‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』
(いや、なんだよあの痣……。)
饕餮の分厚いガズマスクの下にはお世辞にも綺麗とは言えず、本能的に嫌悪感を抱くような、醜悪な痣があった。この場にいる全員が痣に気を取られ、動けない。
「…最凶『トワイライト』の奴らが揃って間抜けな顔だな……!滑稽だ…」
饕餮はマゼンタ色の地毛を掻き上げ、こちらを睨みつける。
「__来い。」 まるで煽るような口調だ。その言葉を受け、イーレが「はっ!殺してやるよ!」と好戦的な態度で斬りかかる。
____全身に悪寒が走った。
この感覚には覚えがある。初めての任務で殺されかけた時。圧倒的強者と対峙した時。親父が死んだ時。
「イーレッ!下がれぇぇぇぇッ!!!!!」
反射的に部下を呼ぶ。イーレは一瞬驚いたような顔をして振り向いた。
__空中に赤い花火が咲いた。イーレは目を大きく見開き、硬直した後、地面に倒れ込む。
「ッッッ!?!?!? ああああぁあああああぁあああああぁ!!!!」
痛みに抗う獣のように、イーレは叫ぶ。どうやら、肩から腰辺りまで、斜めに切られたらしい__。
饕餮が見覚えのない刃物を握っていた。形としては、イーレが持っている刀に近いものだ。どうやら、マントの中に収納していたらしい。
レイは、倒れ込んだイーレの首根っこを掴み、こちら側に寄せ、ミリョカ達が身を隠す建物の影に転がす。自分が止血する余裕はないが、恐らく彼女たちがやってくれるだろう。
(さて、どうしたもんか……)
実際のところ、かなりピンチである。動けるのは、アリスとレイのみ。そして、この二人は銃を扱うので、弾が切れると多少武力が得意な一般人となってしまう。何とか、銃弾を切らさずに倒したいものだが、そう簡単にいくとは思えない。そして、レイとアリスの銃弾は先程の戦闘でかなり少なくなっている。絶体絶命であった。しかし、それを敵に悟られたら、一巻の終わり。あくまでも余裕がある風を装い、肩の力を抜く。
睨み合いが続く。どちらかが少しでも動いたら、戦いは始まる。
そんな空気の中、レイとアリスの目線の奥に不思議なものが写った。
((____???))
ルーザが裏路地の出口に立っていた。
いや、見間違いだろう。見間違いに決まっている。
ルーザは戦闘が苦手なはずだ。そんな奴が戦場に近づくはずがない。まさに、飛んで火に入る夏の虫だ。屋上から走って空を飛ぶ人間だ。居るはずない。幻覚だろう。幻覚だろう___
(居るんだよなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!)
幻覚ではない。何度目を瞑って開いても、そこにはルーザが居る。なんならこちらに対して、手を振ってきた。何故?死にたくなったのか?頭大丈夫か?馬鹿か?いろんな罵倒の言葉が脳内を駆け巡ったが、一切口には出さない。不意にルーザの口が動いた。声は出していない。読唇術で読み取ると___
【時間を稼げ。作戦を考えた。】だそうだ。はっきり言ってルーザの作戦という恐ろしいものに普段は絶対に従いたくはないが、非常事態だ。隣に立つアリスにアイコンタクトを送るとこくんと頷かれた。
武器を構える___。
まず、アリスがマシンガンをこれでもかというほど連射する。空中に弾が飛び散り、火花が咲いた。しかし、この狭い裏路地の中で、饕餮はそれをすべて避けてみせた。壁に飛び上がったのである。屋根や看板など突起物を使い、回避して見せた。外れた弾は、他の物に当たり、ぱらぱらと瓦礫が舞い、割れたガラスが降ってくる。提灯や白熱灯が壊れ、辺りが暗くなった。マシンガンの嵐の中、隙を見てレイが放った銃弾は、槌に弾かれた。もはや、人間と戦っている気分ではない。彼は化け物だ__。
「是…。『トワイライト』も噂は随分と凄かったが実際はこんなものか……。」
「あぁ?噂ってなんだ?」
戦闘で時間が稼げないなら、話術で何とか時間を潰そうと声を掛ける。饕餮は、嬉しいことにも話に乗ってくれたようで、口を開いた。
「是…。我らの組織では、『トワイライト』をよく知っている奴が多いからない…。」
自分たちをよく知っているものが多い?疑問に感じたが、レイはそのまま話を続ける。
「はへぇ〜、熱烈なファンクラブがあるんだな。吃驚だぜ。」
「我々はお前らには決してバレないようにしているのだ…」
これで話は終わりというように、饕餮は口を閉ざしてしまう。こちらとしては、残念な限りである。
「____時間稼ぎありがとうな!」
