「＿＿＿＿あああああああああ！痛いってぇぇぇぇ！！！」

ここは最凶と呼ばれる殺し屋組織『トワイライト』の本部。内装はまさに豪華絢爛。中世ヨーロッパのお貴族様が暮らしていそうな風格と気品がある。
そんな場所に一人の叫び声が響いていた。

「怪我人の扱いが雑過ぎだろぉ！？もうちょっと優しく頼む！マジで！！！」
叫ぶのはレイ。これでも狙撃ボスを担っているのである。
「というかレイさん。最前線で戦った俺より痛がってるじゃないですか。傷も俺より軽いですよね？」
隣のベッドに腰掛け、呆れるのはフィルア。近距離ボスを勤めている赤髪の少年だ。
「うるせぇー！こっちは近距離がそんな得意じゃないのに幹部十六人と戦ってるんだよ！それに痛いものは痛いんだよっ！」
彼らは、先日、『幽園地』を潰すために働き、負傷したのである。現在今この場所は、この本部のC階に位置する『トワイライト』専用の病室だった。
レイが再度叫んだ時、病室の扉が開いた。

「全く、とてつもなくうるさいなァ！常識を学んだほうがよろしゅうよぉ。」

入ってきたのは、青髪を長く伸ばした美少女。彼女はマリア。暗殺ボスであった。
「いや、お前が言えることでは無いだろっ！？」
鋭くレイがツッコむがマリアは手で耳を塞ぎ、聞こえまへ〜んと煽ってみせる。
このままレイとマリアの取っ組み合いが始まりそうだったが、フィルアが事前に言葉で遮った。
「何か用があるんですか？また、会議が？」
考えてみると真っ当な疑問である。普段この階には怪我や病気など負傷している『トワイライト』に所属している位の高い者しか入れない。見たところマリアはウザったらしい程に元気なようなのでどうやら自分達に用があるのだろう。
「そのまさかのまさかやぁ。この短期間でまた集合がかかるんだなんて本当にヤバいと思うわぁ〜」
その返事にレイは眉を寄せていると、フィルアがやや悩ましそうに頬を掻く。
「見ての通り、俺達二人は負傷しているので普段のような激しい戦闘はできませんよ？」
「大丈夫や、大丈夫〜★　今回は戦闘じゃないッて言ってたで！」
流石『トワイライト』。戦闘じゃないものでも引き受けるのか。感心しているとマリアはやれやれと肩をすくめる。
「とはいえ、ぽ前達には仕事をさすぅ！三日後会議があるから集合してな！」
どこまでも騒がしく事を伝え、勢いよく扉をしめ、部屋を出ていった。

「アイツこそ常識を知ったらどうなんだよ……」
そうレイは不満を漏らすとフィルアは少しだけ嬉しそうに口角をあげてきた。
「一応マリアさんの性格上、どうでもいい人には一切相手をしないので、レイさんにかまっているってことは、彼女なりの愛情表現なんですよ。破天荒な行動は許してやってください。」
子どもの喧嘩を嗜める大人のようである。そうかもしれないなと考え直していると、ドアが勢いよく開いた。

「インターネット最高ｯｯｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫ★」

マリア＿＿またの名を珍獣が突然病室に駆け込み、侵入してきた。

「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！！！！！」
レイが思わず吠える。

＿＿『トワイライト』は今日も騒がしい。