＿＿＿そこには、七人の男女がいた。

先程の廊下と同じく白と黒の部屋である。
部屋の中央に、大きなテーブルが置かれていた。一般人が使うようなものではなく、流しテーブルとか、リフェクトリーテーブルとかそんな名前がついているものである。主に結婚式場や中世ヨーロッパの貴族が使っているようなもので、それすらも白黒なので関心してしまう。両側に三脚ずつ計八脚の椅子があり、七人が座り、一つ空いていた。
＿＿店員の話通りだと、彼らがレイ以外のボスらしい。

ん、と少し驚く。あの『トワイライト』のボスと言うんだから、屈強なムキムキ男性や、怪しい仙人のような老人をレイは予想していたが、実際に居たのは自分とたいして変わらない年齢の、もしくは自分より幾分幼い者達だったからだ。見たところ、上が大学生、下が中学生頃である。

一斉にレイへ視線が集まり、気まずさを覚えたが、なんとか空いている席に着く。

ボスのうち一人が口を開く。
「＿＿＿あなたが新狙撃ボスの『撃竜』ですね？」
どこか機械めいた口調である。レイは若干緊張しながらも答えた。
「＿＿あぁ、そうだ。」
先ほど質問したボスは、頷き、自己紹介を＿＿と促す。
「俺の名前は『撃竜』＿＿レイだ。得意なことは、強いて言うなら狙撃。基本的に大体できる。これからよろしくな。」
そう言い、頭を下げると何人かが拍手をしてくれ、
なんとなく、学校の自己紹介みたいだなぁと、レイは思った。

＿＿＿それから、依頼の金額、内容の確認を済ませたところで、解散になり、各自思い思いに移動していった。

レイも帰ろうと席から立った時、先ほどの会で場を仕切っていた茶髪の軍服をきたボスに声をかけられた。
「＿＿これから、ここに暮らすことになりますので、他のボスに挨拶に行ったり、この階について回って、知ったほうが良いですよ。」
レイは、突然言われた情報に思わず勢いよく立ち上がってしまう。
「えっ！？ここに暮らすのかっ！？」
「はい。各ボスはここに住んで、または泊まって良いルールになっています。」
貧乏性のレイに、豪華なこの場所に住めるという事実は嬉しすぎることであった。教えてくれた彼女に礼を言うと、
「新しく来たボスにこのことを伝えるのもルールなので。」と返された。
暮らせるという事実にひたり、頬を緩めていると、ふと気づいたことがあった。

「そういえば、名前聞いてなかったな。お前、名前は？」

＿＿どこまでも、彼女は機械のように、淡々と言った。

「私の名前はムギ・アシュケナージ、工作のボスをやらせてもらってます。
　＿＿これから、よろしくお願いします。」