‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』
「ッミ、ミリョカ………?」
何が起こっているのだろうか?敵である彼ら人形がミリョカを敬い、跪くなど。
そのレイの疑問に、悔しくも答えたのは敵の博士だった。
「もしかして…お前…洗脳を上書きした……?」
洗脳___彼は、人体___で人形を作っていると言った。おそらく、痛みによる支配だろう。それをミリョカが上書きした__?そんな事が可能なのだろうか。
「えぇ、そうよ。実は、とある人の密令で初めてここを訪れたときから多少弄っていたの。」
肩にかかった髪を払いながら、あっさりとミリョカが言ってのけた。
___形勢は逆転した。
現在、圧倒的有利なのはこちらがわ。『トワイライト』だ。相手は、残る仲間も少なく、反比例してこちらには人数が増えた。
「あまり、僕の殺戮人形を舐めないでもらいたいね……!」
博士は忌まわしげに、吐き捨てる。
「【全員、裏切り者を真っ先の殺せ。】」
フィルアを含む、ミリョカの能力にも屈しない者が命令を受け、攻撃準備を開始した。
「貴方も『トワイライト』を舐めないほうが良いわよ?なんて言ったて貴方とは違って、『トワイライト』は仲間で協力しあってるもの。【かわい子ちゃん達、守って。】」
人形達の乱闘が始まる。そこに、レイも混じっていった。
「___ッ!しゃおらぁぁあ!!!」
これで、相手の剣を弾くこと五回。とどめを刺そうとして防がれること十三回。重傷な怪我はないが、かすり傷増えてきている。小さな傷でも動きは鈍くなる。その点、相手は全く平気そうだ。まだまだ、全力の攻撃を仕掛けてくる。流石、かの有名な殺戮人形。生き物と戦っているように全く感じられない。
「【右に動いて!攻撃を避けて!】」
ミリョカの方も疲労が溜まってきているようだ。人形たちも動きにキレが無くなりつつある。
「諦めたらどう?万全じゃない君らが戦っても勝てないよ。」
呆れるように博士は呟く。王座で足を組む彼にとって、これは上質で臨場感のあるアクション映画のようなものだろう。
「何回も言わせないでくれるかしら?『トワイライト』は仲間で協力しあってるの。貴方には負けるはずないわ。」
「よくこの状況で言えるね。」
彼は鼻で笑う。
「___そう思わない?レイ?」
突然、話を振られ驚く。振り返ってみると、いつも通り美しいミリョカの澄んだ瞳の中に、イタズラっ子のような妖しさ。目に毒だなぁ、と思いながらレイも微笑む。
「確かにそうだな。こうやって話術に簡単に引っかかるところとか、手玉に取りやすいこの上ないぜ。まるで『トワイライト』の敵ではないな。」
レイに言われた言葉に、博士は顔を歪ませる。
「何を言ってる__!現実がわかってないようだね!君たちは負けるんだよ!」
引っかかりやすい。感情的になりすぎだ。
本当に警戒するべきは、レイでもミリョカでもない。
レイとミリョカは、その名を呼ぶ。
[太字]「「モニカッ!!!」」[/太字]
「はぁい!!!」
煙が舞う。
([太字]煙幕___!?[/太字] 時間稼ぎのために?いいや、そんなの意味がない。なんだ__?)
博士は思考を巡らせる。先ほどモニカと言われた少女の身体__というよりも、背後にある機械から突然、真っ白な煙が出た。視界が奪われる。
(どういう作戦かは知らないけど、煙が晴れたらまた、戦えば良い。これなら対処は簡単だ。あぁ______?)
煙が晴れた時、残っていた殺戮人形全員が一人を除いて、地に伏し、血液で床に新しい模様を描いていた。
まず、レイは殺っていない。このような無情に人を殺すことは彼には出来ない。
ミリョカではない。彼女にここまでの戦闘能力はなく、彼女に操られている人形でも不可能。
モニカではない。モニカのいる場所から、殺戮人形の場所までかなり離れている。武器は届かない。そして、彼女ではないと断言できた。
なら、誰が___?
