あるお城のお姫様が好かれすぎてます？！前のお話


姫様、きょうは新しい執事がきております。



みさきは、昼下がりの柔らかな光が差し込むお城の窓辺に立ち、外の庭を眺めながら言った。彼女の美しさはまるで天使のようで、輝く金色の髪が風に揺れ、白いドレスが優雅にひらひらと舞っている。そんな彼女の姿を見つめながら、側にいる侍女たちは思わず息を呑む。



「新しい執事？　彼はどんな人なんだろう？」一人の侍女が興味津々に問いかける。



「さあ、でも彼がきたら、また私の周りが賑やかになるのかもね」とみさきは微笑み、期待に胸を膨らませた。



その瞬間、重い扉が開く音がした。そこに現れたのは、放浪者という名の青年であった。彼は黒髪に冷たい瞳を持ち、少しツンとした表情を浮かべているが、その姿にはどこか魅惑的な雰囲気が漂っていた。



「お姫様、放浪者と申します。これから執事としてお仕えしますが、よろしくお願いします」と彼は、硬い敬礼をしつつも少し照れくさそうに言った。



「こちらこそ、放浪者さん。私に何かお手伝いできることがあれば、何でも言ってくださいね」とみさきは明るい声で応じる。彼女の笑顔に放浪者の心は少し和らいだ。



その後、もう一人の新しい執事、タルタリヤが登場した。彼は陽気な笑顔を浮かべ、まるで太陽のような存在感を放っていた。



「やあ、お姫様！　タルタリヤだよ！　今日から君の執事になるから、よろしくね！」彼は元気よく手を振りながら言った。



その瞬間、みさきは心の中で何かが弾けるような感覚を覚えた。放浪者は少し冷たい印象を持っていたが、タルタリヤはその逆で、彼女を優しく包み込むような雰囲気を持っていた。



「お二人とも、来てくれてありがとう。これから一緒に楽しい時間を過ごしましょう」とみさきは微笑んだ。



しかし、彼女の心の中には不安が芽生える。執事たちが彼女に好意を抱くことは嬉しいが、それがどれほど混乱をもたらすのか、みさきには分からなかった。



### 起 - 新たな執事たち



数日後、放浪者とタルタリヤはそれぞれのスタイルでみさきの世話を始めた。放浪者は厳格な態度で仕事をこなし、一方でタルタリヤは笑顔を絶やさず、楽しい時間を提供してくれた。お城の中はいつも笑い声が響き、みさきは幸せな日々を送っていた。



しかし、放浪者は時折冷たい言葉を口にすることがあり、それがみさきを少し困惑させた。タルタリヤはそんな放浪者をフォローしてくれるが、みさきは彼の心の奥に潜む何かを感じ取ることができなかった。



「放浪者さん、どうしてそんなに厳しいのですか？」とみさきはある日、彼に尋ねた。



「お姫様を守るためです。お城には様々な陰謀が潜んでいます。私の役目は、あなたを安全に導くことです」と放浪者は真剣な眼差しで答えた。



みさきは彼の言葉に心を打たれた。彼の真剣さを理解しながらも、彼女は彼が少しずつ心を開いてくれることを願った。



### 承 - 心の葛藤



一方、タルタリヤはみさきに対してその明るさで接することを続け、彼女を笑顔にすることが得意だった。しかし、彼の存在は放浪者との間に不思議な緊張感を生んでいた。みさきは二人の執事の性格の違いに悩み、自分の心がどちらに向いているのか分からなくなっていた。



「みさき様、今日はお花見に行きませんか？」とタルタリヤが提案した。



「いいわね！」とみさきは答え、タルタリヤと共に庭に出かけた。放浪者は少し離れた場所から二人を見守っており、その態度はどこか嫉妬のようなものを感じさせた。



「お姫様、見てください！　あの桜は特に美しいですね」とタルタリヤが言うと、みさきの顔はパッと明るくなった。



「本当にきれい！　タルタリヤさん、あなたはセンスがいいわ！」とみさきは褒めた。



その瞬間、放浪者は心の中で何かがもやもやと渦巻くのを感じた。自分が執事としてみさきを守るために来たはずなのに、彼女の笑顔を他の男に奪われるのが耐えられなかった。



### 転 - 事件の発生



ある晩、突如としてお城に怪しい影が忍び寄った。それは、悪名高い魔女の一味であり、みさきをさらおうと企んでいた。城が騒然とする中、放浪者はみさきを守るためにすぐに動き出した。



「お姫様、危険です。ここに隠れていてください！」放浪者はみさきを庇うように立ち、剣を抜いた。



「待って、放浪者さん！　私も一緒に戦うわ！」みさきは勇敢に叫んだが、放浪者は彼女を守るために一歩前に出た。



タルタリヤもまた、彼女を守るために戦った。三人は力を合わせ、魔女の一味と戦う中で、みさきの心には新たな決意が芽生えた。



「私も、あなたたちと一緒に戦いたい！」みさきは叫び、魔女たちに向かって立ち向かっていった。



放浪者とタルタリヤは、その勇敢な姿に驚きつつも、みさきを守るべく力を尽くした。戦いは激しく続き、彼女の心は一層強くなっていった。



### 結 - 真実の絆



戦いが終わると、夜空には星が輝き、静けさが戻ってきた。みさき、放浪者、タルタリヤの三人は、互いに助け合いながらこの試練を乗り越えたことを実感していた。



「お姫様、あなたは本当に素晴らしい勇気を持っています」と放浪者は、少しだけ柔らかい声で言った。



「私のおかげで、皆が守れたのよ」とみさきは微笑む。「放浪者さんも、タルタリヤさんも、一緒に戦ってくれてありがとう。」



タルタリヤも頷き、「これからもずっとお姫様を守るから、安心してね！」と力強く言った。



その夜、みさきは二人の執事との絆を深めることができた。放浪者のツンデレな一面と、タルタリヤの爽やかな笑顔は、彼女にとってかけがえのないものであった。



みさきは心の中で決めた。これからも二人と共に、さまざまな冒険を繰り広げていくのだと。そして、彼女の周りにはいつも愛と友情が満ちていると。彼女の幸せな日々は、まだまだ続くのだった。



おわり。１話に続く