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転生したぞ!…即死とは聞いていないのだが⁉

#1


「うわぁぁぁああああっ!!」

トラックの轍が地面を揺らし、タイヤの音が耳元で鳴り響く。気づいたときには、もう遅かった。前方に目の前のトラックが迫ってきているのを見た瞬間、視界が一瞬歪み、次の瞬間には意識が途絶えた。

「あぁ、死んだな、これ。」

その瞬間、頭の中で冷静にそう思った。

痛みもなく、何も感じず、気づいた時には周りの景色が変わっていた。気づけば、俺はあの世にいるのか?と思いきや、目の前には見たこともないような、色とりどりの植物が生い茂る異世界にいた。

「なんだここ…?」

見上げると、青い空が広がっている。俺が死んで転生した場所は、まさに異世界と言った感じだった。

そして、恐怖とともに振り向いた瞬間――

「…スライム?」

なんか、体が不安定だ。なんだこれ。どうやら、俺は転生したらしいが、何故かスライムになっていたらしい。

触感としてはぷにぷにしていて、少し不安定だが、それでもとりあえず自分の体を感じ取れるだけ、ありがたいのかもしれない。

「これ、もしかしてあの転生モノでよくある、あのスライムになったやつか?」

心の中で考えながら、ちょっとワクワクし始める。

確か、スライムって強くなれるんだよな?レベルアップして強くなって、あの「某異世界の万能スライムさん」みたいに最強になれるんじゃないか?でも、まずは何か食べ物を探さないと。

「よし、まずはあの辺の村に行ってみよう!」

と、思った瞬間。

「うわっ、スライムだ!」

振り向くと、目の前に小さな子供が立っていた。見た目は、たぶんこの村の子供だろう。大きな目を開いて、俺を見つめている。

「…え?」

その瞬間、その子供がガサガサと地面を引っ掻きながら、俺の前に素早く手を伸ばした。そして、次の瞬間。

「ぐしゃっ!」

俺の柔らかい体に、棒のようなものが叩きつけられた。

「な、なにしてんだよ!」

俺は思わず叫びたい衝動に駆られるが、声も出ない。頭を叩かれた痛みというか、まさに「ぷにっ」とした感触が広がるだけで、反応できる余裕がなかった。

「スライムなんか、簡単にやっつけられるんだよね!」

子供は楽しそうに言って、さらに力強く俺を地面に叩きつけた。

「待って!ちょっと待って!!」

その時にはもう遅かった。俺の体はみるみるうちに崩れていき、何もできないまま、ただその場で溶けて消えていった。

数秒後、俺は完全に無に帰していた。

数秒後…

目の前に広がるのは、無限に広がる白い雲。柔らかな光に包まれた空間。

「あ…れ?」

これが、いわゆる天国ってやつだろうか。とりあえず、目の前に広がる空間は現実世界とはまるで違って、静かな雰囲気が漂っている。

「なんで、スライムになって3秒で死んで天国に来るわけ?」

僕は天を仰いで呆然とした。

「あれ?もしかして、スライム転生ってこういうことだったのか?」

次に目を開けた時、俺はどうやら生き返らないことを悟った。そして、異世界転生のスライムになった瞬間、もう俺の転生は無駄だったと感じていた。

「これ、どういうことだよ…」

作者メッセージ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!異世界転生ものの「スライム転生」を少しひねって、即死というギャップを楽しんでいただけたなら嬉しいです。主人公があっさりと消えてしまう展開に「え?」と思ったかもしれませんが、そんな不条理さも転生モノの面白さのひとつだと思っています。これにて物語は完結ですが、たまにはこんな予測不能なストーリーもアリかなと(笑)。お付き合いいただき、ありがとうございました!

月影

2025/04/09 21:07

月影 ID:≫ 5iUgeXQ3Vbsck
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