華連邦から帰り、初日＿＿。

「「「ごめんなさい」」」
『トワイライト』本部では、今回行方不明になった四人が他メンバーに向かって謝っていた。
「マジ、俺ら大変だったんだからな！？仕事を少なくさせるどころか増やしてるからなっ！？」
「まぁ…。動機にも納得できるし、結果として上手く行ったからもう良いんじゃない…？」
レイがブチギレ、デシジョンが落ち着いた調子で宥める。それを聞いた四人は一瞬でお辞儀を辞め、自由に行動し始める。どうやら彼らの中で、反省は終わったようだ。
「全く、今回は大変だったの〜！ワイめっちゃ頑張ったや！」
「いや、お前は肝心な時居なかったからな？確かにアリスが暴走したときには助かったが、救援に来ても良かったんじゃないか！？」
「いやいや★なんの事だかわからんわ〜！」
マリアが調子に乗り、レイが素早くツッコむ。それを見たミリョカとモニカが楽しそうに笑う。

＿＿＿＿久しぶりにこの狂った日常に戻っていた。

安心するような、少し悲しいような複雑な気持ちである。

「それにしてもイーレは大丈夫だったのか？思いっきり怪我してたが」
「あぁ。確かに重症でしたが、今では目も覚め元気です。フィルアさんに稽古をつけらせてもらってますよ。」
「え？アイツと師弟関係なの？え？？」
レイの疑問はムギが淡々と答えてくれた。謎は深まったが。
「師弟関係というよりも、上級幹部の指導は我々ボスたちが行いますからね。レイさんもそのうち指導しますよ。」
「初耳なんだけど？？？」
「言ってませんからね。」
衝撃の事実に驚いたが、納得もする。こうして、技術を次の世代に渡しいくのか。

「それにしても、そろそろ『黄昏舞踏会』の季節だねぇ〜。今年はどうなるのかなぁ」
「そういえば、もうそろそろね。去年も波乱万丈だったけど、今年も荒れそうね…。」
モニカがふと気づいたように呟き、ミリョカがため息をつく。
「なんだ？『黄昏舞踏会』って？」
レイが眉間を寄せると自分以外の全員が驚愕の表情を作ってみせた。
「レイって知らんの〜？全く、世間知らずやなぁ」
やれやれと芝居がかった動作で呆れて見せるマリアは置いとき、デシジョンが説明してくれた。
「『黄昏舞踏会』っていうのは、半年後、各国の政治家や貴族たちがここより少し東北の国に集まって、今後の情勢について話し合ったり、交流を深めたりするんだよ…。それだけじゃない。権力者が集まることによって、それを狙う者も現れる…。毎回毎回、国王とかが暗殺されたり、行方不明者が多々出たりするね…。私達も参加するよ……。」
「はへー、そんなもんがあるのか。」
「…今回の『黄昏舞踏会』は嫌な予感がするね……。策を練らなきゃ……。」
そのような会があるなんて一ミリも知らなかった。感心してしまう。

「ん？何の話をしているんですか？」
その時、イーレとの稽古を終えたフィルアが戻ってきた。疲れているはずなのに、それでも爽やかイケメンオーラを纏っている。憎い。
「『黄昏舞踏会』の話だぜ〜！気づけばもう少しだ！」
とルーザが伝えるとフィルアが眉をひそめる。
「確かにそんな時期ですよね…。って、そうだ。少し大掛かりな依頼が来ましたよ。」
「「「「また？」」」」
「そんなこと言わないでください。かなりの大金ですし、難易度も低め。簡単めです。」
フィルアが椅子に座った。

「少し、説明が長くなりますが聞いて下さいね。これから俺達が挑むのは＿＿＿＿。」





「ああぁ※あああ＠ぁぁ※ぁああ＊あぁあ＃ああ！！！！！クソがぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！」
一人の道化師がホテルの最上級室で暴れていた。ベットを殴り、枕を破り、毛布を裂き、その怒りを露わにする。
「ナンで死んでくれないノォっ！？こっちは二人もシンダノニィ？？？『黄昏舞踏会』ではどうなっちゃうの゙ォォオ゙？」
道化師＿＿ジェスターは蹲り、顔を覆う。
「棣棠もォ、饕餮もォ、みんなみんな『トワイライト』に殺された……。棣棠…饕餮……可哀想に…。お前らのことは、絶対に…絶対に忘れない…………っ」
声が震え、今にも聞こえなくなりそうになった。が、しかし＿＿
「なぁんちゃって★　嘘ですよゥっ！」
一瞬にしていつものふざけた人を嘲笑うような口調に戻った。
「…リーダーが何とかしてくれるかなァ…？あの人は凄い人だからナァ？アイツラを地獄に落とせるかナ……？」
深く考えるように、声量を落とし、ジェスターは少しの間、悩んだ。

「＿＿うんッ！！！次はアイツを仕向けようカァ゙！きっと、面白くなるナァァ！！！楽しみだナァァァア！！！」


道化師は今日も今日も笑った。



[太字][明朝体]The clown laughs today too![/明朝体]
[明朝体]Who on earth is the doll that is made to dance...?[/明朝体][/太字]