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拾えない言葉

#1

親友の距離

拾えない言葉

あの日の祐希の表情が忘れられない。私に向けられたあの目――そこには、微かな曇りの色が見えた。

祐希とは小学校からの仲だ。気づいたらいつも隣にいて、性別なんて、全然関係ない。私たちは自然体でいられる親友だった――そう思っていた。

でも、中学に入ってからだ。祐希がときどき知らない顔をするようになったのは。この前私が話しかけたとき、一瞬だけ遠くを見るような顔をした。そんな祐希を見ていると、息苦しくなる。

その理由が、自分の行き過ぎた言動のせいだと思うと、なおさら。ほんの冗談のはずだった。その場では笑ってくれていた祐希。でもーー私は、壊してしまったのかもしれない。

小学校の時はお互い素で分かり合えた。2人でいると本当に楽しかった。でも、最近は祐希と会う度に祐希の表情が遠くなっていて私の知っている彼が居なくなってしまいそうで怖かった。

その理由は私と祐希がある日、2人で私の家で宿題をしていた時だ。何となく私はネタのつもりで言った。「祐希って運動音痴だよね〜。ホント、モテなさそう笑」二人の仲だから本当に軽い気持ちで話題として言っただけだった。言った瞬間祐希の表情が曇った。たった一瞬の事だった。けど、それは二人の仲を壊すのに十分なものだった。祐希はすぐに笑ってくれたけどそれはつくりものだと感じた。

私のせいで、祐希との何かが壊れた。その予感が拭えない。ほんの冗談だったのに、たぶん私は言ってはいけないラインを越えた。祐希なら笑って許してくれると思ってた。でも――もし、あの時の彼の笑顔が作り物だったとしたら?

その日の夜は胸が締め付けられた。どんな悩み事も祐希なら相談出来た。だけど、祐希とこんな雰囲気になったのは初めてだ。だからこそーーー怖かった。


次の日、私は祐希にすぐ謝りに行った。祐希は「いいよいいよ、そんなん気にすんな」と言ってくれたけどそれは口先だけだと思った。長年の付き合いだから分かるがあれは仮面の顔だ。

結局、時間が経ち私と祐希は高校の進路も違い離れてしまった。あの日を境に私達の仲は壊れた。

あの言葉さえ言わなければ、祐希と今も仲良く冗談を言い合えただろうに。何度そう思ったことか。

祐希との事を境に私は人との関わりの中で言葉の使い方を意識するようにした。吐き出した言葉は拾えない。言葉は便利だが人を傷つけるのも簡単だ。だからこそ、これからの長い人生、私は自分の発言に気をつけようと思った。

作者メッセージ

こんにちは!作者のなのはと言います。今回は初めて作品を投稿させて頂きました。私の過去も物語に入れながら書きました。小説を書くのは初心者なので暖かい目で見てもらえると幸いです!最後に、数多くある作品の長いからこの作品を読んでくださりありがとうございます!

2025/04/13 11:16

なのは ID:≫ 3.NRTSv.9DyVs
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