時の魔王が現れ、強烈な光を放ちながらその姿を現した。ツキミたちはその魔王の威圧感に圧倒されるも、決して引くことはなかった。戦うべき時が来たのだ。

「君たちがいくら勇者だろうと、時の力には勝てない」

　時の魔王は冷笑を浮かべながら、次々と魔法陣を展開し始めた。彼の周りに浮かぶ魔法陣が、時間そのものを操る力を感じさせる。

「俺たちが一番恐れているのは、お前の力じゃない。お前のその“過去”や“未来”を縛る力に、屈してしまうことだ」

　ツキミが一歩前に進み、しっかりと時の魔王を見据えた。

「俺たちは過去を変えるつもりはない。ただ、未来を守りたいだけだ！」

「愚かな…！君たちには理解できないだろう。時間を操る力を持つ私に、何ができるというのか？」

　時の魔王は手を広げ、時間の流れを操る魔法を放った。その瞬間、周囲の景色が一瞬で変わり、過去や未来のビジョンが視界に広がった。何もかもが歪み、ツキミたちは目の前に過去の記憶や未来の光景が襲いかかってきた。

「こんな…どうやって戦うんだ！」

　イーラが叫ぶ。未来や過去の断片が交錯し、何が現実なのかも分からなくなる。しかし、ツキミはその中で冷静さを失うことなく、仲間たちを見回した。

「みんな！これが、俺たちがここまで来た理由だ！過去の自分を乗り越え、未来に向けて戦おう！」

「そうだね、ツッキー！」

「お前の言う通りだ。俺たちは未来を作り上げるんだ！」

　ルードとイーラ、そしてネムもそれぞれ力強く頷いた。

「俺たちはただの勇者じゃない。みんなと一緒に、未来を守りたい！」

　その瞬間、ツキミは魔法を使うことを決意した。実況魔法を活用して、今度は仲間たちに力を与える実況を始める。

《実況ON AIR：「ツキミ・カナメ、仲間たちに力を与え、最終決戦のサポート開始！」》

　実況魔法が発動すると、ツキミの声が仲間たちの心に届いた。みんながその力を感じ、次々と魔法を使い始める。

「魔法陣、私が引き寄せるよ！」

　イーラが感覚を頼りに魔法陣を描き、次々と魔法を放つ。その魔法は時の魔王の時間を引き裂くように力強く空間を貫く。

「オレは前に進むために剣を振る！」

　ルードが抜いた剣を振るい、時間を越える力をその一撃に込める。

「オラ、寝てる間に力を蓄えたからな！」

　ネムは浮遊しながら、眠りから覚めた瞬間に強力な魔力を発散させ、周囲の空気を震わせた。

　ツキミは仲間たちの力を感じながら、実況魔法をさらに強化する。

《実況ON AIR：「最終兵器を封印せよ！時間を越える力を使って立ち向かう！」》

　その瞬間、ツキミたちの魔法が時の魔王を囲み、光の渦が時を逆転させるかのように渦巻いた。時の魔王は必死で反撃を試みるが、その力は次第に削がれていく。

「くっ…私の力が…！」

「お前の力に頼るだけの世界にはさせない！」

　ツキミが叫ぶと、その言葉に応えるように、イーラ、ルード、ネムが一斉に魔法を放つ。その魔法は、時の魔王の力を完全に打ち破り、ついに彼の封印が解除された。

　時の魔王は消え去り、封印が完全に戻る。ツキミたちは、まるで何もなかったかのように静かになった空間の中で、安堵の息を吐いた。

「これで…終わったのか？」

「本当に…終わったの？」

　イーラが不安そうに言うと、ルードが肩をすくめて答える。

「まあ、魔王がいなくなったから、しばらくは平和だろうな」

　ツキミがゆっくりと息をついて言った。

「これで、俺たちの物語は終わりだな」

【📣クロくんアナウンス：「最終兵器は封印され、世界は再び安定を取り戻しました。勇者たちは、成し遂げた使命を胸に新たな未来を歩み始めます。」】
【📣次回、最終回！新たな世界で、勇者たちがどんな未来を作るのか！】