二次創作
明日の朱星を見たいだけ
⚠️白鉛病捏造&軽く死体の表現あり。⚠️
白い町に移住してきて、一年が経った。
尋常小学校のようなものだろう、教会にも通った。
私は吉利支丹ではないが、フレバンスの美しい街並を見ると神さえも信じそうになっていた。
あの刻迄は。
「白鉛病」なる奇病が流行し出した。周りの者らはアッという間に発症したというのに私達一家はいつまで経っても発症しない。
彼程美しかった心は段々と翳りを見せ、何故お前らは発症しないのかと責め立てられたことさえあった。
教会で知り合った、医師を目指すと言っていたローの父が国民に電々虫で訴える。
___曰く、「白鉛病」は感染病ではなく、鉛中毒の一種である。
___曰く、通常の鉛中毒とは違い、世代を跨いで発症するが為に治療が極めて困難である。
治療には血液が大量に要るが、何故だろうか国境は封鎖され、あろうことか政府が「白鉛病」は感染病である、と発表したらしい。
「立ち上がれ、フレバンス国民よ!今こそ力を合わせて抵抗すべきだ!!白鉛病は感染しない!トラファルガー医師が言っていたんだ!!!」
「オオオ!!!!」
「今こそ訴えるべきだ!」
「罪なき国民を見殺しにしようとしていると訴えかけるべきだ!」
一部の暴徒の怒声が響く。
気の良かった酒場のおじさん、八百屋のお兄さんが怒号を発した。
顰めた顔には白い斑点が浮かび上がっている。
きっと、仕方がないのだと。大義名分を与えてしまうと分かっていたのに。
それでも。気持ちが痛いほどわかってしまうから。言えなかった。
だがしかし、戦争が始まってしまったら、非力で何もできない人々は?
心優しいままのシスターは、ローの母は。トラファルガー医師は?どうなるのか。はてさてと惚けられる程馬鹿ではない。
私のせいだ。彼等が死んでしまったら。私のせいで死んでしまうかも。止められなくて。
悪夢であれ。悪夢であれと。願ってしまう程の炎と血の薫り。人の悲鳴と怒号が頭を劈く。
「○○、○○、お前だけは逃げなさい。きっと、発症の有無を言わせず、真実を知った我々を消すだろう。だが、まこと身勝手とは分かっている。だが私は君に生きてほしい。愛しているよ、我が娘。神はきっと居るんだ。救いはある。だから___」
「何処だ!探せ!!一匹も逃すなよ!」
「さあ、もう来てしまっている。いきなさい。君の幸せを願っているよ。」
いやだ。いやだいやだいやだ!なぜ生まれ直しても親が死ぬのか。
「や、嫌だよ、一緒に出ようよ、おとうさん…」
どん、窓から突き落とされる。
最後に見えた父の顔は、一切の翳りのない美しい笑顔であった。
ずしょ。足を引き摺ってたどり着いた病院は真っ赤に燃えていて。悟る。友も、初めてできた年下の女の子のお友達も。
全て燃えてしまった。最後の気力を絞ってきた広場には教会の友達と、シスターの亡骸が。
神を信じて頑張っていた優しい彼女を想う。
ふと見ると、十字架を投げ捨てていた。神を呪ったか。運命を憎んだか。はたまたそのどちらもか。
白く美しかった町は燃え盛り、滅びた。白だった町は朱に塗り替えられた。
彼女の祈った神すらも滅んだ私に、信仰心など欠片も無い。神など下卑た存在はいないというのに、縋ってしまう私すらも憎かった。
白い町に移住してきて、一年が経った。
尋常小学校のようなものだろう、教会にも通った。
私は吉利支丹ではないが、フレバンスの美しい街並を見ると神さえも信じそうになっていた。
あの刻迄は。
「白鉛病」なる奇病が流行し出した。周りの者らはアッという間に発症したというのに私達一家はいつまで経っても発症しない。
彼程美しかった心は段々と翳りを見せ、何故お前らは発症しないのかと責め立てられたことさえあった。
教会で知り合った、医師を目指すと言っていたローの父が国民に電々虫で訴える。
___曰く、「白鉛病」は感染病ではなく、鉛中毒の一種である。
___曰く、通常の鉛中毒とは違い、世代を跨いで発症するが為に治療が極めて困難である。
治療には血液が大量に要るが、何故だろうか国境は封鎖され、あろうことか政府が「白鉛病」は感染病である、と発表したらしい。
「立ち上がれ、フレバンス国民よ!今こそ力を合わせて抵抗すべきだ!!白鉛病は感染しない!トラファルガー医師が言っていたんだ!!!」
「オオオ!!!!」
「今こそ訴えるべきだ!」
「罪なき国民を見殺しにしようとしていると訴えかけるべきだ!」
一部の暴徒の怒声が響く。
気の良かった酒場のおじさん、八百屋のお兄さんが怒号を発した。
顰めた顔には白い斑点が浮かび上がっている。
きっと、仕方がないのだと。大義名分を与えてしまうと分かっていたのに。
それでも。気持ちが痛いほどわかってしまうから。言えなかった。
だがしかし、戦争が始まってしまったら、非力で何もできない人々は?
心優しいままのシスターは、ローの母は。トラファルガー医師は?どうなるのか。はてさてと惚けられる程馬鹿ではない。
私のせいだ。彼等が死んでしまったら。私のせいで死んでしまうかも。止められなくて。
悪夢であれ。悪夢であれと。願ってしまう程の炎と血の薫り。人の悲鳴と怒号が頭を劈く。
「○○、○○、お前だけは逃げなさい。きっと、発症の有無を言わせず、真実を知った我々を消すだろう。だが、まこと身勝手とは分かっている。だが私は君に生きてほしい。愛しているよ、我が娘。神はきっと居るんだ。救いはある。だから___」
「何処だ!探せ!!一匹も逃すなよ!」
「さあ、もう来てしまっている。いきなさい。君の幸せを願っているよ。」
いやだ。いやだいやだいやだ!なぜ生まれ直しても親が死ぬのか。
「や、嫌だよ、一緒に出ようよ、おとうさん…」
どん、窓から突き落とされる。
最後に見えた父の顔は、一切の翳りのない美しい笑顔であった。
ずしょ。足を引き摺ってたどり着いた病院は真っ赤に燃えていて。悟る。友も、初めてできた年下の女の子のお友達も。
全て燃えてしまった。最後の気力を絞ってきた広場には教会の友達と、シスターの亡骸が。
神を信じて頑張っていた優しい彼女を想う。
ふと見ると、十字架を投げ捨てていた。神を呪ったか。運命を憎んだか。はたまたそのどちらもか。
白く美しかった町は燃え盛り、滅びた。白だった町は朱に塗り替えられた。
彼女の祈った神すらも滅んだ私に、信仰心など欠片も無い。神など下卑た存在はいないというのに、縋ってしまう私すらも憎かった。