‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』
「………フィ……ルア…?」
見間違えようもない、フィルアだった。幼いながらも、大人らしく近距離ボスを担い、当初からレイと共に戦ってきてくれた少年。現在、行方不明で自分たちが探していた当本人だった。
「ちょっ…、フィルア!どうしたの?レイを攻撃して!」
モニカが悲痛に叫ぶ。しかし、フィルアは一切返事もせず、ただただこちらに殺気を向ける。モニカの質問に答えたのは、先程まで腹立たしそうにしていた教祖だった。
「僕はこの界隈では『博士』と呼ばれているんだ。なんでだと思う?
僕の能力は、調教__とでも言おうかな。人体実験で、人の域を超えた殺戮兵器を作り出せるんだよ。フィルアもその一人さ。命令を聞き、その通りに動く、哀れな人形だよ。」
教祖__いや、博士は、こちらを蔑むような嘲笑を浮かべる。
レイの心が急激に冷えていった。
(そんなことがあってたまるか__っ!)
恐ろしいの一言に尽きる。あまりにも、狂っている。今まで、数多の敵を相手してきたが、全員が己の信念や正義で動いていた。しかし、彼には全くもって人間としての常識がない。もはや、レイとは別の生き物だ。
などと考えていると、フィルアが剣を大振りに振り、迫ってきた。
なんとか回避行動を取るものの、空気が切れ、耳障りな音を立てた。
「____ッ!!!」
一撃当った__いや掠っただけでも自分は死ぬことがわかる。それほどまでに重い攻撃だ。
(どうするかっ!?手加減が通じる相手じゃねぇ…。かと言って、殺すなんて……!)
そう。レイは仲間を殺せない。
この冷酷が求められる社会では、欠陥と言って良い、お人好しである。
特に、先の戦いで死にかけた時、自身の優しさに気がついてしまった__。
「あははっ!最凶と言われた『トワイライト』もこんなものか。裏切りが一番絆を壊し、狂わせるとは言ったものだね!」
楽しそうに博士は笑う。
「__まぁ…もう飽きたよ。死ね。」
レイが倒したはずの信者たち__博士に言わせれば、人形か__が突如動き出した。
(__っ!しっかり気絶させたのに!)
そもそも、『気絶させた』という認識が間違っていたのだ。彼らは人間ではない。人基準で、動けなくさせたぐらいだと、どうってことはないだろう。彼らが向かうはレイ__ではなく、ミリョカとモニカだ。人質に取り、自分を殺すつもりか。もしくは目の前で殺し、動揺させる気か。どちらにせよ、かなり不味い現状だ。なんとか敵を止めようとするが、間に合わない…!
「…………………………は」
声が漏れた。
[太字]____人形たちは、ミリョカに跪いた。[/太字]
「あら、貴方自身言っていたじゃない?裏切りが一番絆を壊し、狂わせるって。」
彼女は今日も優雅に微笑む___!
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