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短編集。

#5

余命宣告。(4)

探し始めてどれくらい経ったのだろうか…。

私はいつの間にか、絶対いないであろう病院の前に来ていた。
そしてそこのベンチに座り、いろんな考え事をしていた。

すると病院から出てくる佑の姿があった。

私はなんの考えもせずに声をかけた。


「佑…!!」

「…愛?!どうしてここに…?」
「ちょっ…その格好…!」

「え?」


私は家を飛び出してきてしまったせいか、パジャマのまま、つまり、佑の前でしか見せないゆるすぎる格好できてしまっていた。

それを見た佑は、自分が着ていたカーディガンを私に着せてくれた。


「ごめん…、私あの手紙見てパニックで何もせずに出てきちゃってた…。」

「…ごめんな。」

「なんで謝るの…?ねぇ、私なんか悪いことした…?」


そう聞くと、佑はすぐに首を横に振った。


「違うんだ、愛は全く悪くない…。」

「じゃあ、なに…?というかどうして病院なんかに…?」

「落ち着いて聞いて欲しいんだけどさ…。」

「うん…、」

「俺死ぬんだって。」

「え…?」


私は落ち着いて聞くことなんかできなくなった。

佑の話によると、1ヵ月ほど前から余命宣告を受けてて、昨日も言おうとしたがやはり言えなかった、とのこと。

そして家を出てきた理由も、治療をするとなると、私に迷惑がかかるし、みるにも迷惑がかかるから先に手放してしまった、とのこと。


「ごめん…。俺勝手に愛とみるのこと手放して先に離れようとしてた…、ごめんなさい。」

「謝らないで…、それよりどういうこと…。」

「治療をすれば治るかもしれないって…、でもその確率が40%いくかいかないかくらいで…、お金もかかるしやめようと思ってるんだ。」

「どうして言ってくれなかったの…。」

「俺は、愛とみるに迷惑をかけたくなかった。」
「だから…、」

「言ってくれた方が嬉しかった…、隠さないで欲しかった…。」


私はいつの間にか泣いていた。

まだ周りに人はいない、なんせ6:30なのだから。

そんな様子を見て佑は抱きしめてくれた。
でも私は嫌だった。今はそんな気分ではなかった。

だから、私は佑の手を振り解いた。


「離して!」

「愛、」

「お願いだから…、ちょっと一人にさせて…。」
「みる、桜の家だから…。」

「……わかった。」


私には時間が必要だった。
今思えば、私は自己中だったなと思う。佑には時間がなかったのに。


**

2025/04/25 23:21

ayumi. ID:≫ 72.8xvjYRJ7as
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