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ゆる勇!〜世界一ゆるい勇者養成学校〜

#10

魔王城最終決戦!?掃除用具VS勇者たち!

 ツキミたちは、目の前に現れた掃除用具たちを呆然と見つめていた。

「まさか…掃除用具が魔物だったのか?」

「どう見ても、ただの掃除用具なんだけど…」

 その巨大なホウキが、ゴゴゴゴッと地面を擦りながら動き出し、雑巾モンスターがぴったりと後ろについてきた。

「でも、あいつら、ただの掃除用具には見えないな…」

 ツキミが言うと、イーラが何かに気づいた。

「これ、たぶん…魔王城の掃除用具が、魔力で強化されてるんだ!」

「えっ!?掃除用具に魔力!?」

「お前が言うな!!普通じゃあり得ないだろ!!」

 ツキミが驚きの声を上げると、ホウキが「ブーン」と不気味な音を立てて空中に浮かび上がる。

「これは…もう戦うしかないか?」

 ルードが剣を手に取ると、ツキミもようやく覚悟を決めて手に持っていた木の棒を握りしめた。

「いいや、戦う必要なんてないだろ!だって、結局、これ掃除用具だろ?」

「でも、もし本当に魔王城の“最強の封印”が解けたなら…」

「なぁに、どうせ掃除用具でしょ?逆に魔王様が出してくるやつ、また大したことないんだってば!」

 ツキミは、魔王城のゆるさにもうすっかり慣れてしまっていた。

 突然、ホウキが音もなく地面を蹴り、一気にツキミたちに向かって突進してきた。

「来た!?」

「何だこれ!こいつ、かなり速いぞ!!」

「避けろっ!」

 ツキミが思わず横に飛びのくと、ホウキが目の前の壁に激突し、壁をバリバリに掃除していった。その音が響き渡る。

「掃除のプロかよ!」

「す、すげぇ…!」

 イーラは軽く魔法でホウキを撃退しようとしたが、ホウキがうまく回避し、雑巾モンスターがその隙を突いてツキミに向かってきた。

「おい、雑巾!お前は戦う気か!?」

「雑巾に挑戦されてる気分…!」

 ツキミは笑いながらもその攻撃を避ける。だが、雑巾モンスターは意外と動きが早い。

「こいつら、ただの道具じゃなかったか…!」

「そうだよ、ツッキー!掃除道具も立派な魔物だもん!魔王城がすべてを支配してるんだよ!」

 イーラが一瞬だけ真面目な顔をしながら言った。その言葉に、ツキミは改めてこの学校のゆるさと、魔王城の本気を感じた。

「うーん、じゃあ、どうすればいいんだ…?」

 ツキミが悩んでいると、ネムが静かに起き上がり、寝袋を引きずりながら言った。

「試しに、寝てみるか…?」

「寝てみる?ここで寝てどうすんだよ!?」

「うん、試してみるよ。寝ると、きっと何かが変わるはず…」

 ネムがそのまま寝転がった。そして、なんと…寝袋を敷いたまま寝始めた。

「寝てる!?今、寝るの!?」

「おい、寝ちゃうのかよ!?魔物と戦ってるんじゃなくて寝てるんか!?」

 その瞬間——

「ぐぅ〜、うるさいなぁ…寝かせてくれよ…」

 突然、魔王様が寝室から現れた。寝巻き姿でふわふわと歩いてきた魔王様が、何も知らずにそのままツキミたちの目の前に立った。

「…あれ、掃除用具の魔物が出てきた?」

「魔王様、寝巻きで出てこないでくださいよ!!」

 ツキミが叫ぶが、魔王様は何事もなかったかのように笑って言った。

「ふふ、君たち、掃除用具で困ってるの?」

「魔王様、なぜ今ここに!?寝巻き姿で!?」

「んー、だって、みんなが掃除してるから、ちょっと手伝おうと思って。魔王城、掃除しておかないと、後ですごく面倒なんだよね〜」

「は!?それが魔王様の姿なの!?掃除を手伝いに来る魔王様ってなんだよ!?」

 そう、魔王様は実は…掃除用具の“魔力を解放”して暴れさせることで、最終的に掃除を効率よく終わらせる作戦だった。

「ふふ、君たちもいいチームだね!これで掃除が早く終わるといいな〜!」

「魔王様、最初から言ってくださいよ、それ!?」

【📣クロくんアナウンス:「掃除用具の魔物撃退完了!最終試練終了!」】
【📣次回、ついに卒業試験!?】

作者メッセージ

ここまで読んでくれて…ありがとな。バカバカしい話だったかもしれねぇけど、オレたちにとっちゃ、大事な冒険だったんだ。
…次も、もしよけりゃ付き合ってくれよな。

ルード

2025/05/03 21:02

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