偽笑女

目の前に光は輝いているのに
どうして、どうして
この手で掴めないの？
すぐそばに希望はあった。目の間で火花を散らしてた。
あと一歩、あと一歩、届かない
このもどかしさにどうしようもなくなっていたんだ。
壊れてしまいそうな自分自身を守るために必死になって笑みを浮かべた。
そうしていればきっといつか本物の笑顔になる、そう信じて。


偽りの笑顔は心まで黒く染めた。
もう光を見つめるのはやめた。
真っ暗な感情に、重く澱んだ空気に満たされてゆく。
張り裂けそうな胸に全て押し込んで笑みに代える。
後ろを向いて、前を見ずに生きて、叫んで、壊れてく。
これ以上はもう失うものはない。
そう信じて、浮かべる偽の笑み。


壊れて、壊されて、奪われて、そうして必死に生きて。
見失った、あの日の光を、もう一度だけ
もう一度だけ見たい。走り出せ。
もう要らない、偽の笑みを剥がして壊して叫んで。
暗く濁った瞳に光を宿して。
いつまでも走り続けるよ。
あの日見た、光の中で笑えるまで。