伊達様の草の者 〜姫の巻〜
「今日から、俺たちの仲間になる者等だ。合わせて50人くらいになりそうだな」
「はぁい、それではぁ新たなくのいちは、こっちに来てくださーい」
「わ、分かりました!」
くのいちの棟梁代理は、絲。
絲は実は今、妊娠している。本当なら、鶴が引き受けるところだが、鶴は今、あいにく風邪をこじらせている。
「じゃあ、すみれからどうぞ〜」
絲は、一番手前の女子に、自己紹介して、と言った。
「えっと… 農民ですが、名字を頂きました。松島 すみれ と申します。粗相があると思いますが、何卒宜しくお願いいたします」
(すみれ ね)
ガチガチに固まるすみれを、トミは見つめる。
(愛嬌のある娘だけど…ちゃんと有能そうね)
「はい、次!」
「村田 絵馬。どうぞよしなに」
(短っ!!)
絵馬と名乗る女子は、人嫌いのようだ。
トミは、自己紹介の短さに、驚いて、
(引く引く引く引く!!! 絶対仲良くなれない!)
と思った。
「うーん、…まいっか! はい、次!」
(いやいやいや、良くない!)
「私は、加美 美里です。それで、こちらが美月」
美里という儚げな娘と、美月と言われた愛らしい娘が、ぺこりと頭を下げた。
「はいじゃあ次どーぞ!」
「えっ! それだけ?」
声に出てしまっていた。
美里と美月が、目を見開いて、私を見つめる。
(穴があく)
穴があくほど見つめるとはこういうことだ。
絲も、困り顔でこちらに寄ってくる。
[小文字][明朝体]「あのぅ、トミさん。美里さんも美月さんも、喋ることが出来ないんですよぅ。美里さんは、まだ、名前くらいは言えますが、美月さんはホントに話せないんですぅ」[/明朝体][/小文字]
(マジか)
「わかりました。絲さん」
「ではぁ気を取り直してぇ、はい!」
「あたし、牧! 力仕事は任せて! よろしくお願いしますわ!」
(熱い人キタ━━━━━━(n'∀')η━━━━━━ !!!!)
いかにも農民らしい、話し方。私も幼い頃はそのような話し方をしていた。
「うん! 女は5人だけなんだぁ。入って来た人」
「合わせて、15人だけですね」
「そーそー。私は絲で、こっちがトミさん。んで、凛、翠、みを、咲、凪、詩、マリですよぅ」
絲が紹介する。名前しか言わない雑な紹介だが、下手に深く言われても、覚えられないだろう。
「あの〜、ひとり足りなくないですか?」
「えーと、女棟梁の鶴さまが風邪だから」
「みんなが言う棟梁は男だからね」
(うん、君の旦那ね)
実は、最近栗原兵蔵が棟梁になった。
忍びもまた、若返ったのだ。
(あ…)
「女郎花が咲いてますね」
「ホントですねぇ! 皆さん見てください!」
絲ははしゃぐ。
そこまで珍しい物でもないのに。
「狂い咲きですね。それにしても、美しい…」
(すみれは、植物が好きなのか?)
すみれは狂い咲きかどうか言った。
なかなか使えそうだ。
[明朝体][大文字][太字]「女郎花って、女性のことを言う時もあるのですよ。何か、私たちを祝福しているよう」[/太字][/大文字][/明朝体]
「はぁい、それではぁ新たなくのいちは、こっちに来てくださーい」
「わ、分かりました!」
くのいちの棟梁代理は、絲。
絲は実は今、妊娠している。本当なら、鶴が引き受けるところだが、鶴は今、あいにく風邪をこじらせている。
「じゃあ、すみれからどうぞ〜」
絲は、一番手前の女子に、自己紹介して、と言った。
「えっと… 農民ですが、名字を頂きました。松島 すみれ と申します。粗相があると思いますが、何卒宜しくお願いいたします」
(すみれ ね)
ガチガチに固まるすみれを、トミは見つめる。
(愛嬌のある娘だけど…ちゃんと有能そうね)
「はい、次!」
「村田 絵馬。どうぞよしなに」
(短っ!!)
絵馬と名乗る女子は、人嫌いのようだ。
トミは、自己紹介の短さに、驚いて、
(引く引く引く引く!!! 絶対仲良くなれない!)
と思った。
「うーん、…まいっか! はい、次!」
(いやいやいや、良くない!)
「私は、加美 美里です。それで、こちらが美月」
美里という儚げな娘と、美月と言われた愛らしい娘が、ぺこりと頭を下げた。
「はいじゃあ次どーぞ!」
「えっ! それだけ?」
声に出てしまっていた。
美里と美月が、目を見開いて、私を見つめる。
(穴があく)
穴があくほど見つめるとはこういうことだ。
絲も、困り顔でこちらに寄ってくる。
[小文字][明朝体]「あのぅ、トミさん。美里さんも美月さんも、喋ることが出来ないんですよぅ。美里さんは、まだ、名前くらいは言えますが、美月さんはホントに話せないんですぅ」[/明朝体][/小文字]
(マジか)
「わかりました。絲さん」
「ではぁ気を取り直してぇ、はい!」
「あたし、牧! 力仕事は任せて! よろしくお願いしますわ!」
(熱い人キタ━━━━━━(n'∀')η━━━━━━ !!!!)
いかにも農民らしい、話し方。私も幼い頃はそのような話し方をしていた。
「うん! 女は5人だけなんだぁ。入って来た人」
「合わせて、15人だけですね」
「そーそー。私は絲で、こっちがトミさん。んで、凛、翠、みを、咲、凪、詩、マリですよぅ」
絲が紹介する。名前しか言わない雑な紹介だが、下手に深く言われても、覚えられないだろう。
「あの〜、ひとり足りなくないですか?」
「えーと、女棟梁の鶴さまが風邪だから」
「みんなが言う棟梁は男だからね」
(うん、君の旦那ね)
実は、最近栗原兵蔵が棟梁になった。
忍びもまた、若返ったのだ。
(あ…)
「女郎花が咲いてますね」
「ホントですねぇ! 皆さん見てください!」
絲ははしゃぐ。
そこまで珍しい物でもないのに。
「狂い咲きですね。それにしても、美しい…」
(すみれは、植物が好きなのか?)
すみれは狂い咲きかどうか言った。
なかなか使えそうだ。
[明朝体][大文字][太字]「女郎花って、女性のことを言う時もあるのですよ。何か、私たちを祝福しているよう」[/太字][/大文字][/明朝体]