短編集。
私が家に戻ってきた頃にはもう太陽が登りきっていた。
「ただいま…、」
「おかえり…。」
「みるは…?」
「ちょうど今昼寝させてる。」
「…ありがと。」
私は玄関まで来てくれた佑を無視してリビングに入って行った。
「愛…!」
「……。」
後ろから声をかけられたが、私は一切振り向かずに2階に上がった。
それでも佑は声をかけてくる。その声を聞いて、私はついに佑の方を向いた。
「言って欲しかった…、」
「ごめん…。」
「お願いだから生きて…、治療してよ…。どれだけお金がかかってもいいから…。お願い…。」
「……。」
そのお願いに佑は答えなかった。
「愛にも、みるにも申し訳ないんだけど…、俺は[太字]生きることはできないよ。[/太字]」
「どうして…?」
「お金がかかりすぎる。」
「それなら貯金もあるし、これからだって頑張れば貯めれr」
「愛への負担が大きすぎる。」
「例えそれで俺が助かっても、助からなくても、どちらにしろ愛に負担がでかい。今はみるもいるだろ?みるが小学生になったらもっとお金が必要になってくる。それのための貯金だろ。それを俺に使うな…。助かったとしても、そこから入院したりして、また愛に迷惑をかけることになる。」
「それでも、私は佑に生きて欲しい。」
「……ごめんな。」
佑はその一言だけを言ってまた1階へと降りて行った。
私は佑がいなくなるということに許せなかった。
少しでも助かる確率があるのなら、入院してでも、私にどれだけ大きな負担がかかってでも、佑が助かる可能性ができるなら、それでよかったのに。
あの人はいつも私たちのことを考えて、そして次は私たちのことを考えて自分の命を捨てるなんて…。
『嫌だよ。そんなの絶対に嫌だ。
このままいなくなるなんて、私…、許せない…。』
『今まで私たちのことを考えてくれた、あの時間の恩返しをここで使ってもいいんだよ?』
そんな話だってした。
だが、そんな話をしても、佑はいつでも「ごめん」の一点張り。
そんな話が続いた1週間後だった。
**
「ただいま…、」
「おかえり…。」
「みるは…?」
「ちょうど今昼寝させてる。」
「…ありがと。」
私は玄関まで来てくれた佑を無視してリビングに入って行った。
「愛…!」
「……。」
後ろから声をかけられたが、私は一切振り向かずに2階に上がった。
それでも佑は声をかけてくる。その声を聞いて、私はついに佑の方を向いた。
「言って欲しかった…、」
「ごめん…。」
「お願いだから生きて…、治療してよ…。どれだけお金がかかってもいいから…。お願い…。」
「……。」
そのお願いに佑は答えなかった。
「愛にも、みるにも申し訳ないんだけど…、俺は[太字]生きることはできないよ。[/太字]」
「どうして…?」
「お金がかかりすぎる。」
「それなら貯金もあるし、これからだって頑張れば貯めれr」
「愛への負担が大きすぎる。」
「例えそれで俺が助かっても、助からなくても、どちらにしろ愛に負担がでかい。今はみるもいるだろ?みるが小学生になったらもっとお金が必要になってくる。それのための貯金だろ。それを俺に使うな…。助かったとしても、そこから入院したりして、また愛に迷惑をかけることになる。」
「それでも、私は佑に生きて欲しい。」
「……ごめんな。」
佑はその一言だけを言ってまた1階へと降りて行った。
私は佑がいなくなるということに許せなかった。
少しでも助かる確率があるのなら、入院してでも、私にどれだけ大きな負担がかかってでも、佑が助かる可能性ができるなら、それでよかったのに。
あの人はいつも私たちのことを考えて、そして次は私たちのことを考えて自分の命を捨てるなんて…。
『嫌だよ。そんなの絶対に嫌だ。
このままいなくなるなんて、私…、許せない…。』
『今まで私たちのことを考えてくれた、あの時間の恩返しをここで使ってもいいんだよ?』
そんな話だってした。
だが、そんな話をしても、佑はいつでも「ごめん」の一点張り。
そんな話が続いた1週間後だった。
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