短編集。
「離婚?!」
「お前声が大きいって…!」
「ごめんごめん…、でもなんで…?」
そう。それは突然だった。
ある日俺が家に帰るといつもリビングで待ってくれていた妻はおらず、一枚の紙が机に置いてあるだけだった。
その紙の内容を見て俺は絶望した。
その紙は…、
離婚届だった。
どうして、
なんで、
なにかしたか、
そんな疑問が頭の中に漂い続け、どうしたらいいか分からず、とりあえず引き出しにしまった。
だから今日は仲のいい椎葉先生に相談をしたのだ。
「でも、その後愛ちゃんと話したんじゃないの?」
「話せるわけない、……だって昨日離婚届置いてあって普通に喋れるはずないだろ…。」
「愛も喋ってくれなかったし……。…なぁ、」
「ん?」
「俺離婚するしかないのかな…。」
「何馬鹿言ってんだよ。」
「お前愛ちゃんのこと好きなんだろ?じゃあなんで最後までつきあわねぇんだよ。まず話せよ。男なら自分から話しかけにいけよ。」
「…だよな。お前ならそう言うと思ったよ。ごめん…、俺馬鹿だ…ちゃんと愛と話すよ。」
「おう。」
**
「愛、今いいかな?」
「…うん。」
「佑から誘うの珍しいよね…。」
「うん…、あのさ、離婚届のことなんだけど……。」
「………。」
その話に入った途端、愛は下を向いて黙り込んだ。
「どうしてだろうってずっと考えちゃってて…、悪いことしたかなとか、でもいくら考えでも愛がなんであの結末に至ったのかがわからなくて…、理由聞いてもいいかな…?」
「……ごめんね、でも…怖くなったの…。これからもこの日常が続いていくことが…。」
「私たちはさ、二人とも教師っていう仕事をやっているわけで…、なんとなく話す時間とかもなくなっていって、話しても仕事のこととかで…、それ考えた時にさ、この日常が続いていくと思うと…怖くなったんだよね…。」
俺はその言葉を聞いて反省した。
今までなんでちゃんと愛と向き合ってこなかったのか。
なのにどうして気づいてあげられなかったのか。
「ごめん。俺…ちゃんと愛に向き合ってなかったな…、俺が付き合ってほしい、結婚してほしいって言っておいて…俺ダメだな……、愛が喜ぶこと、愛のためになること何もできてねぇ…。それなのに被害者みたいな雰囲気出して……。」
「本当にごめん。でも……離婚だけはしたくない…。お願いだ…。」
「…ちょっと考えてもいい…?」
「うん。」
**
[斜体][下線]1週間後。[/下線][/斜体]
「佑、離婚のこと…なんだけどね…。」
「…うん。」
俺は愛がどの選択をしても受け止めるつもりでいる。
それは、愛が俺に残した行動であり言葉なのだから。
俺が愛のこれからを壊すわけにはならないのだから。
「離婚の話は…撤回してほしい…。お願いします…。」
「いいの…?」
俺は愛が出した結果に驚いたが、やはり嬉しかった。
こんなにも愛している妻が離れてしまうかもしれない、という状況に陥り、後悔ばかりに浸り、どうしようと悩んでいたことが全て飛んでいくような感覚がした。
俺は愛の言葉を聞いた瞬間に愛のことを抱きしめた。
「ありがとう…、本当にありがとう……。」
「こちらこそ…ありがとう、佑があの時ああやっていってくれなかったらきっと私…こんな言葉出さなかったと思う…、だから…ありがとう。」
俺はひっそりと大粒の涙を流した。
でもその涙を隠すなんてことは不可能だったのだ。
「泣いてるの…?」
「ごめん…w自分が悪いってわかってるのに…、自分が発端ってわかってるのに…、離婚届見た時どうしても怖くなっちゃって…。ごめんな…、こんなかっこ悪い旦那で……自慢できない旦那で…、ごめん……。」
そう言う俺を愛は落ち着かせながらもしっかりと抱きしめ返してくれた。
「大丈夫だよ。」
離婚をなくしてくれたのは、愛だからだ。
俺はこれから愛に感謝して、自分を変えていかなければいけない。
それでも、愛と過ごせるのなら、幸せだ。
the end.
