家出小娘
只今、草木も眠る丑三つ時真っ只中。私は今から家出決行する。
家出の基本は誰も気づかないとき。
普段から睡眠薬を飲んでいるお母様や家を出て学校の寮で暮らしているお兄様はさておき、お父様は同僚と呑んでくるなーんて言って外に出て行ったが、実際は愛人とあはーん、うふーんの熱々の夜を過ごしている。全く持ってクズ野郎である。
使用人さんの中で夜の見回り的な仕事を真面目にするのは20人中、5人ぐらいしかいないのでそんなに気にする必要はない。
裏門に近くに来てふと、家出の準備中の事を思い返す。
家出の準備中は本当に色んなことがあったなー。
例えば、魔法が上手く出来なくてお母様がヒスったり、ルート確認の為に屋敷を歩き回っていたら執事長さんと若いメイドさんの熱烈なキスシーンをみたり、算数の問題を間違えてお母様がヒスったりと、色んな事があったなー。
えっ、お母様が2回もヒスってる? 大丈夫。お母様は一日に2回以上ヒスってるから。(*何も大丈夫じゃない。)
まっ、家出するって決めたんだから今更感傷的になってもしゃーなし。
そう思って裏門を潜り抜けた。
ぽてぽてと暫く歩いて振り返った先にある家に、未練など微塵も感じなかった。
「あははっ。私ってほーんと、薄情だなぁ。」
転生した先で8年過ごした家を捨てると決めて出た。実際に出てみて感じたのは、このすっきりとした解放感のみ。
お母様は朝に私が家出したことを知ったら荒れ狂うだろうけど、お父様は私が家出したなんて醜聞スキャンダルを世間に知られたくないだろうから全力で隠すんだろうな。
お兄様はどうだろう? お父様と同じで私のこと隠そうとするんだろうろか。そもそもあの人とは10歳も年離れてるしどうなるか分っかんねー。
でも当たり前だけど私が家出した後のことだからどうでも良いか、なんて無責任な結論を出して閑散な住宅街を歩く。
取り敢えず、子供一匹で生きていける場所を探さないとなー。
***
【オマケ】兄側の話みたいな
オーター・マドルにとって両親とは途轍もなく厄介な存在を指す言葉だが、家族は少し意味が違う。
オーターにとって家族とは妹のことであり、妹とは可愛いくて美しいスーパープリティーでウルトラキュートな天使のことだ。
ちなみにオーターはシラフである。
妹が産まれた頃は両親と家庭教師に与えられる課題を熟すのに精一杯だったのでなかなか妹に会いに行く時間が取れなかった。
だがある時、赤子の妹を抱えた母が部屋を訪ねて来てた。
オーターは妹を見た瞬間に今まで妹に会いに行かなかった自分を酷く恨んだと同時に、この両親から絶対に妹を守り抜かねばと決意する。
だってこんな天使みたいな(というか天使な)妹が[漢字]父親[/漢字][ふりがな]好色ジジイ[/ふりがな]や[漢字]母親[/漢字][ふりがな]ヒステリックババア[/ふりがな]のせいで汚されたらたまったもんじゃい。つまり、セコム型のシスコン爆誕だ。
それかからオーターはどんなに短くても妹と話す時間(と盗撮写真)を取ったし、できる限り妹と両親の距離を遠ざけた。
妹への愛が伝わっているかはともかくとして、オーターは出来る範囲の全ての事をして妹を守っていたつもりだった。
だったが、神格者選抜試験の数日前に妹が行方不明のなった事を知る。それはつまり、セコム型のシスコンから束縛型の闇堕ちしたシスコンに進化()しと事を意味する。
家出の基本は誰も気づかないとき。
普段から睡眠薬を飲んでいるお母様や家を出て学校の寮で暮らしているお兄様はさておき、お父様は同僚と呑んでくるなーんて言って外に出て行ったが、実際は愛人とあはーん、うふーんの熱々の夜を過ごしている。全く持ってクズ野郎である。
使用人さんの中で夜の見回り的な仕事を真面目にするのは20人中、5人ぐらいしかいないのでそんなに気にする必要はない。
裏門に近くに来てふと、家出の準備中の事を思い返す。
家出の準備中は本当に色んなことがあったなー。
例えば、魔法が上手く出来なくてお母様がヒスったり、ルート確認の為に屋敷を歩き回っていたら執事長さんと若いメイドさんの熱烈なキスシーンをみたり、算数の問題を間違えてお母様がヒスったりと、色んな事があったなー。
えっ、お母様が2回もヒスってる? 大丈夫。お母様は一日に2回以上ヒスってるから。(*何も大丈夫じゃない。)
まっ、家出するって決めたんだから今更感傷的になってもしゃーなし。
そう思って裏門を潜り抜けた。
ぽてぽてと暫く歩いて振り返った先にある家に、未練など微塵も感じなかった。
「あははっ。私ってほーんと、薄情だなぁ。」
転生した先で8年過ごした家を捨てると決めて出た。実際に出てみて感じたのは、このすっきりとした解放感のみ。
お母様は朝に私が家出したことを知ったら荒れ狂うだろうけど、お父様は私が家出したなんて醜聞スキャンダルを世間に知られたくないだろうから全力で隠すんだろうな。
お兄様はどうだろう? お父様と同じで私のこと隠そうとするんだろうろか。そもそもあの人とは10歳も年離れてるしどうなるか分っかんねー。
でも当たり前だけど私が家出した後のことだからどうでも良いか、なんて無責任な結論を出して閑散な住宅街を歩く。
取り敢えず、子供一匹で生きていける場所を探さないとなー。
***
【オマケ】兄側の話みたいな
オーター・マドルにとって両親とは途轍もなく厄介な存在を指す言葉だが、家族は少し意味が違う。
オーターにとって家族とは妹のことであり、妹とは可愛いくて美しいスーパープリティーでウルトラキュートな天使のことだ。
ちなみにオーターはシラフである。
妹が産まれた頃は両親と家庭教師に与えられる課題を熟すのに精一杯だったのでなかなか妹に会いに行く時間が取れなかった。
だがある時、赤子の妹を抱えた母が部屋を訪ねて来てた。
オーターは妹を見た瞬間に今まで妹に会いに行かなかった自分を酷く恨んだと同時に、この両親から絶対に妹を守り抜かねばと決意する。
だってこんな天使みたいな(というか天使な)妹が[漢字]父親[/漢字][ふりがな]好色ジジイ[/ふりがな]や[漢字]母親[/漢字][ふりがな]ヒステリックババア[/ふりがな]のせいで汚されたらたまったもんじゃい。つまり、セコム型のシスコン爆誕だ。
それかからオーターはどんなに短くても妹と話す時間(と盗撮写真)を取ったし、できる限り妹と両親の距離を遠ざけた。
妹への愛が伝わっているかはともかくとして、オーターは出来る範囲の全ての事をして妹を守っていたつもりだった。
だったが、神格者選抜試験の数日前に妹が行方不明のなった事を知る。それはつまり、セコム型のシスコンから束縛型の闇堕ちしたシスコンに進化()しと事を意味する。
このボタンは廃止予定です