[太字]本当に警戒するべきは、レイでもミリョカでも、ましてやモニカでもない。[/太字]
[太字]嘘に嘘を重ねた作戦。[/太字]
エルアは、残った殺戮人形に叫ぶ。
「フィルア…っ!お前……!!!!」
フィルアは、しっかりと自身の足と意思で地に立ち、怨敵を睨んでいた。
「さてと__覚悟は良いか?博士」
冷徹な眼差しを向ける。
もう教祖を崇め称える信者はいなかった。彼を守る人形はいなかった。彼が命令を重ねても、起き上がる者はいない。
そして、博士自身が『トワイライト』四人と戦い、勝てないのは明白だ。
勝負は終わった。
手下のいない彼など恐れるに足るものか。博士も状況を察し、後退りするがすぐに背が壁につく。臣下のいない王様などただの人間だ。
モニカが一歩前に進み、自前のスタンガンで眠らせた。これから、彼は拷問され、情報を吐くだろう。ふさわしい末路だった。
「「「フィルアぁぁあ〜!!!!」」」
「く、くるしい…です……」
三人同時に叫び、フィルアに抱きつく。敵だったときはあんなにも恐ろしかったが、味方になった瞬間、何だこの安心感。里帰りして久々に顔を合わせたおふくろのような雰囲気だ。
「皆さん、すみません…迷惑かけてしまって……」
「いやいやいや!そんな堅苦しい事言うなって!良かった良かった!」
「にしても、ミリョカちゃんの呼びかけが通じて良かった〜!」
「うふふ!本当にギリギリの勝負だったわね〜!」
博士がモニカに気を取られた煙幕の中、暴れるフィルアをレイが抑え、ミリョカが博士の洗脳を解いたのだ。
「…そういえばだけど、デシジョンは大丈夫なのか?」
ひとしきり馬鹿騒ぎした後、フィルアを抱き締めながらふと疑問に思う。
「デシジョンさんになにかあったんですか?…モニカさんとミリョカさんはともかく、レイさんはいい歳してるんですからもうやめてください。後、力強すぎです。」
フィルアが首を傾げる。レイが「いい歳って何だよ!?俺はまだ十代だからな!!」を飛びかかり、またじゃれ合いが起きたがミリョカが止める。
「デシジョンちゃんなら、きっと大丈夫よ。信頼してここで待ちましょう。」
何故そこまで言い切れるのか?
[太字]三人が不思議に思う中、ミリョカは美しく、そして暖かく笑った。[/太字]
何が起こっているのだろうか?敵である彼ら人形がミリョカを敬い、跪くなど。
そのレイの疑問に、悔しくも答えたのは敵の博士だった。
「もしかして…お前…洗脳を上書きした……?」
洗脳___彼は、人体___で人形を作っていると言った。おそらく、痛みによる支配だろう。それをミリョカが上書きした__?そんな事が可能なのだろうか。
「えぇ、そうよ。実は、とある人の密令で初めてここを訪れたときから多少弄っていたの。」
肩にかかった髪を払いながら、あっさりとミリョカが言ってのけた。
___形勢は逆転した。
現在、圧倒的有利なのはこちらがわ。『トワイライト』だ。相手は、残る仲間も少なく、反比例してこちらには人数が増えた。
「あまり、僕の殺戮人形を舐めないでもらいたいね……!」
博士は忌まわしげに、吐き捨てる。
「【全員、裏切り者を真っ先の殺せ。】」
フィルアを含む、ミリョカの能力にも屈しない者が命令を受け、攻撃準備を開始した。
「貴方も『トワイライト』を舐めないほうが良いわよ?なんて言ったて貴方とは違って、『トワイライト』は仲間で協力しあってるもの。【かわい子ちゃん達、守って。】」
人形達の乱闘が始まる。そこに、レイも混じっていった。
「___ッ!しゃおらぁぁあ!!!」
これで、相手の剣を弾くこと五回。とどめを刺そうとして防がれること十三回。重傷な怪我はないが、かすり傷増えてきている。小さな傷でも動きは鈍くなる。その点、相手は全く平気そうだ。まだまだ、全力の攻撃を仕掛けてくる。流石、かの有名な殺戮人形。生き物と戦っているように全く感じられない。
「【右に動いて!攻撃を避けて!】」
ミリョカの方も疲労が溜まってきているようだ。人形たちも動きにキレが無くなりつつある。
「諦めたらどう?万全じゃない君らが戦っても勝てないよ。」
呆れるように博士は呟く。王座で足を組む彼にとって、これは上質で臨場感のあるアクション映画のようなものだろう。
「何回も言わせないでくれるかしら?『トワイライト』は仲間で協力しあってるの。貴方には負けるはずないわ。」
「よくこの状況で言えるね。」
彼は鼻で笑う。
「___そう思わない?レイ?」
突然、話を振られ驚く。振り返ってみると、いつも通り美しいミリョカの澄んだ瞳の中に、イタズラっ子のような妖しさ。目に毒だなぁ、と思いながらレイも微笑む。
「確かにそうだな。こうやって話術に簡単に引っかかるところとか、手玉に取りやすいこの上ないぜ。まるで『トワイライト』の敵ではないな。」
レイに言われた言葉に、博士は顔を歪ませる。
「何を言ってる__!現実がわかってないようだね!君たちは負けるんだよ!」
引っかかりやすい。感情的になりすぎだ。
本当に警戒するべきは、レイでもミリョカでもない。
レイとミリョカは、その名を呼ぶ。
[太字]「「モニカッ!!!」」[/太字]
「はぁい!!!」
煙が舞う。
([太字]煙幕___!?[/太字] 時間稼ぎのために?いいや、そんなの意味がない。なんだ__?)
