‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』
目を開けた。
白と黒のモノクロな天井が見えた。身体には、真っ白な掛け布団が掛かっている。これらの指すことは、私はベットで仰向きに寝ているということだろう。私__デシジョンは、身体を起こす。が、その時全身に激痛が走り、起床は失敗に終わった。どうして私はここに?寝起きで回らない頭に問いかける。
「______ぉぉぉおおおおっ!?デシジョンッ!?」
突然、大声が聞こえた。何とか首を回して声の発生源を見ると、地味な灰緑色の髪をした青年__レイが居た。レイは、慌ててこちらに駆け寄り、「大丈夫か!?痛くないかっ!?」と爆音で聞いてくる。善意でだろう。
___確か私は、ツキミを助けるために火に飛び込んで
「__ッ!!!」
あの時、ツキミは私を突き飛ばし、一人炎の中残った。ツキミはどうなったのだろう__?反射的にレイを見る。彼は、悔しそうな、こちらを労るような、悲しそうな複雑な顔をしていて、今にも泣きそうだった。
その反応でツキミの安否を察する。__我が妹は、姉のもとへ行ったのだろう。
あらかた予想道理だったので、取り乱しはしない。
が__頬を涙がつたった。
隣でレイがおろおろとしているのがぼやけて見えた。
「それで…皆は大丈夫だったの……?」
ある程度落ち着き、レイに質問する。あの時、フィルアが行方不明になっていたそうだが___
「あぁ。大丈夫だぜ。なんなら一番重傷なのはデシジョンだからな?」
どうやら私の傷があまりにも酷いらしい。レイは、顔をしかめて言う。私は、部屋につけてある鏡を見た。
___火傷痕が身体を包んでいた。
まず、一番目立つ顔部分。今は包帯で隠しているが、取ってみると中々グロかった。右目部分辺りが傷跡として一生残るそうだ。そして、手足。左手は上手く動かず、かなり不自由となるだろう。足は痕こそ残るが、問題ない。
もともと容姿に気を使うわけではなかったので、あまり深刻に考えない。しょうがないことだ。
そう思っていたが__
「デシジョン__!!!起きたって聞いて__!!!!」
ミリョカが飛び込むように入室してきた。額には汗。走ってきたらしい。ゆっくりとミリョカはこちらを見た。こちらを__火傷を見た。
「……デシジョン………………」
もう一度、私の名前を呼んだ。低く、押し殺したような声だった。そのまま、ミリョカは私の方へ近づき__
[太字]平手打ち[/太字]をした。
パンッ、という乾いた音がなった。
恐らく、狙撃ボスのレイですら予想できなかったのだろう。ぽかんとした間抜けヅラをしている。
「デシジョン__貴方_!!!自分が何したかわかっているのっ!?!?」
私は、平手打ちの勢いで涙がまた出てきた。ミリョカも泣いていた。
「確かに妹を守りたかった貴方の気持ちもわかるわ!でも__でも!それで貴方が傷つくことなんて望んでないの!!」
流石ミリョカだ__。仲間思いで本当に良い子だ__。衝撃で揺らいだ脳がどうでもいいことを考える。
「貴方が、起きてこなくて、どんなに心配したか__………」
そのまま、ミリョカは蹲ってしまった。
「…ごめん……。本当に、迷惑かけた。」
彼女の綺麗な後頭部を見ながら、語りかける。
ミリョカには、感謝している。今回の事でもそうだが、今までの任務、ましては日常的な生活面でもお世話になっているのだ。そんな彼女を私は姉のように慕っている。
「…えぇ。本当にしょうがない子ね……。」
ミリョカは、涙を拭って、起き上がった。そして、少し微笑む。
「その火傷痕を活かすような、隠すようなメイク術教えてあげるわ。」
「遠慮しておくよ………」
いつものようなやり取りをし、くすりと二人で笑う。
「これからも、よろしくね。」
「………こちらこそ。」
これからも二人で、歩んでいく__。
◇ 合衆国編 終了 ◇
次回、舞踏会編__またの名を____
[大文字][中央寄せ] ‐復讐劇編 ‐ [/中央寄せ][/大文字]
今、幕は開く。
[太字][明朝体]「踊る準備はできていますか?」[/明朝体][/太字]
[太字][明朝体]「それでは、滑稽な喜劇をどうぞ、お楽しみください__」[/明朝体][/太字]
道化師は、観客に向かって一礼した__。
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