- 閲覧前にご確認ください -

殺人の描写があります

文字サイズ変更

 ‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』

#32

過去(1)


理不尽極まりないこの世界に生まれ落ちた頃から、自分には醜い痣があった。

本当に幼い頃は、まだ色は薄く、大きさも小さかったのであまり気にはならなかったし、親も友達も一応人として接してくれた。あの頃はまだ良かった。しかし、世界は残酷だった。八歳頃からだろうか?痣が呪いのように体中に広がってきた。それに相対して、色はどす黒く変色し、自分で言うのも何だが、化け物のような有り様だった。

「お前のような息子は愛せない。」
いつだろう。実の親にそう吐き捨てられたのは。

「顔を見せるな。死体め。」「何あれ!?ゾンビみたい!怖い!」「もうおれ達に関わんな。」
いつだろう。肌を晒して歩くとゴミを投げつけられるようになったのは。

そんな酷く醜い俺が十二歳になった時、親は自分を監禁し始めた。
子どもの落書きのような俺を誰の目にも触れさせないために、二階の一室に閉じ込めたのだ。必要最低限の食事を渡し、すぐさま扉の向こうに消える者たちを家族と自分は呼べなかった。

時折、夜になると外に出ることがあった。
まだ、子どもとして年相応の冒険をしてみたったし、
夜なら誰とも会わず、醜悪な自分に気づく人が居ないと思ったからだ。

忘れもしないあの夜。自分は運命の出会いを果たした。

その日、いつも通り、人通りのない裏道を歩き、ぼんやりと星空を眺め、寝静まった街を見ていた。そんな時だった。

__美しい彼女と会ったのは。

自分と同じくらいの年齢だろう。さらさらと揺れる細い山吹色の髪に、運動なんかしたことがないような華奢な身体つき、眩い白い肌。大きな瞳。
全てが一瞬で眼球に焼き付いた。バクバクと心拍数が上がる。喉がカラカラに乾き、全身が熱くなる。

__これが俗に言う『一目惚れ』か。雷に打たれたように見ていると、彼女はこちらに気づいたようで、振り返った。

目があった。

反射的に顔を覆う。そして、姿勢を低くし、頭を抱える。これは、物が飛んできた時、一番大切な脳を守るためだ。その脳では、終わったという文字が回転していた。こんな美しい人に見られた。初めて人を好きだと思えたのに。

が、いつまで経っても、叫び声が聞こえてくることも、罵倒されることも、ましてや物が飛んでくることはなかった。

恐る恐る顔を上げると、優雅に微笑む君が居た。
その時の顔が、とても優しげだったのは自分の願いでそう見えただけだろうか。

「また、三日後おいで。」

この時だろう。世界が色づいて見えるようになったのは。
この時だろう。彼女の隣に居るのは自分であってほしい心の底から願ったのは。

三日後、ドキドキとその場所に向かった。言われた直後から、今すぐ三日後にならないかと今か今かと待っていたのだ。期待を胸に訪れると同じ場所に彼女は立っていた。今日も美しい。

「君、名前は?」
「…………」困ってしまった。自分には名前がない。彼女と沢山話したいのに上手く返答することができない。
「ん?もしかして、名前がないの?」
コクリと頷くと、彼女は眉間にシワを寄せ、思考顔を作る。
「うーん、なんて呼べばいいかね…。なんかあだ名的なのないの?」
それなら、よく『化け物』と言われていると伝えると更に彼女は困ったような顔をした。
「__よし!決めた!今日から君は饕餮だ!ボクが考えてあげたんだから、これから使ってね?」
どうやら饕餮が名前らしい。とうてつ、とうてつ、と心の中で繰り返す。彼女に名前をつけてもらったという事実に、脳天から足の先端まで幸せが満ちていた。
「ボクは棣棠だよ。よろしくね。」
彼女__棣棠は笑みを見せた。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

過去編です!!
他キャラが出てこないので、つまらないかもしれませんが、ご了承ください…
コメント&いいね&コメントよろしくお願いします!

2024/06/29 21:42

ルイ50世 ID:≫.pNRnxeFwo9wA
続きを執筆
小説を編集
/ 63

コメント
[284]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL