知らない人は大して強くなく、凰神にこてんぱんにされて、退却した。完全に見えなくなったことを確認すると、凰神はこっちを向いて叫んだ。

「速く、逃げろ!」

「どういうこと⁉事情を話して!」

義瑠太は頭がはてなマークでいっぱいになり、思わずタメ口で聞いた。

「お兄ちゃんを見送ったあと、後ろをこっそり付けている人たちがいたんだ!気になって追いかけてみたら、町長の手の者だった。今さっき、1人倒したけど、きっとすぐに応援を呼ばれる!しかも、ドラゴンも飛んでいた!町を焼く気だ!」

「なんだって!」

3人はパニックになり、慌てて凰神と合流した。しかし、もう遅い。巨大な影が4人の頭上を通り過ぎる。

「あ、あれは!」

封印したはずの、ドラゴンだった。リュールとエットが低く唸る。だが、ドラゴンは4人に気にかけず、町を焼き始めた。パニックなった人が逃げ惑う。地獄絵図だった。

「ほら速く!俺たちも逃げなきゃ!」

烏龍がその場に突っ立って動けなくなった義瑠太と莉央奈の手を引っ張った。それに急かされて、4人と4匹は走る。なんとか、近くの森に逃げ込むことができた。この森は広大で、ここにいれば容易く見つかる心配はなかった。

「明日、街に戻って様子を見てみよう」

「わかりました。じゃあ、今日は野宿ですか?」

刻々と暗くなっていく空を見ながら烏龍は答えた。

「そういうことになるな」