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ゆる勇!〜世界一ゆるい勇者養成学校〜

#7

魔王様、登場!?ゆる過ぎる接客業

 魔王城のツアーが進む中、ついにその「魔王様」が姿を現した。
 誰もが待ちわびていたその瞬間——

 でも、何かがおかしい。空気が一瞬、静まり返った。

「お……おおおおぉ!?魔王様、登場!?」

 ツキミが思わず呟く。
 でも、目の前に現れたのは……

「え?」

 そこに立っていたのは、見た目がまったく“魔王”っぽくない人物だった。

「こんにちは〜、皆さん!魔王城ツアーへようこそ!私は魔王様、今日も昼寝をたっぷりしたので元気いっぱいです〜!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。魔王様、見た目が……普通のおじさんじゃん!!」

 ツキミは思わずツッコんだ。
 確かに、目の前に立っている「魔王様」は、長い黒髪をきちんとまとめた、中年の男性であり、どう見てもオフィスワーカー感が漂う。

「僕が魔王、そう、ただの魔王です!あ、みんなのお昼ごはんはもう準備してあるよ〜。今日は特製のソーセージピザだよ!」

「いや、お前魔王だろ!?ソーセージピザって何!?どんだけフレンドリーだよ!!」

「まぁまぁ〜、いいじゃない。王国の経済も、平和に暮らすための心がけが大事だからさ〜。これでみんなが元気になるなら、それでオッケー!」

 魔王様はのんびりと、まるで昼寝から起きたばかりのように、気だるそうに話す。その姿に、生徒たちの表情が固まる。

「魔王様、すごく……リラックスしてるんですね……」

「はい!その通り!毎日お昼寝とソーセージピザで元気をチャージして、今日も皆さんに楽しいひとときを提供するんですよ!」

 しばらくすると、ツアーは再開されたが、魔王様のゆるすぎるガイドに、ツキミたちの心は完全に持って行かれてしまった。

「さて、次は魔王様の寝室をご覧いただきます!」

「え、また寝室!?」

「そう、魔王様はかなりの寝坊さんで、寝室が大好きなんです。毎朝の起床が一番の挑戦らしいですよ〜」

「ちょっと待て!寝室ばっかり紹介してるけど、魔王城の本当の強さはどこにあるんだ!?」

「うん、それはね、魔王城の最深部にある『勇者の試練』があるんだけど、これがまためちゃくちゃ楽しいんだ〜」

「楽しい試練って何だよ!?」

 ツアーが進んで行き、魔王城の「勇者の試練」に到着。

 その試練は、見た目以上にシュールだった。

「こちらが『勇者の試練』。魔王様が作った、勇者に必要な心構えを学ぶ場所です。さあ、どうぞ!」

「……なんだ、これ?」

 目の前に現れたのは、巨大なパズル。

「これが試練かよ!?パズル!?俺たちが勇者になるために、パズルを解けってか!?」

「そうそう!でもこれは結構難しいんだよね〜。魔王様が毎日、パズルを解いてみんなにアドバイスをくれるんだから、ありがたいよね!」

「魔王様、パズルって……勇者養成には全然関係ないだろ!」

 その時、突然、魔王様が言った。

「さて、試練の最後の部分です。皆さんが一番大事なことを学ぶ時が来ました!」

「おおっ、いよいよ試練がクライマックスか!?」

「これが試練の核心です!」

 魔王様が指をパチンと鳴らすと——
 目の前に現れたのは、巨大なベッド。

「ベッド!!?」

「そう!これが最後の試練、寝ることです!!」

「寝るって……!?これが本当に試練なのか!?」

「はい、寝ることはとっても大事だよ!しっかり寝ないと、勇者の力は発揮できないんだから!さあ、みんなも寝てみて!」

 ツキミたちは驚愕のまなざしで魔王様を見つめた。

「**寝るだけ!?**これが魔王城の試練!?」

「はい!寝て、しっかりとした休息を取ることが大事だよ!君たちも一度やってみて!試験を終えた後にちゃんと寝て、魔王城の力を感じて!」

 そして、魔王様の試練を受けたツキミたちが、ゆっくりとベッドに横たわる——

 次第に、昼寝の誘惑が襲ってきて……みんな、眠りに落ちていった。

【📣クロくんアナウンス:「魔王城、最もリラックスできる場所として認定」】

【📣次回、修学旅行の行方は!?】

作者メッセージ

ここまで読んでくれてありがとうね〜!魔王城ツアー、楽しんでもらえたかな?
ピザ食べて、昼寝して、たまには笑って、のんびりするのも立派な冒険だよ〜。
キミの毎日が、ちょっぴり楽しくなったなら嬉しいな!
また次のツアーで会おうね〜♪ 

魔王様

2025/04/30 21:07

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