聞き覚えのある陽気な声が裏路地に響いた時、目の前が真っ白になった。
饕餮の分厚いガズマスクの下にはお世辞にも綺麗とは言えず、本能的に嫌悪感を抱くような、醜悪な痣があった。この場にいる全員が痣に気を取られ、動けない。
「…最凶『トワイライト』の奴らが揃って間抜けな顔だな……!滑稽だ…」
饕餮はマゼンタ色の地毛を掻き上げ、こちらを睨みつける。
「__来い。」 まるで煽るような口調だ。その言葉を受け、イーレが「はっ!殺してやるよ!」と好戦的な態度で斬りかかる。
____全身に悪寒が走った。
この感覚には覚えがある。初めての任務で殺されかけた時。圧倒的強者と対峙した時。親父が死んだ時。
「イーレッ!下がれぇぇぇぇッ!!!!!」
反射的に部下を呼ぶ。イーレは一瞬驚いたような顔をして振り向いた。
__空中に赤い花火が咲いた。イーレは目を大きく見開き、硬直した後、地面に倒れ込む。
「ッッッ!?!?!? ああああぁあああああぁあああああぁ!!!!」
痛みに抗う獣のように、イーレは叫ぶ。どうやら、肩から腰辺りまで、斜めに切られたらしい__。
饕餮が見覚えのない刃物を握っていた。形としては、イーレが持っている刀に近いものだ。どうやら、マントの中に収納していたらしい。
レイは、倒れ込んだイーレの首根っこを掴み、こちら側に寄せ、ミリョカ達が身を隠す建物の影に転がす。自分が止血する余裕はないが、恐らく彼女たちがやってくれるだろう。
(さて、どうしたもんか……)
実際のところ、かなりピンチである。動けるのは、アリスとレイのみ。そして、この二人は銃を扱うので、弾が切れると多少武力が得意な一般人となってしまう。何とか、銃弾を切らさずに倒したいものだが、そう簡単にいくとは思えない。そして、レイとアリスの銃弾は先程の戦闘でかなり少なくなっている。絶体絶命であった。しかし、それを敵に悟られたら、一巻の終わり。あくまでも余裕がある風を装い、肩の力を抜く。
睨み合いが続く。どちらかが少しでも動いたら、戦いは始まる。
そんな空気の中、レイとアリスの目線の奥に不思議なものが写った。
((____???))
ルーザが裏路地の出口に立っていた。
いや、見間違いだろう。見間違いに決まっている。
ルーザは戦闘が苦手なはずだ。そんな奴が戦場に近づくはずがない。まさに、飛んで火に入る夏の虫だ。屋上から走って空を飛ぶ人間だ。居るはずない。幻覚だろう。幻覚だろう___
(居るんだよなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!)
幻覚ではない。何度目を瞑って開いても、そこにはルーザが居る。なんならこちらに対して、手を振ってきた。何故?死にたくなったのか?頭大丈夫か?馬鹿か?いろんな罵倒の言葉が脳内を駆け巡ったが、一切口には出さない。不意にルーザの口が動いた。声は出していない。読唇術で読み取ると___
【時間を稼げ。作戦を考えた。】だそうだ。はっきり言ってルーザの作戦という恐ろしいものに普段は絶対に従いたくはないが、非常事態だ。隣に立つアリスにアイコンタクトを送るとこくんと頷かれた。
武器を構える___。
まず、アリスがマシンガンをこれでもかというほど連射する。空中に弾が飛び散り、火花が咲いた。しかし、この狭い裏路地の中で、饕餮はそれをすべて避けてみせた。壁に飛び上がったのである。屋根や看板など突起物を使い、回避して見せた。外れた弾は、他の物に当たり、ぱらぱらと瓦礫が舞い、割れたガラスが降ってくる。提灯や白熱灯が壊れ、辺りが暗くなった。マシンガンの嵐の中、隙を見てレイが放った銃弾は、槌に弾かれた。もはや、人間と戦っている気分ではない。彼は化け物だ__。
「是…。『トワイライト』も噂は随分と凄かったが実際はこんなものか……。」
「あぁ?噂ってなんだ?」
戦闘で時間が稼げないなら、話術で何とか時間を潰そうと声を掛ける。饕餮は、嬉しいことにも話に乗ってくれたようで、口を開いた。
「是…。我らの組織では、『トワイライト』をよく知っている奴が多いからない…。」
自分たちをよく知っているものが多い?疑問に感じたが、レイはそのまま話を続ける。
「はへぇ〜、熱烈なファンクラブがあるんだな。吃驚だぜ。」
「我々はお前らには決してバレないようにしているのだ…」
これで話は終わりというように、饕餮は口を閉ざしてしまう。こちらとしては、残念な限りである。
「____時間稼ぎありがとうな!」
聞き覚えのある陽気な声が裏路地に響いた時、目の前が真っ白になった。
このボタンは廃止予定です