伊達様の草の者 〜姫の巻〜
[明朝体][大文字]『あのお方は、竜なのですね』[/大文字][/明朝体]
あの、愛姫の言葉が、トミの頭の中でこだまする。
(竜…。中国の言葉…虎哉宗乙様…)
「どーしたんですかぁ? 何かあったんですかぁ?」
「わっ! びっくりした…」
絲がひょこっと顔を出し、トミは腰を抜かした。
「もうっ、私は物の怪ではございません〜」
「いや、別に物の怪とは言っておりませんよ」
絲の冗談は、面白いとも言えない。
うっとうしいとも思うことがあるが、良くしてもらっているので、やめろとは言えない。
「それに。もっと物の怪のような『くのいち』はいるでしょう?」
「まぁ、そうですがぁ…あ…」
「?」
「う、後ろっ!」
青ざめて震える絲が言った通り、後ろをふりかえる。
そこには、横笛を持った、『雅楽白石』という二つ名を持つ、白石鶴が立っていた。
「鶴さま…」
「あら、『舞踊角田』にバレてしまいましたか」
『舞踊角田』は、絲の二つ名。
絲は結婚する前は、『角田 絲』だった。
「いえいえー、トミさんは、ちゃんと分かってましたよぅ」
「!? …えーとで、なんの用でございますか?」
「笛を直して欲しいの」
あの、愛姫の言葉が、トミの頭の中でこだまする。
(竜…。中国の言葉…虎哉宗乙様…)
「どーしたんですかぁ? 何かあったんですかぁ?」
「わっ! びっくりした…」
絲がひょこっと顔を出し、トミは腰を抜かした。
「もうっ、私は物の怪ではございません〜」
「いや、別に物の怪とは言っておりませんよ」
絲の冗談は、面白いとも言えない。
うっとうしいとも思うことがあるが、良くしてもらっているので、やめろとは言えない。
「それに。もっと物の怪のような『くのいち』はいるでしょう?」
「まぁ、そうですがぁ…あ…」
「?」
「う、後ろっ!」
青ざめて震える絲が言った通り、後ろをふりかえる。
そこには、横笛を持った、『雅楽白石』という二つ名を持つ、白石鶴が立っていた。
「鶴さま…」
「あら、『舞踊角田』にバレてしまいましたか」
『舞踊角田』は、絲の二つ名。
絲は結婚する前は、『角田 絲』だった。
「いえいえー、トミさんは、ちゃんと分かってましたよぅ」
「!? …えーとで、なんの用でございますか?」
「笛を直して欲しいの」