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午前6時13分の君へ

#7


第7章:あの日、6時13分

 朝の千陽駅、6時13分。
 その時刻が近づくにつれ、七瀬の心はざわめいた。

 昨日の出来事が、頭の中で何度も再生されている。
 弟から聞いた言葉、手帳の断片、そして……彼が抱えていた「消えるかもしれない」という不安。

 

 秒針が13分を指した。

 風が吹き抜ける。

 

「……おはよう」

 振り返れば、やはり彼がいた。
 制服姿、いつも通り。けれど、どこか表情が柔らかく見える。

 

「悠真、お願い。もう一度、あの日に戻って」

 七瀬の声は震えていた。

「わたし……忘れてたの。ずっと、あの日にいたのに。あなたが消えた、その瞬間に」

「……覚えてくれたんだ」

 

 悠真は静かに目を伏せると、ぽつりと呟いた。

「でも、たぶん……君の記憶が曖昧だったのは、俺のせいなんだと思う」

「どういうこと?」

「君は、俺を助けようとしたんだよ。あの日、ホームの端に立っていた俺に、駆け寄ろうとしてた」

 

 七瀬の心が一瞬止まる。
 脳裏に、ノイズのような映像が走る。

 ――自分が走っている。
 ――誰かに向かって手を伸ばしている。
 ――その直後に、世界が反転する。

 

「でも、君が足を滑らせて……線路に落ちかけた」

 

 悠真は、やさしい声で続けた。

「だから俺は、咄嗟に君を引き戻そうとして……」

「――あなたが、代わりに……?」

 

「うん。君を守った代わりに、俺が踏み出した。……たぶん、それだけ」

 

 七瀬の目から、涙が溢れた。

「なんで……そんなの……!」

「大丈夫だったよ。だって君は生きてる。……だから、俺は、繰り返してでも見届けたかったんだ。君が前に進めるまで」

 

 電車の音が近づく。

 あの日と同じ、鈍く冷たい鉄の音。

 

「もう……大丈夫だよね、朝倉」

「……うん。でも、待って。わたし、ちゃんと伝えたい」

 七瀬は彼の手をぎゅっと握った。

「ありがとう。そして……わたし、あなたが好きだった」

 

 悠真の目が驚きに見開かれ、やがて優しく細められる。

「知ってたよ。ずっと、嬉しかった」

 

 6時14分。

 電車がホームに滑り込み、彼の姿が淡くなる。

「――さよならは、言わないよ。また春に会おう」

 

 その言葉だけが、確かに七瀬の心に残った。

2025/04/20 16:46

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