博士は思考を巡らせる。先ほどモニカと言われた少女の身体__というよりも、背後にある機械から突然、真っ白な煙が出た。視界が奪われる。
(どういう作戦かは知らないけど、煙が晴れたらまた、戦えば良い。これなら対処は簡単だ。あぁ______?)
煙が晴れた時、残っていた殺戮人形全員が一人を除いて、地に伏し、血液で床に新しい模様を描いていた。
まず、レイは殺っていない。このような無情に人を殺すことは彼には出来ない。
ミリョカではない。彼女にここまでの戦闘能力はなく、彼女に操られている人形でも不可能。
モニカではない。モニカのいる場所から、殺戮人形の場所までかなり離れている。武器は届かない。そして、彼女ではないと断言できた。
なら、誰が___?
[太字]本当に警戒するべきは、レイでもミリョカでも、ましてやモニカでもない。[/太字]
[太字]嘘に嘘を重ねた作戦。[/太字]
エルアは、残った殺戮人形に叫ぶ。
「フィルア…っ!お前……!!!!」
フィルアは、しっかりと自身の足と意思で地に立ち、怨敵を睨んでいた。
「さてと__覚悟は良いか?博士」
冷徹な眼差しを向ける。
もう教祖を崇め称える信者はいなかった。彼を守る人形はいなかった。彼が命令を重ねても、起き上がる者はいない。
そして、博士自身が『トワイライト』四人と戦い、勝てないのは明白だ。
勝負は終わった。
手下のいない彼など恐れるに足るものか。博士も状況を察し、後退りするがすぐに背が壁につく。臣下のいない王様などただの人間だ。
モニカが一歩前に進み、自前のスタンガンで眠らせた。これから、彼は拷問され、情報を吐くだろう。ふさわしい末路だった。
「「「フィルアぁぁあ〜!!!!」」」
「く、くるしい…です……」
三人同時に叫び、フィルアに抱きつく。敵だったときはあんなにも恐ろしかったが、味方になった瞬間、何だこの安心感。里帰りして久々に顔を合わせたおふくろのような雰囲気だ。
「皆さん、すみません…迷惑かけてしまって……」
「いやいやいや!そんな堅苦しい事言うなって!良かった良かった!」
「にしても、ミリョカちゃんの呼びかけが通じて良かった〜!」
「うふふ!本当にギリギリの勝負だったわね〜!」
博士がモニカに気を取られた煙幕の中、暴れるフィルアをレイが抑え、ミリョカが博士の洗脳を解いたのだ。
「…そういえばだけど、デシジョンは大丈夫なのか?」
ひとしきり馬鹿騒ぎした後、フィルアを抱き締めながらふと疑問に思う。
「デシジョンさんになにかあったんですか?…モニカさんとミリョカさんはともかく、レイさんはいい歳してるんですからもうやめてください。後、力強すぎです。」
フィルアが首を傾げる。レイが「いい歳って何だよ!?俺はまだ十代だからな!!」を飛びかかり、またじゃれ合いが起きたがミリョカが止める。
「デシジョンちゃんなら、きっと大丈夫よ。信頼してここで待ちましょう。」
何故そこまで言い切れるのか?
[太字]三人が不思議に思う中、ミリョカは美しく、そして暖かく笑った。[/太字]
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