ドロモノ

何を破壊と言うのか、壊しても壊しきれない。
あまりの醜さに目も向けられない。
気づいた時には泥沼に嵌って、抜けなくなっていたんだ。
愚か者と罵られて、居場所を失って。
いつの日かの甘い思い出に浸かることさえも叶わなくなった。
失った自我を取り戻そうと必死こいて走り出したんだ。
まとわりついてくる陰に混ざる異物。
いったい、なぜ？
それほどまでに顔を顰めているの、何に怯えているの。
己の醜さに恐れ慄いて。
もがけばもがくほどに醜く穢れてゆく。
いっそのこと自分自身を壊してしまおうかと思って。
何度も突き刺した血だらけのナイフを泥の中で洗っている自分がいた。
これほどもでに痛むのに涙の一つも流れ出さない。
何を破壊と言うのか、あまりにも醜いその姿に恐怖する。
醜く、醜く！なってゆく。