「夜の杖か……」

数年前に魔法警備隊の隊長に就任した神格者ライオ・グランツが[漢字]光の神杖[/漢字][ふりがな]ライトケイン[/ふりがな]と呼ばれるように、⚪︎⚪︎ケインというのは通常、神格者の称号だ。
じゃあ何であの老人はこの杖のことを[漢字]夜の神杖[/漢字][ふりがな]ナイトケイン[/ふりがな]と呼ぶんだ？　もちろん、あの老人がこの杖を売り捌く為に勝手に付けただけかもしれない。
でも、それだけでは腑に落ちないにで歩きながら悶々と考える。

[漢字]夜の神杖[/漢字][ふりがな]ナイトケイン[/ふりがな]、ナイトケイン。普通にカタカナ読みじゃない時は、夜のかみつえ？うーん、なんか違うような。
確か神を音読みしたららシン。杖は確かジョウだよね。だから神の杖と書いて、シンジョウ。
えーっと、たしかマドル家の図書室にあった「魔法使いと杖の歴史」っていう歴史書の５６ページの「古代の杖」って章に「シンジョウ」について書かれてた筈なんだけど、まっっっっっったく内容が思い出せない。逆に題名とページまで覚えててシンジョウを忘れるって何なんだよ。
まあ、忘れたことを必死に思い出そうとしてもそう簡単には思い出せないのが人間という生き物。
といいことで、諦めましょうか。



***



今夜は天気が良いので、屋根の上で寝ようと思った。
何で屋根？と思うかもしれないが、人間というのは案外自分の視線より上には目が行かないもので、静かにしてれば屋根の上で人が寝てるなんて気づかれない。路地裏で寝るよりここの方がよっぽど安全だ。
晴れ渡った日の夜は星がよく見えてきれいだし、この街はそこまで都会じゃないので夜の闇を追いやるほど明るい光は灯っていない。
屋根はゴツゴツしていて寝心地はいいとは言えないのだが、地面や木の上で寝るのとあんまり変わらないのでまあいいや。
そんな事を考えながら眠たくなるのを待つ。

明日のご飯は何にしよ〜。この辺は蛇いないからなー、捨ててある食べ物を食べるのも衛生上気になるしな〜。
う〜ん、現実ばかり考えてたら眠たくなって来たから寝よう。おやすみ。



















なん＿、よ＿＿＿＿にえら＿＿た＿＿＿り。

汝、よ＿＿の神にえらば＿た＿＿のなり。


汝、夜の神に選ばれた者なり。