【our fantasy】聞こえなくなった声を辿って
今、またひとつ物語が始まったね。
今も、たくさんの物語が生まれ、綴られ、そして結ばれる。
隣で天使が、こちらの手を興味深そうに見つめていた。
「どうした?」
問いかけてみると、その天使はふわふわの水色髪を跳ねさせながら、嬉しそうに喋りかけてくる。
私が誰かって?
そんなの、今は如何でもいいだろう?
…君は物語は好きかい?
私は大好きだよ。物語の分だけ、人生がそこにある。
演者の人生はもちろん、それを描いた筆者の人生も、…そこに宿る。
私はね、時々、物語はケーキみたいなものなんじゃないかと思う。
種類も、味も、作り手によって本当に様々だ。
甘酸っぱい苺のケーキもあれば、ほろ苦いチョコレートケーキもある。
まろやかなチーズケーキだってあっていい。
それは物語だって同じこと。
似通った味があれど、作り手が違えば、名前が違えば別のケーキ。
冒険譚があってもいいし、素敵な恋の物語だってあっていい。
生まれて、育てられ、学び、独り立ちし、働き、恋をして、死ぬ。
言ってしまえば人間だって、どれもベースの同じケーキなのかもね。
…どれも、私にはもう関係のないことだ。
それでも、この気持ちが消えない限り、
君たちの物語を綴ることを、私は止めない。
水晶が揺らめいている。さて、演者たちよ。
[太字]君の歩みを、私に楽しませてくれ。[/太字]