- 閲覧前にご確認ください -

殺人の描写があります

文字サイズ変更

 ‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』

#46

魅了される人形

「ッミ、ミリョカ………?」

何が起こっているのだろうか?敵である彼ら人形がミリョカを敬い、跪くなど。
そのレイの疑問に、悔しくも答えたのは敵の博士だった。

「もしかして…お前…洗脳を上書きした……?」

洗脳___彼は、人体___で人形を作っていると言った。おそらく、痛みによる支配だろう。それをミリョカが上書きした__?そんな事が可能なのだろうか。
「えぇ、そうよ。実は、とある人の密令で初めてここを訪れたときから多少弄っていたの。」
肩にかかった髪を払いながら、あっさりとミリョカが言ってのけた。

___形勢は逆転した。

現在、圧倒的有利なのはこちらがわ。『トワイライト』だ。相手は、残る仲間も少なく、反比例してこちらには人数が増えた。


「あまり、僕の殺戮人形を舐めないでもらいたいね……!」
博士は忌まわしげに、吐き捨てる。
「【全員、裏切り者を真っ先の殺せ。】」
フィルアを含む、ミリョカの能力にも屈しない者が命令を受け、攻撃準備を開始した。
「貴方も『トワイライト』を舐めないほうが良いわよ?なんて言ったて貴方とは違って、『トワイライト』は仲間で協力しあってるもの。【かわい子ちゃん達、守って。】」
人形達の乱闘が始まる。そこに、レイも混じっていった。



「___ッ!しゃおらぁぁあ!!!」
これで、相手の剣を弾くこと五回。とどめを刺そうとして防がれること十三回。重傷な怪我はないが、かすり傷増えてきている。小さな傷でも動きは鈍くなる。その点、相手は全く平気そうだ。まだまだ、全力の攻撃を仕掛けてくる。流石、かの有名な殺戮人形。生き物と戦っているように全く感じられない。
「【右に動いて!攻撃を避けて!】」
ミリョカの方も疲労が溜まってきているようだ。人形たちも動きにキレが無くなりつつある。

「諦めたらどう?万全じゃない君らが戦っても勝てないよ。」

呆れるように博士は呟く。王座で足を組む彼にとって、これは上質で臨場感のあるアクション映画のようなものだろう。
「何回も言わせないでくれるかしら?『トワイライト』は仲間で協力しあってるの。貴方には負けるはずないわ。」
「よくこの状況で言えるね。」
彼は鼻で笑う。
「___そう思わない?レイ?」
突然、話を振られ驚く。振り返ってみると、いつも通り美しいミリョカの澄んだ瞳の中に、イタズラっ子のような妖しさ。目に毒だなぁ、と思いながらレイも微笑む。
「確かにそうだな。こうやって話術に簡単に引っかかるところとか、手玉に取りやすいこの上ないぜ。まるで『トワイライト』の敵ではないな。」
レイに言われた言葉に、博士は顔を歪ませる。
「何を言ってる__!現実がわかってないようだね!君たちは負けるんだよ!」







引っかかりやすい。感情的になりすぎだ。






本当に警戒するべきは、レイでもミリョカでもない。
レイとミリョカは、その名を呼ぶ。



[太字]「「モニカッ!!!」」[/太字]


「はぁい!!!」




煙が舞う。

([太字]煙幕___!?[/太字] 時間稼ぎのために?いいや、そんなの意味がない。なんだ__?)

博士は思考を巡らせる。先ほどモニカと言われた少女の身体__というよりも、背後にある機械から突然、真っ白な煙が出た。視界が奪われる。

(どういう作戦かは知らないけど、煙が晴れたらまた、戦えば良い。これなら対処は簡単だ。あぁ______?)



