悪人の正義〜井手畑物語〜
そのなにかは土まみれで、形はペンダントに似て、丸いのに紐がついていた。それをみた大河は、素っ頓狂な声を出した。
「な、なにそれ⁉」
「僕も、よくわからないよ」
直吉は、少し怯えたような表情で言った。だが、そんな直吉にお構い無しで、大河は直吉の手からなにかを取ると、観察し始めた。
「うーん、なにか、掘ってあるような気がするけど、土が邪魔でよくわからないなあ。そうだ!井戸でこれを洗おう!」
ぱっと明るくなった顔を見合わせて、言った。
「確かに!そうしよう!」
この山には木々に隠されるように、ひっそりと井戸がある。おそらく、この2人以外にその井戸を知っている人は、誰も居ないだろう。その井戸は、万年澄んだ水を湛えていて、よく手などを洗うときに2人は使っていた。
直吉は、この前つくった小屋の裏手に周り、獣道があるところを歩いた。すると、確かにそこに井戸があった。直吉は、腐りかけの縄とバケツを下ろして、水が十分に入ったら、ゆっくりと引き上げた。井戸の縁に水を汲んだバケツを置いて、ペンダントらしきなにかをバケツの中に入れた。ついでに手も洗った。冷たい水がとても気持ち良かった。そして、ペンダントらしきなにかを、バケツの底から取り出した。
ペンダント、という表現で間違っていなかった。そのペンダントは藍色で丸い形をしていて、平べったかった。洗われてステンドグラスみたいに木漏れ日に当たってキラキラ輝いている。そして、何より目を引くのはペンダントになにか掘ってあることだった。なにが掘ってあるのか、サッパリだったので、あまり気に止めなかった。そして、洗い終わったペンダントを手に持って、大河のいる秘密基地へ、引き返した。
彼は、まだ知らない。このペンダントに掘ってあるものは「家紋」だということを。そして、その家紋は彼の運命に大きな影響を与えることを、彼は、まだ知らない。
「な、なにそれ⁉」
「僕も、よくわからないよ」
直吉は、少し怯えたような表情で言った。だが、そんな直吉にお構い無しで、大河は直吉の手からなにかを取ると、観察し始めた。
「うーん、なにか、掘ってあるような気がするけど、土が邪魔でよくわからないなあ。そうだ!井戸でこれを洗おう!」
ぱっと明るくなった顔を見合わせて、言った。
「確かに!そうしよう!」
この山には木々に隠されるように、ひっそりと井戸がある。おそらく、この2人以外にその井戸を知っている人は、誰も居ないだろう。その井戸は、万年澄んだ水を湛えていて、よく手などを洗うときに2人は使っていた。
直吉は、この前つくった小屋の裏手に周り、獣道があるところを歩いた。すると、確かにそこに井戸があった。直吉は、腐りかけの縄とバケツを下ろして、水が十分に入ったら、ゆっくりと引き上げた。井戸の縁に水を汲んだバケツを置いて、ペンダントらしきなにかをバケツの中に入れた。ついでに手も洗った。冷たい水がとても気持ち良かった。そして、ペンダントらしきなにかを、バケツの底から取り出した。
ペンダント、という表現で間違っていなかった。そのペンダントは藍色で丸い形をしていて、平べったかった。洗われてステンドグラスみたいに木漏れ日に当たってキラキラ輝いている。そして、何より目を引くのはペンダントになにか掘ってあることだった。なにが掘ってあるのか、サッパリだったので、あまり気に止めなかった。そして、洗い終わったペンダントを手に持って、大河のいる秘密基地へ、引き返した。
彼は、まだ知らない。このペンダントに掘ってあるものは「家紋」だということを。そして、その家紋は彼の運命に大きな影響を与えることを、彼は、まだ知らない。