試練を無事にクリアしたツキミたちは、魔王城の最深部から無事に戻ってきた。みんなが集まり、何事もなく卒業試験が終わったかのような雰囲気だが、ツキミの胸の中にはまだ疑問が残っていた。

「なあ、魔王様、あの試練って結局何だったんだ？バナナの皮だって、何か意味あったのか？」

　ツキミが魔王様に尋ねると、魔王様は不敵に笑いながら答えた。

「ふふふ、ツキミくん、君もなかなか鋭いね。実はあの試練には深い意味があったんだよ。バナナの皮…というのは、ただの象徴に過ぎない」

「象徴？」

「そう、試練を通して君たちが学んだこと、それが君たちが卒業に値するかどうかの基準なんだ」

「ふーん。でも、バナナの皮を使う意味って…？」

「それはね、君たちが**“困難を乗り越える力”**を持っているかどうかを見るためだったんだ。人生には滑る時もある。それを乗り越え、立ち上がる力を持っているか。それが、勇者として最も大切なことだからね」

「なんか、急にかっこいいこと言われても…」

「でも、ツキミくん、君はしっかりとその試練をクリアした。君は本物の勇者だ」

　その言葉に、ツキミは驚きつつもどこか嬉しくなった。みんなが集まり、魔王様が卒業式の準備を始めた。

「さて、みんな、君たちが本当に勇者になったことを証明するために、卒業式を行おう！卒業証書を渡すよ！」

　魔王様がにこやかに言うと、ツキミたちは各々、異なる反応を示した。

「卒業証書！？おいおい、俺、ほんとに卒業できるんだな？」

「やった！ついに自由だ！」

　イーラは嬉しそうに両手を挙げ、ルードもどこかリラックスした様子で頷いた。

「俺、正直、卒業するのが怖かったけど…」

「お前、卒業するのが怖かったのか？」

　ツキミがイーラをからかうと、イーラは照れくさそうに笑った。

「さて、君たちにはこれが卒業証書だ！」

　魔王様が一人一人に卒業証書を渡していく。

「これで君たちは立派な勇者だ。次に何をするかは君たち次第だよ」

「ありがとう、魔王様」

　ツキミが感謝の言葉を述べると、魔王様は目を細めて笑った。

「ところで、ツキミくん、君たちの卒業式はこれで終わりじゃないよ。君たちには、最後に隠された真実を知るべきだ」

「隠された真実？」

　ツキミは驚いて魔王様を見つめた。その時、魔王様の表情が突然、真剣なものに変わった。

「そう、君たちが卒業して勇者となったその瞬間、君たちには世界の秘密が明かされる時が来る。それを知ることこそが、君たちが真の勇者になるために必要なことだからね」

「世界の秘密…？」

　ツキミが少し怖くなりながら尋ねると、魔王様は一歩前に出て言った。

「君たちが勇者になったその理由、それは単なる物語の一部に過ぎない。君たちがこれから直面するのは、魔王城の深層に隠された古代の謎だ。その謎が解かれなければ、世界は再び崩壊する」

「再び…崩壊？」

　ツキミは目を見開いて言った。

「君たちが卒業することで、世界の運命が変わる。君たちは、その運命を変えるために選ばれたのだよ、ツキミくん」

　その言葉に、ツキミたちはただただ驚きのあまり、言葉を失った。

「おいおい、卒業していきなりそんな話かよ！」

「ま、まあ、そんな感じで、これからの人生が大変だな」

　ルードは冷静に言ったが、その目はどこか不安げだった。

「大丈夫、みんなで乗り越えれば怖くないさ」

　イーラが励ますように言ったが、ツキミはまだ信じられないような気持ちでいっぱいだった。

「じゃあ、君たちがこれから知るべきは、魔王城に封じられた最終兵器の存在だ。それが解放されると、世界は再び危機に陥る」

「最終兵器…？」

「君たちが卒業することで、すべての始まりが始まる。さあ、今、君たちが選ばれた理由を知りなさい」

　魔王様が一歩後ろに下がり、古代の魔法陣が浮かび上がる。

「この魔法陣の力で、君たちにその秘密を伝える」

　魔法陣が光を放ち、次の瞬間、ツキミたちは異世界へと引き寄せられるように感じた。

【📣クロくんアナウンス：「卒業式の後、次なる試練が君たちを待っている！」】
【📣次回、魔王の秘密がついに明かされる！】