‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』
なぜあんな事になったのか。
兄は、家族は、友はなんで死ななきゃいけなかったか。
どす黒い感情を抱え、一人、生き残った。
あの悲劇があった後、自分は痛めた喉に苦しみ、路頭を彷徨っていた。
その時、とある人が救ってくれた。その人こそ、今の『サンライズ』のリーダーである。リーダーは、衣食住をこの私にくれ、そしてこの燃えるような復讐に力を貸してくれた。なによりも、己の能力だ。村にいた頃は上手く使いこなせなかったが、悲劇をこの目で見て能力の使い方についてもう一度考え直すことになった。この能力は、復讐にも役立つはずだ。
「リーダァー。アナタは何故こんなことをしているんですか?」
いつだったか。そんなことを尋ねた。
「全てどうでもいいだけ」
返ってきた答えはあまりにも淡白だった。しかし、それがリーダーらしいと思った。
自分がリーダーに救われ、復讐のために技術を高めようと日夜努力をし、早くも二年がたった。リーダーに呼び出され、こう言われた。
「仲間__この組織『サンライズ』のメンバーを集めて。」
未だリーダーの部下は自分以外にいない。組織と呼んでいいかわからないほど社員は少ないのだ。二人きり。流石にこれで世界を牛耳るのには無理がある。
命令を受け、自分__ジェスターは各国に飛びたった。
一番初めに目をつけたのは、華連邦のスラムに住んでいた少女だった。
彼女の父親は、とある暗殺者組織の下っ端だった。そして、少女に虐待をしていた。少女曰く、父が所属している暗殺者組織では、上下関係が厳しく父は奴隷のような立場らしい。その不満を娘にぶつけているそうだ。すぐに『サンライズ』に来ないか、と誘った。彼女の判断は速い。実の父を自殺に追い込み、『サンライズ』に来てくれた。これでメンバーは三人となった。
次は、この業界でも名高い『博士』というマッド・サイエンティストに会いに行った。が、彼の研究施設に行ってみると、『博士』は血の海に伏している。僅かに息はしているが、間もなく死ぬだろう。施設を見渡すが、彼の力である『殺戮人形』は一人も居なかった。全員が死んでいた。
「おイ?大丈夫かァ?」
『博士』に呼びかけると、彼は少しだけ喋った。
「僕の…サイコウの…人形……。許さない…ユルサナイ……」
どうやら、恨み言を吐いたらしい。
ゾクゾクした。ほんの少し口を動かしただけなのに、蛇を前にした蛙のような、恐怖を感じる。素晴らしい能力だ。ジェスターは、血まみれの彼を運び、本部で治療してメンバーに加えた。
五人目との出会いは偶然だった。
奴隷商から買ってくれ、と頼まれしょうがなく買った商品だ。まぁ、『博士』の実験台にすればいいか?逃がすか?などと考えていたが、彼女はとんでもない変装の能力を持っていた。普通、変装は存在しない架空の人物に成ることを指す。しかし彼女は、存在している人物で全く同じように変装できるのだ。いくら親しい人でも気づかない。そんな能力をかい、ジェスターは彼女をメンバーに加えた。
その後、一番初めにあった少女__偽名は棣棠__が、さらにメンバーを一人見つけてくれた。一応、ジェスターが会いに行き、確認してみると
「是…。棣棠と居れたら、何でも良い………」
と答えられた。付き合えば良いのに、と率直に思ってしまった。彼の戦闘能力は素晴らしいものだった。
その後も、利用価値がある者が居れば、手駒に加えた。
これなら、『トワイライト』には負けないと、復讐を果たせると思っていた。
しかし、現実はそう甘くない。
まず、自分と手駒の一人である『幽園地』と共に『トワイライト』の偵察をした。計画も完璧。相手の裏を搔いた作戦。一人ぐらいは倒せるかも__と見積もっていた。が、近距離ボス、新しく入ったのであろう狙撃ボスによって計画は破綻。失敗に終わり、便利だった『幽園地』もなくなってしまった。
次こそは__アイツラを殺すと胸に刻み、二人のメンバーを向かわせた。
棣棠と饕餮。『サンライズ』の中でも連携が取れ、協力し会える二人だった。前は、あくまで『幽園地』だったから失敗しただけで、今回なら大丈夫__と。しかし、二人は死んだ。返り討ちにあったのだ。許さない。さらにジェスターの憎悪は高まった。
『博士』とコヨミを選出した。二人は個人で『トワイライト』に恨みがある。ポテンシャルを最大限活かしてくれる。
__二人も、死んだ。全て作戦は読まれていて、殺された。
リーダーに声をかけられた。
初めて会った時のように二人きりで話す。
「私は、お前をここに誘ったことを後悔している。」
第一声がそれだった。後悔__?自分はいらなかった?確かにメンバーを無駄死にさせている。自分じゃなかったら__!
