伊達様の草の者 〜姫の巻〜
「笛を…私が直す、?」
「ええ、あなたは手先が器用です。棟梁もそう言ってたわ」
「え…」
棟梁は、伊達家に仕える忍者の、最高責任者。
トミは、最高責任者に認められたのだ。
「トミ、やってくれる?」
「は、はい! 完璧に直させていただきます!」
「うん、よろしくね」
鶴は、儚げな目を閉じ、珊瑚色の唇を上げ、にこりと笑った。
「絲さんも、手伝ってくださいますか?」
「く〜、トミさん、人使い上手くなりましたねぇ」
絲は高い所でくくった髪を、華奢な指先でくるくる回す。
舌をぺろっと出している。
愛らしさが感じられる。
[明朝体][大文字][太字][大文字]「絲さんも、お姫さまだったら…」[/大文字][/太字][/大文字][/明朝体]
[太字][大文字]ギクッ[/大文字][/太字]
絲から、何やら鈍い音がした。
「…絲さん、腰でも打ちましたか?」
「い、いえっ! わ、私、頑張りますよぅ!!」
何か慌てているようだったが、絲も手先が器用なので、笛はすぐに直った。
「はい、鶴さま」
「ありがとう」
「この笛はですねぇ、『神楽笛』というそうですよぅ」
「そうよ、母上から頂いた物なの」
神楽笛とは、雅楽などに使われる横笛である。
「それで、この笛は特別で、妖気を発するのだそう!」
(妖気!?)
「現を夢と思わせたり、真実を吐かせたり」
「この世にあってはならぬ物なのですぅ」
「ええ、あなたは手先が器用です。棟梁もそう言ってたわ」
「え…」
棟梁は、伊達家に仕える忍者の、最高責任者。
トミは、最高責任者に認められたのだ。
「トミ、やってくれる?」
「は、はい! 完璧に直させていただきます!」
「うん、よろしくね」
鶴は、儚げな目を閉じ、珊瑚色の唇を上げ、にこりと笑った。
「絲さんも、手伝ってくださいますか?」
「く〜、トミさん、人使い上手くなりましたねぇ」
絲は高い所でくくった髪を、華奢な指先でくるくる回す。
舌をぺろっと出している。
愛らしさが感じられる。
[明朝体][大文字][太字][大文字]「絲さんも、お姫さまだったら…」[/大文字][/太字][/大文字][/明朝体]
[太字][大文字]ギクッ[/大文字][/太字]
絲から、何やら鈍い音がした。
「…絲さん、腰でも打ちましたか?」
「い、いえっ! わ、私、頑張りますよぅ!!」
何か慌てているようだったが、絲も手先が器用なので、笛はすぐに直った。
「はい、鶴さま」
「ありがとう」
「この笛はですねぇ、『神楽笛』というそうですよぅ」
「そうよ、母上から頂いた物なの」
神楽笛とは、雅楽などに使われる横笛である。
「それで、この笛は特別で、妖気を発するのだそう!」
(妖気!?)
「現を夢と思わせたり、真実を吐かせたり」
「この世にあってはならぬ物なのですぅ」