伊達様の草の者 〜姫の巻〜
「政宗様のお顔は、いかがでしたか?」
「おさき、とても凛々しいお顔立ちだったわ。右目はそこまで怖いわけではなかったし」
愛がらんらんと話すので、おさきが額に手を当てて言った。
「いえ…、あの『奥羽の鬼姫』が気味悪がるって…」
「それは…何? 『おおうのおにひめ』とは?」
[大文字][明朝体]「それは、私のことです」[/明朝体][/大文字]
そこに現れた声の主は、政宗の母で、最も政宗を毛嫌いする、義姫だった。
「! 義姫さま…」
「義母上さま! まことに申し訳ございません!」
真っ青になって震えるおさきを愛が庇う。
ぺこりと頭を下げる様子からは、自分の血筋を鼻にかけるような姫ではないことがうかがえる。
「よろしくてよ」
「しかし…なぜ、このような所に?」
「ええ、息子の嫁を見に参ったまで。…政宗は、恐ろしくはないのか? 目がないのだぞ?」
「片目を手で隠しているような感じです。とても素敵な方でした」
愛姫は右目を手で覆い、鬼姫に怯まず話す。
「そう…政宗を守ってやって頂戴」
「はい、義母上さま」
そうして、義姫は去っていった。
「義姫さまは政宗様を毛嫌いしているという噂は、嘘だったのでしょうか…?」
「さあ? でも、顔を気味悪がっているのは本当のようね」
「おさき、とても凛々しいお顔立ちだったわ。右目はそこまで怖いわけではなかったし」
愛がらんらんと話すので、おさきが額に手を当てて言った。
「いえ…、あの『奥羽の鬼姫』が気味悪がるって…」
「それは…何? 『おおうのおにひめ』とは?」
[大文字][明朝体]「それは、私のことです」[/明朝体][/大文字]
そこに現れた声の主は、政宗の母で、最も政宗を毛嫌いする、義姫だった。
「! 義姫さま…」
「義母上さま! まことに申し訳ございません!」
真っ青になって震えるおさきを愛が庇う。
ぺこりと頭を下げる様子からは、自分の血筋を鼻にかけるような姫ではないことがうかがえる。
「よろしくてよ」
「しかし…なぜ、このような所に?」
「ええ、息子の嫁を見に参ったまで。…政宗は、恐ろしくはないのか? 目がないのだぞ?」
「片目を手で隠しているような感じです。とても素敵な方でした」
愛姫は右目を手で覆い、鬼姫に怯まず話す。
「そう…政宗を守ってやって頂戴」
「はい、義母上さま」
そうして、義姫は去っていった。
「義姫さまは政宗様を毛嫌いしているという噂は、嘘だったのでしょうか…?」
「さあ? でも、顔を気味悪がっているのは本当のようね」