‐RAY‐ 『参加型 ‐ボス枠終了‐』
「____遊戯三昧ィ!!! 危機ッ一髪ゥゥ!!!!」
ダムをよく見渡せると言われる灯台に一人の道化師が叫んでいた。
灯台の作りはかなり丈夫なようで、ダムから溢れ出した水に負けず、きちんと建っている。道化師は、ダムが決壊し、木々をへし折りながら暴走する水を見て、下品な笑みを浮かべた。
「アァ、可哀想な『トワイライト』さん。まんまと罠に嵌められてェ。」
笑いながら、哀しみながら、嘆きながら言葉を続ける。
「そう思いませんか__? ボスゥ?」
道化師__ジェスターは隣に立つ男に訊ねる。
「__そうだな。」
隣に立つ男__カイマは、返事をする。
「これでは、流石の『トワイライト』も無理だろう。狙撃手の方には先ほどのに追加で幹部を十六人行かせた。足止めぐらいにはなる。」
カイマは、ゆっくりと息を吐いた。
「全部、お前の計算通りか」
ジェスターはニヤリと口を歪ませる。
「そうですねェ。それじゃァ__。」
ジェスターが何か言いかけた時だった。
__何者かが階段を登り、灯台に上がってきた。
「__っ!?」 驚くのも無理はない。この灯台は現在、四方八方激流に囲まれている。
「__お前が、『幽園地』のボスか?」
相手が話しかけてきた。背格好から、まだ成人していない少年だと予想を立てる。娘と同じくらいだろう。しかし、佇まいが一般人とはまるで違う。キャスケット帽のような帽子から長い赤髪が覗いていた。
その赤髪にカルマは見覚えがあった。
「お前、『殺戮人形』の一種か?」 カルマは逆質問をする。
相手は頭をピクリと動かした。深く被っている帽子のせいで顔が伺えない。そのままカイマは続けた。
「あの狂った『博士』に作られたんだろ」
『殺戮人形』。それは、とある科学者が人体実験のはてに作り出した人形達を指す言葉である。人形とは言うものの、綿が入っているわけではない。惨い話だ。科学者が捕まえた子供達にあらゆる実験をし、人間の枠を超えた身体能力、どんな命令でも聞く従順な人形を作り出した。人形は、薬の影響で全員が赤髪になっている。一度見かけたことがあったが、彼の髪色に酷似していた。
[太字]「その話をするな。」[/太字]
強く拒絶される。暗闇の中、彼の真紅の瞳だけが輝いた。
初めりの合図もなく、それでも戦いが始まった。
この二人。どちらもこの社会ではトップクラスの戦闘力を持っている者だった。力と力がぶつかり合う。フィルアが細剣であるのに対して、カイマはグレートソードなどと呼ばれる大剣だった。そして、体格差。十代前半らしい細身の体躯と二十代男性である。力の差はあるはずだった。
しかし、ほぼ両者互角に戦っていた。
(流石、『博士』に作られただけあるなっ!)剣を振りながらカイマは思う。
「__だが、まだまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
愛する娘がいる。力を尽くせる理由がある。
カイマが全力を尽くした横切りにフィルアは腹から当たった。
(クリーンヒットっ!!)
「っくはぁ……」
彼はそのまま真横に吹っ飛んでいき、壁に打ち付けられた。
(………トドメか。悪く思うなよ。)
彼の前に立ち、剣を振りかぶる。が、フィルアは声を絞り出し、笑いかけてきた。
「残念……。お前の負けですよ……。」
(__はぁぁ?) どう考えても彼は今負けている。意識があるのもやっとで、今にも気絶しそうである。
__カイマは知らない。『トワイライト』の作戦を。追加で行かせた幹部十六人が死んでいることも。狙撃手が居ることも。騙されていることも。
「__チェックメイト」
灯台からはるか遠く、二キロメートル先からの銃弾が、カイマを撃ち抜いた。
血が止まらない。溢れ出す赤い液体に恐怖を覚える。
(これが、『トワイライト』か。) 最期、カイマは夢を見た。
努力が報われ、薬が手に入り、愛しい娘が微笑むところを。
[なんとか上手くいったな]無線機越し、レイはフィルアに問う。
「結構ギリギリでしたけどね。」フィルアは少しだけ笑って答えた。
後日、決壊したダムはテレビで報じられるものの、情報ボス、ルーザーの仕事により、事故だったとされ別のニュースにすぐに切り替わった。トドメを刺さなかった部下や幹部は拷問ボス、モニカに引き渡され情報を吐くだろう。これで、『幽園地』が消し去られたことは闇に葬られる。
「アァァァァッ!!可哀想な可哀想なカイマさん!!!騙された挙げ句、殺されたッ! __なんてカナシイ悲劇なノッ!?!?」
一人の道化師が夜道を叫びながら歩いていた。
哀しいと言っているはずなのに、何処か歓喜で震えながらスキップをする。
[太字]カイマに病気の娘などいない。[/太字] 妻が五ヶ月前死別したが、娘など存在しない。何故カイマは戦っていたのか。娘がいると勘違いしたのか。
「騙されたァァ!踊らされたァァァ!!カワイそーな、カワイそーな『幽霊園地』!!哀しいねェェェェ!!!」
道化師は耳障りな鈴を奏で、くるくると踊る。ふと、無線機を取り出しとある場所に掛けた。
「リーダァー。これからどうしますゥ?壊しますゥ?我々も頑張らないとですねェ♪」
最後、道化師は美しい月を仰いだ。
「__『トワイライト』を潰すのはこのワタシ達ですからね」
