悪人の正義〜井手畑物語〜
「ここが新しい家かあ」
城を見上げて彼は言った。立派な天守などは無く、櫓などの建物も質素で、平城としか言いようがない城だ。だが、彼の胸は高なっている。初めてゲットした城、初めてゲットした家臣、初めてゲットした領地!本当は、今すぐにでも嬉しさのあまり叫び出したい心地だったが、それはさすがに我慢して、満面の笑みを浮かべる。初夏、現鳥取県でのことだった。
1590年、羽柴秀吉改め、豊臣秀吉は念願の天下統一を成し遂げた。そこで大名を転封させたり、領地を削ったりと、いろいろと統治しているらしい。その一環として、喜平太は大名に成ったのだ!
「で、殿下。本当に私を大名に…⁉」
大阪城で殿下と呼ばれた豊臣秀吉はニカッと笑う。
「ああ、もちろんじゃ!」
喜平太の顔がパアっと輝く。
「それで、どこですか?」
「それはなあ、お前と初めて出会った地、[漢字]但馬[/漢字][ふりがな]たじま[/ふりがな]じゃ!」
彼の顔はさらに輝きを増す。
「本当ですか⁉」
「だから、何度も言っておろう。本当じゃ、と」
喜平太は飛び上がりたい気持ちを抑えて、平伏する。
「誠に、ありがたき幸せ」
「そう改まるなって。それはそうと、これを期に元服してはどうか?」
「えっ!良いのですか!?」
「もちろんじゃ!わしの「吉」の字を与えよう。それと、名字も必要じゃな」
「ありがとうございます!」
この時代、殿から字をもらうことはとても光栄なことであり、名字は、大名に無くてはならないものだ。
城を見上げて彼は言った。立派な天守などは無く、櫓などの建物も質素で、平城としか言いようがない城だ。だが、彼の胸は高なっている。初めてゲットした城、初めてゲットした家臣、初めてゲットした領地!本当は、今すぐにでも嬉しさのあまり叫び出したい心地だったが、それはさすがに我慢して、満面の笑みを浮かべる。初夏、現鳥取県でのことだった。
1590年、羽柴秀吉改め、豊臣秀吉は念願の天下統一を成し遂げた。そこで大名を転封させたり、領地を削ったりと、いろいろと統治しているらしい。その一環として、喜平太は大名に成ったのだ!
「で、殿下。本当に私を大名に…⁉」
大阪城で殿下と呼ばれた豊臣秀吉はニカッと笑う。
「ああ、もちろんじゃ!」
喜平太の顔がパアっと輝く。
「それで、どこですか?」
「それはなあ、お前と初めて出会った地、[漢字]但馬[/漢字][ふりがな]たじま[/ふりがな]じゃ!」
彼の顔はさらに輝きを増す。
「本当ですか⁉」
「だから、何度も言っておろう。本当じゃ、と」
喜平太は飛び上がりたい気持ちを抑えて、平伏する。
「誠に、ありがたき幸せ」
「そう改まるなって。それはそうと、これを期に元服してはどうか?」
「えっ!良いのですか!?」
「もちろんじゃ!わしの「吉」の字を与えよう。それと、名字も必要じゃな」
「ありがとうございます!」
この時代、殿から字をもらうことはとても光栄なことであり、名字は、大名に無くてはならないものだ。