白人狼村
「自己紹介、しない?」
やっと口をひらいたと思うと自己紹介というこの緊迫した場に合わない言葉が出てきた。
あんた、ばか?…とでも言いたいがそんなこといえる勇気はない、というか脳が言葉に追いついてきていなかった。
すると続けて
「そうだね、名前も知らない奴に人狼がいて殺されるなんて、まっぴらごめんだ」
とこの中では最年長であろう、ウルフカットの女は言った。
この2人の発言で少し心に余裕が出来たのか、みな口を開き始めた。
「じゃぁ、言い出しっぺの俺から」
ワイシャツのような服に、オーバーオールを着ている青年が
そういうとそれまでの会話は、一瞬にして止まった。
「エンシだ、大広間から見て左側の花屋の隣で質屋をやっていた。
家族はすでに“奴”により殺されている」
「では、次は私が、」
先ほどの青年のようなシャツに今度はオーバーオールに、似たスカート姿の少女が
手を挙げる。
「私はスコモ。エンシ、さん?の言っていたその、焼け焦げた家の花屋で働いていました。
エンシさん同様、家族は殺されてます。」
「…」
「次、キミじゃない?」
ウルフカットの女が指を指したのは、片目が隠れており、十字架のロケットをつけた少年だ。
「…シレイ。そこらへんの教会で霊媒師的なことをしてた」
「はいはーい!次行きまーす!」
この空気には合わないテンションをして元気良く手を挙げたのは、黒のローブに長い一本結びの
少女のようだ。
「ラウナでーす!占いが好きでーす!」
…………
「元気が有り余っているようだね」
少しの静寂のあと、自己紹介をする気なのかそう言いながら一歩前へ出たのは
ワイシャツにベストを身につけていて一本結びをちっちゃく結んでいる少女だ。
「ヨキで~す。周りが焦土になりすぎてどこが家か忘れたけどニートしてましたー」
多分、あのへ~ん、などと、言いながら指を指しニコニコしている少女を横目に話し出す者が一人。
「はい、ロウで~す。あの…あっ、あそこ!あそこで掃除屋してました」
さっき自己紹介に賛成したウルフカットの女はやはり、最年長にしか見えない。
そして、最後のひとりが話す。
「ルテです。まだ10才です。」
なんと、この惨状のなか、十才の子供も生きていたのだ。
だが、みなが驚いたのはこのほかにも理由がある。
それは、大広間に来るまでみな2~3の軍団で来ていた。なのに、この少年はひとりで来たのだ。
「ちっちぇのにようやるね!」
ウルフカットの少女がルテの頭をフードの上からわしゃわしゃと撫でていると、先ほどの青年が言った。
「皆、これは外の世界で言う“人狼ゲーム”と言うものだ。だから、毎晩、話し合わないか?」
「それは、誰が人狼か、っていうことか?」
「あ、ヨキか、そう。この中に絶対狼が、いると思うんだ。」
…………
みな、うつむいて考えている。すると、先ほどの青年は申し訳無さそうに
「…やっぱこの話は止めに…」
そう、言い掛けたとき、
「エンシ、俺は良い話だと思うぜ」
「ロウさん!」
ロウは皆へ言う。
「だってそうだろ?もしかしたらもう居ないかもしれないが、いるかもしれない」
「それを放置したら、また同じようなことが起きる。」
「なっ!」
それを聞くと、みな顔を上げ頷いた。
「よし!そんなら決まりだ!じゃぁ、夕方6時にここ、集合な!」
「分かった!」
そうして、自由に行動を始めた。
あの青年も動こうと思ったとき肩がぐっっと重くなった。
「うわぁ!」
横にいた人の顔をのぞくとそいつは
「ロウさん!?」
「エンシ!良い考えだったぞ!」
ニッと笑いながら親指をたてていた女を見て、青年は
「ありがとう!!!」
と、つい敬語がはずれるほどうれしかったようだ。
それをみて女は
「良くやった!!!!!!」
と先ほどのルテへ対してやったように頭をわしゃわしゃと撫で回したのだ。
それを見ていた十字架のロケットをつけた少年はボソッとつぶやいた。
「こんな日が続けばいいのに」
明日こそ良い日になれ。
やっと口をひらいたと思うと自己紹介というこの緊迫した場に合わない言葉が出てきた。
あんた、ばか?…とでも言いたいがそんなこといえる勇気はない、というか脳が言葉に追いついてきていなかった。
すると続けて
「そうだね、名前も知らない奴に人狼がいて殺されるなんて、まっぴらごめんだ」
とこの中では最年長であろう、ウルフカットの女は言った。
この2人の発言で少し心に余裕が出来たのか、みな口を開き始めた。
「じゃぁ、言い出しっぺの俺から」
ワイシャツのような服に、オーバーオールを着ている青年が
そういうとそれまでの会話は、一瞬にして止まった。
「エンシだ、大広間から見て左側の花屋の隣で質屋をやっていた。
家族はすでに“奴”により殺されている」
「では、次は私が、」
先ほどの青年のようなシャツに今度はオーバーオールに、似たスカート姿の少女が
手を挙げる。
「私はスコモ。エンシ、さん?の言っていたその、焼け焦げた家の花屋で働いていました。
エンシさん同様、家族は殺されてます。」
「…」
「次、キミじゃない?」
ウルフカットの女が指を指したのは、片目が隠れており、十字架のロケットをつけた少年だ。
「…シレイ。そこらへんの教会で霊媒師的なことをしてた」
「はいはーい!次行きまーす!」
この空気には合わないテンションをして元気良く手を挙げたのは、黒のローブに長い一本結びの
少女のようだ。
「ラウナでーす!占いが好きでーす!」
…………
「元気が有り余っているようだね」
少しの静寂のあと、自己紹介をする気なのかそう言いながら一歩前へ出たのは
ワイシャツにベストを身につけていて一本結びをちっちゃく結んでいる少女だ。
「ヨキで~す。周りが焦土になりすぎてどこが家か忘れたけどニートしてましたー」
多分、あのへ~ん、などと、言いながら指を指しニコニコしている少女を横目に話し出す者が一人。
「はい、ロウで~す。あの…あっ、あそこ!あそこで掃除屋してました」
さっき自己紹介に賛成したウルフカットの女はやはり、最年長にしか見えない。
そして、最後のひとりが話す。
「ルテです。まだ10才です。」
なんと、この惨状のなか、十才の子供も生きていたのだ。
だが、みなが驚いたのはこのほかにも理由がある。
それは、大広間に来るまでみな2~3の軍団で来ていた。なのに、この少年はひとりで来たのだ。
「ちっちぇのにようやるね!」
ウルフカットの少女がルテの頭をフードの上からわしゃわしゃと撫でていると、先ほどの青年が言った。
「皆、これは外の世界で言う“人狼ゲーム”と言うものだ。だから、毎晩、話し合わないか?」
「それは、誰が人狼か、っていうことか?」
「あ、ヨキか、そう。この中に絶対狼が、いると思うんだ。」
…………
みな、うつむいて考えている。すると、先ほどの青年は申し訳無さそうに
「…やっぱこの話は止めに…」
そう、言い掛けたとき、
「エンシ、俺は良い話だと思うぜ」
「ロウさん!」
ロウは皆へ言う。
「だってそうだろ?もしかしたらもう居ないかもしれないが、いるかもしれない」
「それを放置したら、また同じようなことが起きる。」
「なっ!」
それを聞くと、みな顔を上げ頷いた。
「よし!そんなら決まりだ!じゃぁ、夕方6時にここ、集合な!」
「分かった!」
そうして、自由に行動を始めた。
あの青年も動こうと思ったとき肩がぐっっと重くなった。
「うわぁ!」
横にいた人の顔をのぞくとそいつは
「ロウさん!?」
「エンシ!良い考えだったぞ!」
ニッと笑いながら親指をたてていた女を見て、青年は
「ありがとう!!!」
と、つい敬語がはずれるほどうれしかったようだ。
それをみて女は
「良くやった!!!!!!」
と先ほどのルテへ対してやったように頭をわしゃわしゃと撫で回したのだ。
それを見ていた十字架のロケットをつけた少年はボソッとつぶやいた。
「こんな日が続けばいいのに」
明日こそ良い日になれ。