百鬼夜行
「っ...!」
ベットからうめき声が聞こえた。うたた寝していた烏龍は目を覚まして、ベットに近寄る。そこには、目の焦点が合っていなさそうな凰神がいた。
「お兄ちゃん?」
「凰神!」
烏龍は思わず凰神を抱きしめる。
「ごめんな。無事で、良かった...!」
すぐそばに、義瑠太と莉央奈がいるのにも関わらず。少しすると烏龍は凰神を離した。凰神は上体を起こしながら、呆れたように抗議する。
「お兄ちゃん、もう俺たち大人なんだから。子供が目の前に居るしさ」
「悪い、悪い」
烏龍はいつも通りヘラヘラしながら答える。
「あ、エット。ごめんな、心配かけたな」
エットは凰神に撫でてもらって、尻尾を激しく振る。しかし、急にエットを撫でるのをやめ、凰神が真顔になったので、烏龍は笑うのをやめた。
「ドラゴンはどうなった」
凰神が鋭い目をして聞いた。
「封印した」
「それなら、良いのだけど」
凰神は俯いて、さらに質問する。
「ドラゴンと戦って不審に思った点は?」
図星だった。不審に思った点はいくつかあったが、これ以上義瑠太と莉央奈を怖がらせたくない、ということで誰にも話していない。
「義瑠太、莉央奈、一度、外に出ててくれ」
「分かった」
義瑠太と莉央奈はおとなしく出て行ったフリをして、扉の前で、そっと耳を傾けて会話を聞くことにした。烏龍は2人が出ていくのを確認すると、話を切り出した。
「不審な点はいくつかある。ちなみに、黒幕は、町長だった」
「なにっ!町長が黒幕か!」
凰神はとても驚いたように言った。烏龍は悲しげに頷いて先を続ける。
「そうだ。そこで気になる点が1つ。サンジュがいなかった」
「まじで⁉」
サンジュとは町長の相棒の猿だ。なにかの妖怪なのだろうが、詳しくは知らない。2人とも、昔、遠目に見たことがあるくらいだ。
「サンジュってなんだろう?」
「さあね。でも凰神さん、すごく驚いていたから、なにか重要なんだろうね」
病室の外に居る2人は必死に考察している。だが、そんな2人には気が付かず、中での話はどんどん進んでいく。
「2つ目は、ドラゴンが弱くなった、ということだ。お前が庇ってくれたあと、急に弱くなって簡単に倒して封印し直すことができた。どうも、怪しい」
ベットからうめき声が聞こえた。うたた寝していた烏龍は目を覚まして、ベットに近寄る。そこには、目の焦点が合っていなさそうな凰神がいた。
「お兄ちゃん?」
「凰神!」
烏龍は思わず凰神を抱きしめる。
「ごめんな。無事で、良かった...!」
すぐそばに、義瑠太と莉央奈がいるのにも関わらず。少しすると烏龍は凰神を離した。凰神は上体を起こしながら、呆れたように抗議する。
「お兄ちゃん、もう俺たち大人なんだから。子供が目の前に居るしさ」
「悪い、悪い」
烏龍はいつも通りヘラヘラしながら答える。
「あ、エット。ごめんな、心配かけたな」
エットは凰神に撫でてもらって、尻尾を激しく振る。しかし、急にエットを撫でるのをやめ、凰神が真顔になったので、烏龍は笑うのをやめた。
「ドラゴンはどうなった」
凰神が鋭い目をして聞いた。
「封印した」
「それなら、良いのだけど」
凰神は俯いて、さらに質問する。
「ドラゴンと戦って不審に思った点は?」
図星だった。不審に思った点はいくつかあったが、これ以上義瑠太と莉央奈を怖がらせたくない、ということで誰にも話していない。
「義瑠太、莉央奈、一度、外に出ててくれ」
「分かった」
義瑠太と莉央奈はおとなしく出て行ったフリをして、扉の前で、そっと耳を傾けて会話を聞くことにした。烏龍は2人が出ていくのを確認すると、話を切り出した。
「不審な点はいくつかある。ちなみに、黒幕は、町長だった」
「なにっ!町長が黒幕か!」
凰神はとても驚いたように言った。烏龍は悲しげに頷いて先を続ける。
「そうだ。そこで気になる点が1つ。サンジュがいなかった」
「まじで⁉」
サンジュとは町長の相棒の猿だ。なにかの妖怪なのだろうが、詳しくは知らない。2人とも、昔、遠目に見たことがあるくらいだ。
「サンジュってなんだろう?」
「さあね。でも凰神さん、すごく驚いていたから、なにか重要なんだろうね」
病室の外に居る2人は必死に考察している。だが、そんな2人には気が付かず、中での話はどんどん進んでいく。
「2つ目は、ドラゴンが弱くなった、ということだ。お前が庇ってくれたあと、急に弱くなって簡単に倒して封印し直すことができた。どうも、怪しい」