元贋作師の俺が二度目の人生で最強になる話。
#1
俺の始まり
俺の名前は、冬樹 怜。23歳の贋作師である。
贋作師とは、名画の贋作をつくり、それを売ることを生業とする詐欺師の一種である。
俺は、世界からそれなりに注目を集めていた贋作師である。もちろん悪い意味で。
怜「あぁ疲れたぁ。」
目の前にあるのは新しく描き上げた贋作。
怜「コンビニでも行ってくるか。」
もちろん金に関してはあまり困ることはない。
金遣いが荒いわけでも物欲が強いわけでもない俺はなんとなく貯金に回していた。
言ってしまえば贋作師になったのだって理由があるわけでもない。
なんとなく自分には絵とコピーの技術があまりにも高かったからだ。
別に今に生きがいを感じているわけでもなく、ただ生きる理由が欲しかっただけだ。
怜「はぁ...。」
すると突然、強い衝撃を受け視界が揺らいだ。
えっ。今、歩行者信号が青だったから横断歩道を歩いていた。
視界が歪んでいる。目線の先には走り去る車があった。
あぁこれがひき逃げってやつか。
痛ぇ。頭を手で触ったら何か血出てるじゃん。
意識が遠のいていく。あぁ多分死ぬなこれ。
遠くから聞こえるたくさんの声。
あぁ俺が世界的に知名度のある贋作師なんて誰も思わないんだろうなぁ。
気づくとそこは白い空間だった。
????「世界的に名を馳せていた贋作師。冬樹 怜。またの名を〝もう一人の作者〟。」
怜「お前、誰だ?」
周りを見渡すが、人影どころか物一つない。
????「私は、世界の声。所謂、神様ってとこだ。」
怜「で、ここはどこなんだ?」
世界の声「ここは天界の玄関口ってところだな。ところで、お前に質問だ。」
怜「あ゙?何だよ。」
世界の声「お前は、まだ生きたいか?」
怜「いや、このまま死にたいね。」
迷わずにすぐ答える。生きる理由は、ない。
世界の声「私は地獄に落としてもいいと思うんだが、上層部が君を気に入っていてね。」
怜「はぁ...だからどうしろと?」
世界の声「君には少しだけ難易度高めの世界線に行ってもらう。」
怜「...それってどういうことだよ?もっと具体的に話せ。」
世界の声「まぁ魔法界ってやつだ。そこでお前が死んでも上層部は文句言えないからな。」
はぁ、もう一回人生やり直せってことかよ。まぁ逆らったところで変わらないしなぁ。
怜「分かったよ。さっさとしろ。」
世界の声「では、せいぜい頑張れよ。」
これが俺の二度目の人生の始まりだった。
俺の二つ目の名前は、レイ=フロスト。
そして今、15年の時が経ち俺は「国立魔術学院」に入学する。
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