ワレモノ

いっそのこと何もかも壊してしまおうか。
脆いガラス細工のように、
粉々になった世界は幾重にも重なった透明な線で彩られている。
上から零した一滴の涙は何色ですか。
透明なガラスはまだ純真潔白で。
少しでも間違えた力加減でひびが入ってしまうほどに繊細で。
こんなにもすぐに壊れてしまうのに直し方はわからずに。
ひび割れた世界の上を命綱さえもつけずに歩いてゆく。
一体何を目印にしているのだろう？
降りそそぐガラスの破片の色はあまりも透明で嫌になるよ。
あまりにも多くの色に染まった私の涙はもうくすんでいて。
こんな芋世界は綺麗な色をしていたのでしょうか。
粉々に崩れてしまうガラス細工を両手でそっと包むように、
この世界も優しく包み込もう。
壊してしまうには美しいから。
何色にも染めないままにして。