になってくれる?」
朱音 :「ツガイ?」
あーもーなんで続々と知らない新しい単語が出てくんだよ。
翠無 :「番は・・・ざっくり言ったら・・・[漢字]ペア[/漢字][ふりがな]カップル[/ふりがな]になるということ。」
朱音 :「いやいや私達まだ出会って10分も経ってませんよ?」
考える暇もなくツッコんでしまったが、事実だ。本当に出会って1時間も経ってない。間もないのにペアになれと?[太字]イケメンにも程があるぜ?[/太字]ずっと思ってんだけど、キラキラ〜〜ってしてて眩しいんよ。目に遮光カーテンが欲しいんよ。
イケメンと自覚してんなら帽子被って外出ろや。
翠無 :「そうだよな・・・ごめん。でも、いつかは朱音ちゃんの両親に、朱音ちゃんが神並様ということを話したいんだ。」
いやいつちゃん付けOK言った?しかも自分で話せるし。ナメんなよ・・・小5ながら身長142cmのチビだけど、一応ゴリラとかターボババアって言われてるし。(←一部のデリカシー無い男子から)
朱音 :「もう行ってもいいですか?塾がありますし・・・。」
翠無 :「えっそうなの?ごめん。」
ササッと走り出し、急いで塾へ向かった。
朱音 :「ありがとうございました。」
やっぱり今日も2時間超えたな・・・疲れた〜早くかーえろ。
・・・・・・・は?
翠無 :「やっと終わったか。」
なんでここにいんだよおおおおおおおお!!
翠無 :「朱音ちゃんの家ってこっちなんだね。」
朱音 :「そうです。んで、なんでモデル級イケメン[打消し][打消し]ナンパ[/打消し][/打消し]男が着いてくるんですか?私が神並ということを説明するからですか?」
翠無 :「うん。」
・・・なんやこいつ。
朱音 :「ただいま〜。」
綾音 :「おかえり・・・って、お姉ちゃんなんで悪鷹様といんの!?!?えっ!?」
なんで「様」?そんなに有名なの?
綾音 :「ママ〜〜!!悪鷹[小文字]様っ[/小文字]悪鷹さんが来た!!」
清子 :「あら、こんばんは。すみませんこんな格好で。」
あ〜やっぱりそう言うか。
清子 :「上がって下さい。」
朱音 :「え?家汚いよ?」
清子 :「たしかに・・・。」
綾音 :「一瞬でキレイにしてくる!」
ダダダッと走り去った綾音を、私と翠無さんとママがポカーンと見送った。
朱音 :「とっとりあえず玄関に。」
翠無 :「うっうん。」
綾音はマジで一瞬で家全体をキレイにして、家に招き入れた。
翠無 :「お話がありまして。」
清子&綾音:「?」
清子&綾音:「えっ!?」
綾音 :「つまり、お姉ちゃんは・・・」
清子 :「神並様っていうこと?」
翠無 :「はい。だから、命を狙われる可能性が高いので、番になりたいと。」
清子 :「なるほど・・・。」
そこはなるほどじゃねぇだろ。もうなんなのこの人達・・・泣いちゃう。
清子 :「・・・あなたのことはテレビでよく見るけど、本当はどうか分かりません。なので、あなたの本当の功績を認めたら、番になっても良いです。」
さすが我が母。(←さっきなんて言った?)
翠無 :「分かりました。今日は突然押しかけてすみませんでした。」
綾音 :「いえいえっ!私はなんとも思ってないですし、逆に嬉し_」
ブーブーブーブー
バイブ音だ。音は・・・翠無さんのバッグからだ。
すんごい綾音ションボリしてるなー。ま、たしか、綾音は翠無さんの熱狂的ファンだったような気がするから・・・お気の毒に。
翠無 :「あっもしもし父さん。あっごめんごめん。今・・・知り合いの家に行ってて。ちょうど家から出ようとしたところ。うん・・・うん・・・1人で帰れるよ。うん。じゃ、は〜い。」
翠無さんのあの返し方からすると、お父さん、心配してるのかな?
いいな・・・私のパパは、いつも仕事で会話をする時があんまりない。塾のお迎えにたまに来たり、週末に短い会話をするくらい。
朱音 :「じゃあ気を付けて。」
翠無 :「・・・あぁ。」
気まず過ぎてあっさりさよならしてしまったが・・・問題はこの後で_
綾音 :「お姉ちゃんヤバ!!!悪鷹 翠無様と知り合いになるなんてヤバ!!うらやま!」
朱音 :「あはは〜そんなに有名なんだね〜。(棒)」
綾音 :「わああぁあぁああぁぁぁああすっげぇえっぇえええぇええ!」
うるせっ
【翠無|視点】
結局伝えられなかったな。俺が、吸血鬼の中でも、ほんちょっと貴重な存在なこと。