「な、なんなんだ。これは」

義瑠太は数え切れないほどバトルをしてきたが、思わず物怖じするほどの圧だった。烏龍も同じらしい。普段のバトルでは考えられないほど、慎重に攻撃を仕掛けていく。そのうえ、そのドラゴンはとても大きい。背の高い烏龍ですら、ドラゴンの前足と同じくらいの高さしかない。

「義瑠太、こいつは伝説のドラゴンだ。おそらく、さっきの地震は、こいつが起こしたものだろう」

「わかりました。慎重に攻撃を仕掛けます。リュール、巨大化だ!」

今の義瑠太には、これが最善の策だと思えた。

「クロー、お前も巨大化できるか」

クローはなんとかという感じで巨大化した。

「あんまり、無理するなよ。お前らはバトルで体力を削っているのだから。エット、俺らも本気出していくぞ!」

エットはそれだけで凰神の意図が通じたようだ。雄叫びを上げて巨大化する。大きな生き物が3体でバトルをするとは想定されていないスタジアムはどんどん崩れていく。

「私は後方から支援する。レード、頼む!」

戦い慣れていない莉央奈は足手まといになると思ったのか、後方支援をすることにしたらしい。だが、これがとても役に立った。レードは木霊なので、木を操れる。だから、木のツルなどを使って、動けないようにすることができるのだ。

でも、ドラゴンはそれをいとも簡単に引きちぎって反撃をする。リュール、クロー、エットは口から水を出したり、上から急降下したり、火炎放射を出したりして対抗するが、ドラゴンは口から、あの地震の時に義瑠太が見たようなビームを出して、3匹を次々になぎ倒していく。やはり、烏龍さんと戦ったことがこたえている、と義瑠太は思った。

「クロー!大丈夫か!」

何回もふっとばされているクローはもう元の大きさに戻り、ぐったりしている。

「クロー、クロー!」

何度も烏龍が名前を呼んでいる間、ドラゴンは彼に、攻撃をしようとする。リュール、エット、レードはそれを必死に阻むが、ドラゴンの尻尾で一網打尽にされてしまった。ドラゴンはそれを待っていたとでも言うように、烏龍に向けて、ビームを溜め始めた。