「お前声が大きいって…!」
「ごめんごめん…、でもなんで…?」
そう。それは突然だった。
ある日俺が家に帰るといつもリビングで待ってくれていた妻はおらず、一枚の紙が机に置いてあるだけだった。
その紙の内容を見て俺は絶望した。
その紙は…、
離婚届だった。
どうして、
なんで、
なにかしたか、
そんな疑問が頭の中に漂い続け、どうしたらいいか分からず、とりあえず引き出しにしまった。
だから今日は仲のいい椎葉先生に相談をしたのだ。
「でも、その後愛ちゃんと話したんじゃないの?」
「話せるわけない、……だって昨日離婚届置いてあって普通に喋れるはずないだろ…。」
「愛も喋ってくれなかったし……。…なぁ、」
「ん?」
「俺離婚するしかないのかな…。」
「何馬鹿言ってんだよ。」
「お前愛ちゃんのこと好きなんだろ?じゃあなんで最後までつきあわねぇんだよ。まず話せよ。男なら自分から話しかけにいけよ。」
「…だよな。お前ならそう言うと思ったよ。ごめん…、俺馬鹿だ…ちゃんと愛と話すよ。」
「おう。」
**
「愛、今いいかな?」
「…うん。」
「佑から誘うの珍しいよね…。」
「うん…、あのさ、離婚届のことなんだけど……。」
「………。」
その話に入った途端、愛は下を向いて黙り込んだ。
「どうしてだろうってずっと考えちゃってて…、悪いことしたかなとか、でもいくら考えでも愛がなんであの結末に至ったのかがわからなくて…、理由聞いてもいいかな…?」
「……ごめんね、でも…怖くなったの…。これからもこの日常が続いていくことが…。」
「私たちはさ、二人とも教師っていう仕事をやっているわけで…、なんとなく話す時間とかもなくなっていって、話しても仕事のこととかで…、それ考えた時にさ、この日常が続いていくと思うと…怖くなったんだよね…。」
俺はその言葉を聞いて反省した。
今までなんでちゃんと愛と向き合ってこなかったのか。
なのにどうして気づいてあげられなかったのか。
「ごめん。俺…ちゃんと愛に向き合ってなかったな…、俺が付き合ってほしい、結婚してほしいって言っておいて…俺ダメだな……、愛が喜ぶこと、愛のためになること何もできてねぇ…。それなのに被害者みたいな雰囲気出して……。」
「本当にごめん。でも……離婚だけはしたくない…。お願いだ…。」
「…ちょっと考えてもいい…?」
「うん。」
**
[斜体][下線]1週間後。[/下線][/斜体]
「佑、離婚のこと…なんだけどね…。」
「…うん。」
俺は愛がどの選択をしても受け止めるつもりでいる。
それは、愛が俺に残した行動であり言葉なのだから。
俺が愛のこれからを壊すわけにはならないのだから。
「離婚の話は…撤回してほしい…。お願いします…。」
「いいの…?」
俺は愛が出した結果に驚いたが、やはり嬉しかった。
こんなにも愛している妻が離れてしまうかもしれない、という状況に陥り、後悔ばかりに浸り、どうしようと悩んでいたことが全て飛んでいくような感覚がした。
俺は愛の言葉を聞いた瞬間に愛のことを抱きしめた。
「ありがとう…、本当にありがとう……。」
「こちらこそ…ありがとう、佑があの時ああやっていってくれなかったらきっと私…こんな言葉出さなかったと思う…、だから…ありがとう。」
俺はひっそりと大粒の涙を流した。
でもその涙を隠すなんてことは不可能だったのだ。
「泣いてるの…?」
「ごめん…w自分が悪いってわかってるのに…、自分が発端ってわかってるのに…、離婚届見た時どうしても怖くなっちゃって…。ごめんな…、こんなかっこ悪い旦那で……自慢できない旦那で…、ごめん……。」
そう言う俺を愛は落ち着かせながらもしっかりと抱きしめ返してくれた。
「大丈夫だよ。」
離婚をなくしてくれたのは、愛だからだ。
俺はこれから愛に感謝して、自分を変えていかなければいけない。
それでも、愛と過ごせるのなら、幸せだ。
the end.