煙が晴れた時、残っていた殺戮人形全員が一人を除いて、地に伏し、血液で床に新しい模様を描いていた。
まず、レイは殺っていない。このような無情に人を殺すことは彼には出来ない。
ミリョカではない。彼女にここまでの戦闘能力はなく、彼女に操られている人形でも不可能。
モニカではない。モニカのいる場所から、殺戮人形の場所までかなり離れている。武器は届かない。そして、彼女ではないと断言できた。


なら、誰が___?


[太字]本当に警戒するべきは、レイでもミリョカでも、ましてやモニカでもない。[/太字]


[太字]嘘に嘘を重ねた作戦。[/太字]


エルアは、残った殺戮人形に叫ぶ。


「フィルア…っ!お前……!!!!」


フィルアは、しっかりと自身の足と意思で地に立ち、怨敵を睨んでいた。







「さてと__覚悟は良いか?博士」
冷徹な眼差しを向ける。
もう教祖を崇め称える信者はいなかった。彼を守る人形はいなかった。彼が命令を重ねても、起き上がる者はいない。
そして、博士自身が『トワイライト』四人と戦い、勝てないのは明白だ。
勝負は終わった。
手下のいない彼など恐れるに足るものか。博士も状況を察し、後退りするがすぐに背が壁につく。臣下のいない王様などただの人間だ。

モニカが一歩前に進み、自前のスタンガンで眠らせた。これから、彼は拷問され、情報を吐くだろう。ふさわしい末路だった。









「「「フィルアぁぁあ〜!!!!」」」
「く、くるしい…です……」
三人同時に叫び、フィルアに抱きつく。敵だったときはあんなにも恐ろしかったが、味方になった瞬間、何だこの安心感。里帰りして久々に顔を合わせたおふくろのような雰囲気だ。
「皆さん、すみません…迷惑かけてしまって……」
「いやいやいや!そんな堅苦しい事言うなって!良かった良かった!」
「にしても、ミリョカちゃんの呼びかけが通じて良かった〜!」
「うふふ!本当にギリギリの勝負だったわね〜!」

博士がモニカに気を取られた煙幕の中、暴れるフィルアをレイが抑え、ミリョカが博士の洗脳を解いたのだ。

「…そういえばだけど、デシジョンは大丈夫なのか?」

ひとしきり馬鹿騒ぎした後、フィルアを抱き締めながらふと疑問に思う。
「デシジョンさんになにかあったんですか?…モニカさんとミリョカさんはともかく、レイさんはいい歳してるんですからもうやめてください。後、力強すぎです。」

フィルアが首を傾げる。レイが「いい歳って何だよ!?俺はまだ十代だからな!!」を飛びかかり、またじゃれ合いが起きたがミリョカが止める。

「デシジョンちゃんなら、きっと大丈夫よ。信頼してここで待ちましょう。」

何故そこまで言い切れるのか?


[太字]三人が不思議に思う中、ミリョカは美しく、そして暖かく笑った。[/太字]

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

うはぁぁぁぁぁぁ! 文字数が2427文字です!
今回で、フィルア君&ミリョカちゃん編は終わりになると思います…!
ルイ五十世、初めて一日一投稿を昨日破りましたね…。うん。途中まで書いてはいたんです。送信を押し忘れたんです(言い訳です)。
次回は、デシジョンちゃん編ですね…! ドッキドキ!
このお話の好きなところは、『三人同時に叫び、フィルアに抱きつく。敵だったときはあんなにも恐ろしかったが、味方になった瞬間、何だこの安心感。里帰りして久々に顔を合わせたおふくろのような雰囲気だ。』ってところですね。皆の保護者感が爆盛です。
追記なんですが、文の中に『フィルアに〜』っていう文章があるじゃないですか。
漢字変換する時、フィル兄が一番最初に来て、爆笑してしまいました。1人で。

このペースで投稿していって、いつ終わるのか?亀の歩みじゃないか?
と、思っていますが、まぁ大丈夫でしょう。責任持って終わらせます!

2024/07/13 09:03

ルイ50世 ID:≫.pNRnxeFwo9wA
続きを執筆
小説を編集
/ 63

コメント
[284]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL