夜の森が火事になっている。真っ暗闇を炎が赤々と照らして。だが、そんなことにいちいち驚いていたら、このご時世は生き残れない。妖怪たちは、いったい何から逃げているのだろう。火事からか、いや、敵からかもしれない。そこにかつて、平和な楽園があったなんて想像もできないだろう。

そんな中、龍のような妖怪が森からバッ、とでてきた。龍みたいだが、翼があって、足はライオンの足みたいだ。なによりも違うのは、ふわふわしていることだ。闇で、その姿をはっきりとらえることはできないが、背中には少年が乗っているようだ。

少年が大声で何か言うと、その妖怪は神通力で雨を降らせた。下が真っ赤になっていたのは、いくらか収まったようだ。

すると、燃えていた森から、その妖怪に向かって一直線に飛んできたものがあった。その妖怪は、その攻撃をかわすと、真っ暗闇に姿を消した。そのすぐ後に追いかけてくる敵を置いて。

誰が予想できただろうか。あの一つの出来事が、こんなにもことを発展させるなんて。誰が予想できただろうか。この平和な時代に、戦争が起きるなんて。