二次創作
ONE PIECE多め短編集【単発多め】
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「兄上、兄上は一緒にいてくれる?」
母上が死んで、精神的に辛くなっていた時期に弟はそう言った。おれはもちろんそのつもりだったから、
「ああ、もちろんだえ、ロシー」
と答えて、聖地にいたときからは考えられないほど身なりが変化した、愛しい愛しい弟を抱き抱えた。ほんのり暖かくて、守ってやらなければと思ったのは、前から変わらない。
寒くて、腹が減って、辛かったけれど、ロシーがいてくれたから、耐えられた。
それでも、状況は好転しなかった。悪化するばかりだった。
全部、ぜんぶ父上のせいだ。
幸せなくらしも、食べるものも、聖地にいた友も、神であることも、失った。それは全て父上のせいだ。
許せない。なんで。聖地にいれば、母上が死ぬことも無くて、ロシーだって腹を空かせずに済んだはずなのに。
腹の内の憎悪が渦巻いた。
後のファミリーの幹部となる者達と出会い、悪魔の実と、“覇気”なる力を知った。
ある日、ロシーがついにストレスで泣いた。ずっと泣き止まなく、ずっとうわ言のように、ごめん、と謝っていた。
それを見て、おれは決意する。
引き金は引かれた。
聖地に、マリージョアに戻れたら、ロシーすらも失うことはないはずだ。
ロシーを隠して、聖地に向かった。
「だめだえ、おまえはもう下々民たちと同じなんだえ」
死にたくない。
どうして、海軍、戻れない、ロシー。
ぼんやりと意識が浮上する。灯が眩しくて、目がちかちかする。
命からがら逃げ延びた末に、ファミリーのアジトの近くで倒れてしまったらしい。
「ロシーは!?」
飛び起きる。血が足りないからか、勢いよく起きたからか、そのまた両方か、頭がぐわんぐわんして、ふらついた。
聖地で何があったか聞いてくるトレーボルに簡潔に言い、急いで路地へと向かった。
ロシーを隠した路地裏。
そこには、ぼろぼろで血まみれなシーツと、食べかけのパンがあった。そして、大きな大人の足跡と思しき跡が残っていた。
悟った。悟ってしまった。ロシーは、死んでしまったのだと。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあァぁぁあ!!!!」
ロシー、ロシー。おれの弟。残された唯一の肉親、守ってやりたかった存在。
ごめん。どうして。おれのせい?置いて行ったから?なんで。許せない、世界が許せない。
腹の中でどぐろを巻いた憎悪がごうごうと煮えたって、体を包む。こんな世界なんて壊してやる。
こんな世界許せない、壊してやる。憎い!憎い!!
のちの七武海となる、“ドンキホーテ・ドフラミンゴ”が誕生した瞬間だった。
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「ロシー…?」
10年ほど後、路地裏で“偶然”愛しい弟を見つけた。約束はまだ見捨てていなかった。
それがひとときのものだったとしても、“ロシナンテ”以外は知る良しも無いのだから。
ドンキホーテ・ドフラミンゴは繰り返す。また、引き金は引かれるだろう。
“偶然”を装った必然。それを知るのは、まだ早い。
「兄上、兄上は一緒にいてくれる?」
母上が死んで、精神的に辛くなっていた時期に弟はそう言った。おれはもちろんそのつもりだったから、
「ああ、もちろんだえ、ロシー」
と答えて、聖地にいたときからは考えられないほど身なりが変化した、愛しい愛しい弟を抱き抱えた。ほんのり暖かくて、守ってやらなければと思ったのは、前から変わらない。
寒くて、腹が減って、辛かったけれど、ロシーがいてくれたから、耐えられた。
それでも、状況は好転しなかった。悪化するばかりだった。
全部、ぜんぶ父上のせいだ。
幸せなくらしも、食べるものも、聖地にいた友も、神であることも、失った。それは全て父上のせいだ。
許せない。なんで。聖地にいれば、母上が死ぬことも無くて、ロシーだって腹を空かせずに済んだはずなのに。
腹の内の憎悪が渦巻いた。
後のファミリーの幹部となる者達と出会い、悪魔の実と、“覇気”なる力を知った。
ある日、ロシーがついにストレスで泣いた。ずっと泣き止まなく、ずっとうわ言のように、ごめん、と謝っていた。
それを見て、おれは決意する。
引き金は引かれた。
聖地に、マリージョアに戻れたら、ロシーすらも失うことはないはずだ。
ロシーを隠して、聖地に向かった。
「だめだえ、おまえはもう下々民たちと同じなんだえ」
死にたくない。
どうして、海軍、戻れない、ロシー。
ぼんやりと意識が浮上する。灯が眩しくて、目がちかちかする。
命からがら逃げ延びた末に、ファミリーのアジトの近くで倒れてしまったらしい。
「ロシーは!?」
飛び起きる。血が足りないからか、勢いよく起きたからか、そのまた両方か、頭がぐわんぐわんして、ふらついた。
聖地で何があったか聞いてくるトレーボルに簡潔に言い、急いで路地へと向かった。
ロシーを隠した路地裏。
そこには、ぼろぼろで血まみれなシーツと、食べかけのパンがあった。そして、大きな大人の足跡と思しき跡が残っていた。
悟った。悟ってしまった。ロシーは、死んでしまったのだと。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあァぁぁあ!!!!」
ロシー、ロシー。おれの弟。残された唯一の肉親、守ってやりたかった存在。
ごめん。どうして。おれのせい?置いて行ったから?なんで。許せない、世界が許せない。
腹の中でどぐろを巻いた憎悪がごうごうと煮えたって、体を包む。こんな世界なんて壊してやる。
こんな世界許せない、壊してやる。憎い!憎い!!
のちの七武海となる、“ドンキホーテ・ドフラミンゴ”が誕生した瞬間だった。
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「ロシー…?」
10年ほど後、路地裏で“偶然”愛しい弟を見つけた。約束はまだ見捨てていなかった。
それがひとときのものだったとしても、“ロシナンテ”以外は知る良しも無いのだから。
ドンキホーテ・ドフラミンゴは繰り返す。また、引き金は引かれるだろう。
“偶然”を装った必然。それを知るのは、まだ早い。