ダムをよく見渡せると言われる灯台に一人の道化師が叫んでいた。
灯台の作りはかなり丈夫なようで、ダムから溢れ出した水に負けず、きちんと建っている。道化師は、ダムが決壊し、木々をへし折りながら暴走する水を見て、下品な笑みを浮かべた。
「アァ、可哀想な『トワイライト』さん。まんまと罠に嵌められてェ。」
笑いながら、哀しみながら、嘆きながら言葉を続ける。
「そう思いませんか__? ボスゥ?」
道化師__ジェスターは隣に立つ男に訊ねる。
「__そうだな。」
隣に立つ男__カイマは、返事をする。
「これでは、流石の『トワイライト』も無理だろう。狙撃手の方には先ほどのに追加で幹部を十六人行かせた。足止めぐらいにはなる。」
カイマは、ゆっくりと息を吐いた。
「全部、お前の計算通りか」
ジェスターはニヤリと口を歪ませる。
「そうですねェ。それじゃァ__。」
ジェスターが何か言いかけた時だった。
__何者かが階段を登り、灯台に上がってきた。
「__っ!?」 驚くのも無理はない。この灯台は現在、四方八方激流に囲まれている。
「__お前が、『幽園地』のボスか?」
相手が話しかけてきた。背格好から、まだ成人していない少年だと予想を立てる。娘と同じくらいだろう。しかし、佇まいが一般人とはまるで違う。キャスケット帽のような帽子から長い赤髪が覗いていた。
その赤髪にカルマは見覚えがあった。
「お前、『殺戮人形』の一種か?」 カルマは逆質問をする。
相手は頭をピクリと動かした。深く被っている帽子のせいで顔が伺えない。そのままカイマは続けた。
「あの狂った『博士』に作られたんだろ」
『殺戮人形』。それは、とある科学者が人体実験のはてに作り出した人形達を指す言葉である。人形とは言うものの、綿が入っているわけではない。惨い話だ。科学者が捕まえた子供達にあらゆる実験をし、人間の枠を超えた身体能力、どんな命令でも聞く従順な人形を作り出した。人形は、薬の影響で全員が赤髪になっている。一度見かけたことがあったが、彼の髪色に酷似していた。
[太字]「その話をするな。」[/太字]
強く拒絶される。暗闇の中、彼の真紅の瞳だけが輝いた。
初めりの合図もなく、それでも戦いが始まった。
この二人。どちらもこの社会ではトップクラスの戦闘力を持っている者だった。力と力がぶつかり合う。フィルアが細剣であるのに対して、カイマはグレートソードなどと呼ばれる大剣だった。そして、体格差。十代前半らしい細身の体躯と二十代男性である。力の差はあるはずだった。
しかし、ほぼ両者互角に戦っていた。
(流石、『博士』に作られただけあるなっ!)剣を振りながらカイマは思う。
「__だが、まだまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
愛する娘がいる。力を尽くせる理由がある。
カイマが全力を尽くした横切りにフィルアは腹から当たった。
(クリーンヒットっ!!)
「っくはぁ……」
彼はそのまま真横に吹っ飛んでいき、壁に打ち付けられた。
(………トドメか。悪く思うなよ。)
彼の前に立ち、剣を振りかぶる。が、フィルアは声を絞り出し、笑いかけてきた。
「残念……。お前の負けですよ……。」
(__はぁぁ?) どう考えても彼は今負けている。意識があるのもやっとで、今にも気絶しそうである。
__カイマは知らない。『トワイライト』の作戦を。追加で行かせた幹部十六人が死んでいることも。狙撃手が居ることも。騙されていることも。
「__チェックメイト」
灯台からはるか遠く、二キロメートル先からの銃弾が、カイマを撃ち抜いた。
血が止まらない。溢れ出す赤い液体に恐怖を覚える。
(これが、『トワイライト』か。) 最期、カイマは夢を見た。
努力が報われ、薬が手に入り、愛しい娘が微笑むところを。
[なんとか上手くいったな]無線機越し、レイはフィルアに問う。
「結構ギリギリでしたけどね。」フィルアは少しだけ笑って答えた。
後日、決壊したダムはテレビで報じられるものの、情報ボス、ルーザーの仕事により、事故だったとされ別のニュースにすぐに切り替わった。トドメを刺さなかった部下や幹部は拷問ボス、モニカに引き渡され情報を吐くだろう。これで、『幽園地』が消し去られたことは闇に葬られる。
「アァァァァッ!!可哀想な可哀想なカイマさん!!!騙された挙げ句、殺されたッ! __なんてカナシイ悲劇なノッ!?!?」
一人の道化師が夜道を叫びながら歩いていた。
哀しいと言っているはずなのに、何処か歓喜で震えながらスキップをする。
[太字]カイマに病気の娘などいない。[/太字] 妻が五ヶ月前死別したが、娘など存在しない。何故カイマは戦っていたのか。娘がいると勘違いしたのか。
「騙されたァァ!踊らされたァァァ!!カワイそーな、カワイそーな『幽霊園地』!!哀しいねェェェェ!!!」
道化師は耳障りな鈴を奏で、くるくると踊る。ふと、無線機を取り出しとある場所に掛けた。
「リーダァー。これからどうしますゥ?壊しますゥ?我々も頑張らないとですねェ♪」
最後、道化師は美しい月を仰いだ。
「__『トワイライト』を潰すのはこのワタシ達ですからね」
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