瓦礫が散乱していた。クローが悲しそうに俯く。町の中心地に行くと、町長に占領されていた。状況把握のために少し歩く。ぽつぽつと歩いている人がいる。

「この町の町長なんだから、手荒い真似しなくていいのにな」

義瑠太にそっと莉央奈が呟く。

「確かにね。なんでわざわざ面倒くさいことをするんだろう」

「なにか思惑があるんじゃないのかなあ。ていうか、すごくジロジロ見られてる気がする」

すれ違う人が義瑠太たちを見ている。莉央奈が少し周りを見ると慌てて目をそらす。

「本当だ。どうしたんだろう?」

そんなことを話していると、なにかのポスターが目に入った。なにかしらの情報があると思い、見てみる。

「これは…!」

義瑠太は驚きのあまり、かすれた声しか出なかった。

「どうした」

心配した莉央奈がこちらに来る。義瑠太はポスターを指さす。

「まずいことになったな」

かなり間が空いていたので、莉央奈は後ろにいる2人の元へ走る。その途中、誰かとぶつかって転んでしまった。その人はかなり急いでいたようで、何も言わずに走り去ってしまった。

「大丈夫?」

今度は2人が走り寄ってくる。莉央奈は頷いた。

「全然大丈夫です。それよりも、見てほしいものがあります。来てください」

莉央奈は義瑠太のいるところに2人を連れてきた。

「指名手配のポスターです」

そう、そこには4人の指名手配の顔写真が載っていた。

「逃げよう」

烏龍はポスター見ると一声、そう言った。

「お兄ちゃん、周り」

凰神が低く言う。4人の周りを何者かが10人くらいで取り囲んでいる。

「バカだね。世界ランキング1位と2位を舐めてるぜ」

烏龍が言う。相手は何も言わずに襲いかかってくる。感覚的には5秒で片付いた。周りに見物人がたかっている。かなり混乱しているようだ。だが4人はこの混乱に乗じて、無事、森に逃げ込むことができた。