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ゆる勇!〜世界一ゆるい勇者養成学校〜

#1

入学式と、寝てるだけの天才

 王国が、勇者不足に悩んでいた。

 魔王が復活して以来、世界はそれなりにピンチだ。だが、肝心の勇者がいない。いや、いなくはないのだが……なぜか全員、魔王の部下の営業トークに屈して、フリーランスになるという始末。

 そんな中、王国が編み出した最後の手は——

「もう、いっぱい育てたらなんとかなるんじゃね?」

 という極めて雑なものであった。

 かくして建てられたのが、**国家公認 勇者養成学校『ゆる勇学園』**である。

 そして俺は今、そこの新入生として、グラウンドに立っていた。

 あ、自己紹介遅れました。俺の名前はツキミ・カナメ、16歳。どこにでもいる常識人(たぶん)。なぜここに入学したかは……まぁ、親が勝手に願書出してたんですよ。まじで。

 さて、目の前では入学式が、どう見てもぐだぐだに進行していた。

「え〜〜〜、本年度も〜〜、いろいろ頑張ってくださ〜〜い……ぐぅ……」

 マイクを握っていた学園長が、椅子ごと後ろに倒れて寝た。

 拍手は起きない。誰も驚いてもいない。

「……なにこれ?」

 俺が呟くと、隣の女子生徒がケタケタ笑った。

「これでも去年よりマシらしいよ。去年は入学式そのものが忘れられてたんだって!」

「マジでなんでこの学校が認可されたんだ……?」

 そして次の瞬間、俺は初めて“彼”と出会った。

 芝生のど真ん中で、寝袋に包まって爆睡している男子。

 ていうか、なんで寝袋持参なんだよ。

 そしてその周囲には——

「スライム……寄ってきてない?」

 青いぷるぷるが、ぞろぞろと彼の寝袋に集まっていた。しかも、全員がうっとりした表情で、寝袋の上に乗っかって寝ている。

 周囲の空気があきらかに癒されていた。鳥がさえずり、小花が咲き、空気が澄んでいく。

「……もしかして、あれが“ネム”って人?」

 横から誰かが教えてくれた。

「“寝てれば世界救える”って信じてる、伝説のやる気ゼロ男。去年、体験入学で寝ただけで、モンスター100体が正気に戻ったって話」

「……何その聖人現象」

 と、そのとき。

「おっそーい!朝飯食べてから来たのにまだやってるの〜?私、待ちくたびれて魔法陣4枚描いちゃったよ〜」

 グラウンドの上にふわっと浮かぶのは、制服の袖を絵の具まみれにした少女。背中に巨大なキャンバスを背負い、足元には光り輝く手描きの魔法陣。

「イーラ・スピカ、魔法科トップ、参上☆」

 ……どうやらこの学園、まともな奴は俺だけらしい。

作者メッセージ

この物語の始まりにようこそ!「世界がピンチ?よし、学校建てよう!」っていうノリで始まりました。ツキミくんが常識人枠で耐えられるのか、作者も心配です。ちなみに、勇者学園の認可理由はいまだに不明です(多分勢い)。まだまだゆるい冒険が続きますので、よろしくね!

月影

2025/04/24 21:42

月影 ID:≫ 5iUgeXQ3Vbsck
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