‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』
これは、三人が博士と戦っていた時、同時進行で行われていたもう一つの戦い__。
「デシ…ジョン……?嘘やろ…?」
マリアが呆然と呟く。周りには、倒された仲間たち。ルーザ、ムギが気絶していた。マリアは、攻撃してきた相手をただただ見る。
__こちらに冷たい目線を注ぐデシジョンと楽しそうに笑うデシジョンに似た女性。
「……………………」
「流石、ゲッカ__じゃなかった、デシジョンね!私の妹だけあるわ!」
十分程前、ルーザの技術により、とある人から無線機に情報が入った。そして、デシジョンの居場所がわかったのだ。その場所に向かってみると、デシジョンを含めた二人の人物が居た。慌てて近寄ると、恐らく壁に仕掛けてあったのだろう、銃が撃たれ、ムギのふくらはぎを貫通。驚いていると、知らない黒髪の女性にルーザが手刀にあっていた。普段なら、何の迷いもなく『操瞳』を使っていただろうが、とある理由で出し渋る。
その内に、二人は手を繋ぎ、マリアの前から歩いて消えていった__。
(う〜ん、雅じゃ。変装だけでここまで傀儡になってくれるとは。楽しいのじゃ)
デシジョンに似た女性__デシジョンの姉であるゲツメイ__のフリをし、『お姉ちゃん』を演じるコヨミは心の中でほくそ笑む。
(仲間を襲って負傷させたって時点で、もう完璧にこちらの味方ってことでおーけーかのう?『トワイライト』も案外たいしたことないのじゃな〜。これが俗言う「チョロすぎっ」か。)
などと思いながらも、隣で走る『妹』に話しかける。
「ごめんなさい…。私が居る組織が『トワイライト』を殺さなきゃいけないっていうルールだったばかりに…。仲間を攻撃させっちゃって……」
「ううん…。お姉ちゃんと居られるなら、何でも良いよ…!」
そんな『妹』は泣けることを言ってきた。お姉ちゃんが別人とは知らず。
が、妹は突然足を止めた。
私はデシジョン。私は十年前、最愛の姉を殺された後、『トワイライト』に入った。
『トワイライト』には、不思議な輩が居た。新人の空気の読めないスナイパー、姉に少し似た超絶美少女、騒がしいムードメーカーな青鬼の少女、明るく優しい情報屋、自分以上にルールに厳しい工作員、マイペースで幼いが拷問担当というギャップの激しい幼女、自分より幼いくせに大人びた強靭な少年__そして、私。
確かに、私は家族と感動の再会を果たした。
ええ。[太字]家族[/太字]と。
ひと目見ただけで、わかった。 これは、姉ではない。 が、家族だと。
彼女は、私を『トワイライト』から裏切らせようとしていた。そのための姉のフリだろう。
なら、私も裏切った[太字]フリ[/太字]をする。
彼女にバレないよう、数人の仲間に作戦を密かに伝えた。
嘘に嘘を重ねた作戦。
私は、敵との歩きをやめる__。
「どうしたの?デシジョン。突然立ち止まって。」
姉のフリをした彼女が心配そうなフリをして近づいてくる。
できることなら、このまま嘘に飲まれて、偽物の姉と生きていきたい。
しかし、それは出来ないことだ。
姉に少し似た超絶美少女__ミリョカに作戦を伝えた時、言われた言葉。
「絶対に帰ってきてよ?」
もう大切な者は姉だけではない。私は、「独り立ちするべきだな」と心のなかで自嘲する。
息を吸い、ずっと言いたかった言葉を吐き出す。
[太字]「_______久しぶり、大きくなったね、ツキミ。」[/太字]
最早、たった一人の家族__最愛の[太字]妹[/太字]に向かって精一杯、微笑んだ。
_____妹は、大きく目を見開いた。
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