「違う。そんな意味じゃないよ。ただ、申し訳なくなって。」
申し訳なくなって?なにを?慌てて返す。
「違いますよォ!リーダー!アナタにワタシは救われた!リーダーが申し訳なくなる理由なんてありません!」
「そう思わせてしまった。当初より、お前は『トワイライト』を憎悪している」
[漢字]彼女[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]は哀しそうに呟いた。
「本当は、私一人で挑めばよかった。お前らを勝手に巻き込み、殺してしまった。私一人で、死んどけば良かったんだよ……」
そんな。そんなこと言わないでくれ。言葉をなんとか出そうにも、何も言えない。
「ジェスター。もう『トワイライト』からは手を引け。__幸せに暮らしてね。命令だよ。」
そこで、もう話すのは、会うのは終わりと言うように、リーダーは席を立つ。そのまま歩いていった。追いかけていくことも、出来なかった。たった一人、生きていた。
何が「『トワイライト』からは手を引け」だ。
一番初めの、あの『トワイライト』を絶対に殺すという信念を持っていたアナタはどこに行った。
ワタシを利用して『トワイライト』を潰そうとしていたアナタはどこ行った。
あぁ。わかった。勝手にするよ。勝手に『トワイライト』に復讐するよ。
アナタがくれたこの狂おしいほどに燃える憎悪を武器に殺してやるよ。
別にアナタのためではない。自分のためさ。利害が一致しているだけですよ?
リーダー。
もしも__もしも、ワタシが『トワイライト』に勝ったら、命令を破ったことを怒らず、褒めてくださいね____
(此処から先は本編とは関係ありません。シリアス過ぎて作者が書きたくなっただけ)
‐謎RAYこめでぃー‐
「全く!二人共!もう怒りましたからね!!!」
「……………っ」
ここは『トワイライト』本部の一室。普段は豪華絢爛な部屋であるが、今日はその雰囲気は一切ない。
__部屋が、吹き飛んでいた。
比喩表現でもなんでもない。跡形もなく、フィルアの自室が無くなっていた。
遡ること、数時間前__レイとマリアが悪ノリし、うっかり爆破してしまったのである。この本部じゃよくあることだが、フィルアの部屋となると、初めてのことだった。
「…って言う事があって……。珍しくフィルアが怒っちゃったんだ。ルーザ、お前フィルアと仲が良いだろ?なんかなだめる方法知らないか?」
マリアが怒られている最中、レイはこっそりと助っ人__ルーザに電話を助言を求める。
「なるほどな〜。で、死人は何人出た?」
「はぁぁぁぁあ!?出るわけねぇだろ何言ってんのお前」
何故か、ルーザがよくわからないことを聞く。電話から、呆れたような声が聞こえた。
「ん?出てないのか?死人が出てないならフィルアの『怒った』内に入らないぜ〜。じゃ!頑張れよ!」
そこで、通話は切られる。後ろから、圧が感じた。
「…レイさん?電話するなんて余裕じゃないですか。しっかりと何がいけなかったか、考えてくださいね……!」
レイは、胸に刻む。
この人は、絶対怒らせては行けないと__
つづく(???)
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