‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』
「なんとか…なったのか……?」
頭に浮かんだ疑問をそのままレイは口に出す。
見つめる先は、がれきの山__というより、その下にいるであろうレインコートの男だ。つい先ほどマリアが崩したもので、あの威力だったら絶命させることができただろう__
「いいや…まだわからんで。一応、確認しよ。顔も確認したいし」
マリアは息を吐く。
(確かに相手は常人じゃねぇ…。でも、こんな攻撃を食らったら誰だって死ぬだろうな)
さすがの相手でも無理だろう。いくら屈強な相手でも、人間なのだ。がれきが頭に当たり、まず初めに首の骨が折れるか脳震盪を起こすかし倒れると、四肢が潰れる。数トンの岩に押しつぶされて生きていられるのはそれこそ人知を超えた化け物くらいだろう。
「ん……これか?うん、これやな。レイ、見つけたで」
がれきを掘り返し、潰れた相手を探してみると、十分ほどで探しものは見つかった。レイは、マリアがいるあたりまで近づく。
「………死んでいるな」
「そりゃ…な」
ボロボロのレインコートをまとった横たわる人の手首を取り、脈を図るが、一切脈はなく、それでいて氷のように冷たかった。
(…………………?)
心の中で違和感が生じた。おかしい、と胸騒ぎが起きる。
頭で理解できないまま、咄嗟に死体のフードを取り払った。
「________!」
息をのむ。
[太字]レインコートに隠されたその顔は___なかった。[/太字]
のっぺらぼう、というよりもマネキン。
どうやら金属でできているようで、光沢がある。
先ほどの違和感の正体が分かった。
人間は死んでも数時間なら温度があり暖かい。
しかし、こいつは氷のように冷たかった__いや、正確に言えば金属の冷たさか。
「ど…どういうことや…?」
マリアが困惑した声を上げる。
敵はどうやらこれを動かして戦い、自分たちはこれと戦っていたようだ。
___猛烈な違和感
これは、だれが作ったものだろうか?
一応、敵組織『サンライズ』には博士と呼ばれるマッドサイエンティストがいたが、これとこれでは系統が違う。博士は生きた人間を器にし、兵器を生み出していたが、これはそのものを作っている。
タイミング的に自分たちをここへ呼んだ『サンライズ』ボスが作ったのだろうと予想できるが、これほどの機械を作るなんて世界でも数人程度しかいないだろう。
そして、もう一つの違和感。手際が良すぎる。相手はデシジョンやムギなど非戦闘員を狙って攻撃を仕掛けてきている。まるで、こちらの手札がばれているよう。
また、賢いデシジョンが抵抗なく倒されたことを踏まえると__
[太字]自分が知っている中でそれが可能な者が一人。[/太字]
気づいた瞬間、手が震え、冷や汗が止まらなくなる。
しかし、それと同時に疑問が出てくる。
なぜこのような事をしたのか? [太字]彼女[/太字]は何者なのか?
「なんでだよ……」と呟き、顔を上げる。
震える。ただただ震える声で霞んだ世界を見た。
まっすぐと、犯人を見た。
「モニカ…………?」
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