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殺人の描写があります

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 ‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』

#33

過去(2)

あれから、棣棠とは三日に一回のペースでいつもの場所に待ち合わせをし、軽く雑談し、時間が経てば帰ると習慣になっていた。
幸せに溢れていた。彼女の一挙一動に胸が高鳴り、見惚れてしまう。恋とは、愛とはこのことだろう。

そんな素晴らしい幸せと出会ってから三ヶ月が経った頃だった。
昼間、何もすることがなく、ぼんやりと壁の模様を見ながら、今日は棣棠と何を話すか考えていた時。

突然、扉の外から轟音が聞こえた。
そして、両親の叫び声。それもすぐ聞こえなくなり、あたりは静寂に包まれた。
身構えていると、勢いよく扉が開いた。
外の様子がよく見えた。両親は血溜まりに身を伏していた。ピクリとも動かず、一目でその生命が消えていることがわかった。その二人を数人の大人が囲むように立っていた。皆、それぞれ武器を持ち、返り血を全身に浴びていた。どうやら、両親を殺した犯人らしい。この世のものとは思えない地獄のような光景だったが、自分にとっては天国に感じられた。
「やぁ。君__饕餮を助けに来たよ。」
なぜなら、山吹色の天使__棣棠が立っていたから。

そのまま、棣棠に連れられ、数人の大人たちと外に出る。生まれて始めて車に乗り、家から距離を取る。
「ふん。実の子供を監禁するなんてナンセンスだねぇ。全くだよ。」
隣に座る棣棠は呆れたように呟く。そして、こちらに破顔した。
「__ねぇ?饕餮。ボクと一緒に来ない?」
言っている意味がわからず呆然としていると、けらけらと音を立て笑う。
「ボクはね『サンライズ』っていう殺し屋組織に入ってるんだ。世界の悪者をぶっ殺そう!って組織で、ボクもその考えに賛同して働いているんだけど、君も一緒に来ない?」
願ってもみないお誘いだった。反射的に頷くと、頭を撫でられた。彼女とこれからも一緒に居られると考えるだけで、酷く心が踊った。

「__それじゃぁ、これからもよろしくね。」

あれから、いくつもの時を過ごした。

棣棠は、人を思いのままに操るという人間離れした能力を持っていた。
しかし、能力が強すぎて、体が持たず、身体も小さいままだという。
まず、自分は近距離戦が苦手な棣棠をもしもの時、守るため、格闘術を学んだ。
訓練中突然現れ、「へー、随分強くなったじゃん。ボクの右腕にしてやるよ。」と偉そうに棣棠は笑った。嬉しくて涙を流すと、「泣くなよー」とからかわれた。

しかし、自分にとっては唯一無二の想い人でも、棣棠からしてみると数ある駒のうち一人に過ぎない。もし、自分は人並みの容姿をしていたら。もし、自分に一握りの勇気があったら。彼女と愛し合えていたかもしれない。だが、現実はそう上手くいかない。たとえ、部下の中で一番強くても、彼女と自分は両思いではない。それが猛烈に哀しく感じることもあった。

それでも、彼女を守れたら。彼女の隣に立てたなら。

自分は幸せものだな、と心からそう言える。



[太字]「__棣棠ッ!?!?」[/太字]

任務中だった。棣棠の小柄な体から鮮血が溢れ出す。
どうしようもないほどに大量の血。必死に止血を試みるが、その手を棣棠に止められた。
「……うる…さい。ボクは…だいじょうぶだから…。」
大丈夫?その言葉は嘘だろう。もう取り戻しがつかないほど、大切な生命は零れ落ちていた。
「お前はぁ…っ、いつでもそうだな……。十年前も…ボクが居なきゃ、なぁんも出来ないんだから。」
十年前のあの日。自分は棣棠に助けられた。
「__頑張ってこいよ。」
彼女なりの激励だろうか?それとも、部下への応援だろうか?それとも__。

その言葉を残し、彼女は糸の切れた人形のように動かなくなった。息はしている。が、このままでは出血死だろう。

自分はなんのために生きているのか? 自分はなんのために存在しているのか?

__是。全ては棣棠の為。あの日、自分は棣棠に全てを捧げた。

決意ができた。

目の前の敵を倒し、すぐさま棣棠を『サンライズ』のメンバーに見せれば助かる見込みも充分あるはずだ。

もしも、これで棣棠と自分二人で、生きて帰れたら、
自分の恋心を明かしても悪くわねぇな、と饕餮は痣に覆われた顔で微笑んだ。

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作者メッセージ

過去編二です! 当初は一遍で終わらせる予定でしたが、長引きました…。
個人的にこの棣棠ちゃんと饕餮君の片思い関係がたまらなく好きですw

_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> もしも棣棠と饕餮が学園にいたら <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

棣棠…パソコン部部長。お菓子が好き。軽薄な態度にボクっ娘、一部の人から人気があるが、彼氏持ち。お幸せに。

饕餮…パソコン部副部長。無口な長身男子。淡々とした態度を入学初日から続けている。棣棠に告り、見事成就。お幸せに。

2024/06/30 14:31

ルイ50世 ID:≫.pNRnxeFwo9wA
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